R20
悪の華
XS

 遠い昨日の記憶  

運命の出会い(XS)
Xanxus16
2




九代目にひきとられたザンザスは、
ボンゴレの後継者になるための教育を受け、
誇り高く成長していった。

ザンザスは、王になる資質をすべて備えていた。
強い意志、決断力、ボンゴレの炎。
威厳、実力ともに後継者になるにふさわしい。
誰もがそう思い、九代目の御曹司こそがボンゴレを継ぐ者だと信じて疑わなかった。

ある日、ザンザスは、鍵の掛けられた部屋にある古い書類を見つけた。
ザンザスの母親はひきとられてすぐ病死して、
墓所もはっきりしている。
しかし、その他の身内については謎のままだ。
単なる好奇心でその書類を見たザンザスは愕然とした。
ザンザスの母は、九代目とは何のつながりもなく、
ザンザスは養子としてひきとられていた。
そして母が繰り返し言っていた、九代目と会ってザンザスを宿したという時期に、
九代目と会うことなどありえない場所にいたことも書かれていた。

母親は、繰り返しザンザスに言っていた。
「あなたは、ボンゴレ九代目の息子。
いずれボンゴレ十代目になるの。
だから、十代目のXをとって、XANXUSと名付けたの。
名に二つのXを持つ子なの」
どんな時でも、口を開けば、ボンゴレの事しか言わなかった。

許せねえ!!
オレをだましたあの女も!!
あの老いぼれも!!
オレを後継者にするつもりなどなかったんだ!!
何が息子だ!!
オレを裏切りやがったんだ!!

それからは、世界のすべてが怒りと憎しみで塗りつぶされた。

もともと傲慢でふてぶてしく威圧的だったが、
さらに荒々しく暴力的になり、
誰もが遠巻きに見守るようになっていた。
ザンザスに進言したり、行動を変えさせようとする者は、
左遷されたり、解職されたりして、
ザンザスに忠実で言われたことを黙々とこなす使用人だけが残った。

その怒りに近づこうとする者など、誰一人いなかった。
孤独は憎しみを育て、
憎しみがさらなる怒りを育てた。
自分以外はすべて敵。
誰も信じられず、気の休まる時もない。

どうにかして、老いぼれをひきずりおとし、
ボンゴレを手に入れることはできないものか。
あの老いぼれと戦って負けるとは思えない。
あとは、きっかけがあればいい。







 
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