R20
悪の華
XS

届かない大空

契約(九代目×S・家光×S ほか)
Squalo14-22
R18

2
(九代目×S ・家光×S注意)



 
スクアーロは、暗い病室に幽閉されていた。
命にかかわるほどの怪我ではなく、身体の方は順調に回復していた。
ときどき診察にシャマルが来るが、その他に知った顔はない。

ザンザスはどうなったのか。
消えゆく意識の中で、氷の中に閉じ込められる姿を見た。

あのジジイにあんなことができたなんて。
ザンザスは死んじゃいねえよな。
くそっ、おれはあいつの剣なのに、役に立つことができなかった。

うずくまるスクアーロの目の前で、扉が開いた。
そこには沢田家光が立っていた。

スクアーロは家光をにらみつけた。
剣はとりあげられている。
左手には義手すらない。
それでも、いざとなったら、噛み付いてでも攻撃してやる。

敵意まるだしの様子に、家光はにやりと笑った。
「ザンザスのことが知りたいか?」

スクアーロはびくりとした。
怒りに燃え、毛を逆立てた猫のようだった少年は、とまどいを見せた。

「ついて来い。妙な真似をしたら、ザンザスは本当に死ぬ」
スクアーロの顔色が変わり、あわてて家光のあとを追って来た。
家光は振り返りもせずに歩いた。
スクアーロは優れた暗殺者だ。
暗殺者に背を向けるということは警戒していないという証だった。
スクアーロは、家光の言葉を信じているようで、
殺気を放ちながらも大人しくついてきていた。
背後の気配を感じながら、家光は秘かな笑みをうかべた。

こんな子どもの動向で、ザンザスの生死が決まるわけなどない。
ザンザスのすべてを掌握しているのは九代目だ。
それすら気づかない幼い子ども。
九代目に捧げる生け贄としては、かわいげがないが、せいぜい楽しませてもらおう。

「九代目の守護者どもは、お前を含め、ヴァリアーをみんな殺してしまえと言っている。
ザンザスがいなくなった今、誰が責任とるか分からないからな。
ボンゴレに邪魔者は必要ない。
ヴァリアーには、何と言ったかな、ベルとかいうほんの子どももいるのに、かわいそうになあ。
皆殺しか。そいつはあんまり楽しいもんじゃねえなあ。
首謀者が一人いたら、そいつだけで済むんだけどなあ」
家光はスクアーロが立ち止まった気配を感じて、振り向いた。

スクアーロはきゅっと唇を噛み締めて、青白い顔をしていた。
「・・・それは、誰でもいいのかぁ?」

「お前? だめだめ。九代目に身も心も捧げられる奴じゃねえとだめだ。
やっぱり、皆殺しになっちまうかなあ」
家光は何食わぬ顔をしてのん気に言った。

「身も心もって、どうすりゃいいんだぁ?
右手を切ればいいのかあ?」
「ザンザスにしたこと以上のことがお前にできれば、あるいはなあーーー。
できないだろ、お前には。
お前にはこれっぽっちも値打ちなんかないしなあ」
必死の表情のスクアーロを軽くいなしながら、家光はまた歩き始めた。

「うぉおおい、何でもするぜえ。
だから、あいつらには手出しするなあ!!」
スクアーロは必死な表情で着いてくる。

まったく、このガキは名前通りのやつだ。
油断すると噛み付いてくるから、警戒させてはいけない。
生け捕りにしようとしていることに気づかれてはならない。
サメは泳いでないと呼吸できない。
だから泳いでいる間にていねいに誘導し、泳げる場所を決めてやればいい。
自分からそこに進ませればいいだけなのだ。

手か。
それでおどしてやるのも悪くないが、そんなものが欲しいのなら、もうとっくに切り落としている。

家光は、奥の部屋にスクアーロを連れ込んだ。
そこは応接室のようであり、奥にも部屋が続いていた。
「本当に、お前が一人で責任を追うというのなら、証拠を見せろ。
服を脱げ」
 
「な・・・何で・・・?」
「確かめたいことがある」
スクアーロは家光の意図か分からず、口ごもったが、選択肢のないことも分かっていた。
自分達はクーデターを起こしたのだ。
どんな処理をされても文句の言える立場ではなかった。
自分はどうなってもいい。
けれど、ヴァリアーみなを潰すのは納得できない。

スクアーロは無言で服を脱ぎ捨てた。




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