R20
悪の華
XS

届かない大空
(九代目×S・家光×S ほか)

罪と罰
Squalo14-22
R20

(オッタビオ×S その他×S 注意)
注意
スク陵辱(20禁)


1



 
スペルビ・スクアーロの様子がおかしい。
入院先の病院から診察の依頼を受けたシャマルは、
うす暗い部屋のかたすみで、
膝を抱え込んだきり、
微動だにしないスクアーロを見て、顔をしかめた。


あらら、こいつは精神疾患か?
気丈なガキだったのに、
ザンザスがいなくなってさびしさのあまり、
ちっとおかしくなったのか?
ヴァリアーの連中は、みな大人しくしているとかで、
もうすぐ活動を再開できると家光は言っていた。
こんな調子では、こいつは使い物にならねえかもな。


シャマルは一応準備した診察道具をひろげると、
反応を返さないスクアーロに声をかけた。
「よう、往診に来てやったぞ。
いつもは男は見ないんだが、
特別に診察してやる。
いい薬があったら、出してやるしな」
親切に言うが、反応のないスクアーロにため息をついた。
一応、形だけでも診察しないと、せっかく来た意味がない。

シャマルが伸ばした手を、スクアーロはおびえたように振り払った。
・・・??
今の反応は、何だ?
まさかな。

「そうそう、ずっと前にお前にやった、痛くなくなる薬と、気持ちよくなる薬と、グレードアップした薬も持っている。
これは、どんな嫌な相手でも気持ちよくなるぞ。
欲しいのがあれば、やるよ」
シャマルの言葉に、スクアーロの表情がかすかに動いた。
おいおいおい、またそっちかよ。
いやな予感がしつつも、何食わぬ顔をして近づいた。
「どれをやろうか?」
スクアーロはちらりとそれを見て、一番右のオレンジの薬を指さした。
シャマルは笑顔でそれを差し出した。

あちゃーーー、グレードアップ版か?
だが、どこで必要だってんだ。
ここか?
この病室にはちゃんと監視システムがついてるはすだ。
こいつは反逆者だ。
とらえられた時、好色なやつらは手を出そうとして躍起になったらしいが、
上層部がストップをかけたはずだ。
しかし、いつ誰に制裁を加えられるか分からない。

報告しといた方がいいか。
家光か、九代目の守護者にでも言っておくか。




シャマルは本部に向かった。
そこにいたのは、雲の守護者ヴィスコンティだけだった。
「本部は辛気くさくていけないな。
女っけがないからだ。
ああ、そういえば、例のガキ、スクアーロなんすけど、
どうやら誰かに性的行為を強要されているようでして・・・」

ヴィスコンティのしずかな瞳がかすかに動いた。
「頑固なガキで吐かないんですよ。
あの感じでは継続的に・・・」

「知っている者は?」
「いや、誰もいないと思います。
あのガキ、獣みたいなやつなんで、他の者たちには隠してるみたいで」
ヴィスコンティはしばらく沈黙した。
ゆりかご事件を快く思っていないものは多い。
九代目の恩赦で死をまぬがれたヴァリアーに制裁を加えたい輩は多い。
九代目から手を出してはならないという指令が出たと思うが、
ザンザスを憎く思う者なら絶好のチャンスに違いない。
ヴァリアーの連中は、閉じ込められ、凶器の保持も禁じられている。
羽根をもがれた鳥のようなものだ。

ザンザスは、あの子どもを相手にしていたらしい。
目をぎらぎらさせ、九代目にまったく敬意を払わない、生意気な子ども。
テュールを倒した不吉な子ども。
あの時から、間違いは続いていたのだ。
御曹司は、戦うための剣を得た。
若さ故の暴走とあやまち。
ザンザスの影にぴったりと寄り添って立つその姿は、
闇に咲く悪の華。

「スペルビ・スクアーロの生活時間についての詳細報告が欲しい」
ヴィスコンティは、ヴァリアーの指揮権を任せているオッタビオに報告を命じた。
ゆりかご事件はオッタビオのおかげで発覚した。
オッタビオは目立たない男だ。
その姿も目立たず、特にすぐれたところがあるわけではなく、仕事ぶりは無難で影のような存在だ。
ひと目見ただけで強い印象を与えるザンザスとは対極にある存在だ。

「了解しました」
オッタビオはうやうやしく礼をした。
うつむいたその唇には冷酷な笑みが浮かんでいた。






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