R20
悪の華
XS

  遠い昨日の記憶  

運命の出会い(XS)
Xanxus16-Squalo14
3




ボンゴレ本部で開かれたパーティーには、
大勢の男や女が集まっていた。
九代目を中心として、大きな円ができている。
太鼓持ちのような男たちがぞろぞろ付きしたがい、
年の差など気にしない、金と権力目当ての女たちもどうにかして近づこうと必死の様子だ。

スペルビ・スクアーロは、
動いて行く巨大な人の群れに、ボンゴレの力の大きさを感じたものの、
ちらりと見えた九代目とやらには、何の関心も持てなかった。
その老人は温和で人あたりがよさそうだった。
とてもマフィアのボスには見えなかった。
そこいらにいるジジイじゃねえか。

スクアーロには、今、ボンゴレの暗殺部隊であるヴァリアーからの勧誘がきていた。
ボンゴレといえば、マフィアで一番の名門だ。
断る理由もないが、かといってどうしてもボンゴレでないといけない理由もない。
まだ学生の身でありながら、この辺で強いと言われる剣士はみな倒して、当面の敵もいない。
だから、剣帝テュールと戦うことを条件としてヴァリアー入りを承諾した。
今日はその隊服を着せられて、ボンゴレの本拠地に連れてこられた。
でも、肝心のテュールは来ていないらしい。

「まいったねえ。あの九代目には、女も男も効かないらしい」
「聖人君子じゃあるまいし、そんなはずはないだろう」
何かを画策している男たちが完全にパーティーの中心から離れた場所でひそひそと話し合っている。
権力のおこぼれにあずかろうとする、
つまらない男たちだ。

突然会場の雰囲気が代わり、
話し合っていた男たちは急に口をつぐんだ。

それは、まだ若い少年といえる男だった。
するどい視線が九代目の方に向けられていた。
信じがたいほどの怒りに満ちた視線。
赤く燃えるぎらぎらした目が九代目をとらえていた。

すげえ。
こんな目、見た事がない。

スクアーロは、思わず、その目に見とれた。
そんな目はみたことがなかった。
こんな少年はみたことがなかった。

こいつには、かなわねえ。
オレは、こいつについていきてえ。
誰だ、こいつは誰なんだ!!



その赤い目の男は、九代目以外、目に入ってないという感じだった。

「ザンザス様、こちらです」
使用人が慇懃に案内をし、
その男は、尊大にうなずいた。

ザンザス?
確か、御曹司の名じゃなかったか?
それなら、話は早いじゃねえか。
オレの主はあいつしかいねえ。






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