R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

選ばれし者






5



   マレ・ディアボロ襲撃占領事件はわずか5人のヴァリアー幹部によって行われた。
本部に内密でモスカの開発を行っていたのはオッタビアだった。
ザンザスは超直感でそれをつきとめ、
ゆりかご事件の真実にたどりついた。
ザンザスは、オッタビオを目の前にして何の感慨も涌かなかった。
8年たってただ老けたとしか感じられない。
スクアーロを見るたびに憤りだとか焦燥を感じ、落ち着かなくなるのに、
オッタビオを見ても何も感情は動かなかった。
ザンザスが幼い頃からオッタビオは近くにいて、ずっと世話を焼いてきた。
オッタビオにとって、幼いながらも仕えるべき主であった。
貧しい育ちだったが、英才教育を受け、
若くしてマフィアの王にふさわしい男になっていた。
それが道を誤って、こんなことになった。
なぜゆりかご事件などという愚かな事件を起こしたのか。
眠りからさめて、また愚かな行動をしようとするのか。
あなたはまだ知らないのだ。
あなたの触れた子どもはすっかり薄汚れ、何の価値もなくなっている。
あなたを裏切り、触れる価値もない。
処罰するなら、スクアーロをすればいい。
私はあなた次第で、あなたについていってもいい。
8年間の眠りからさめても、やはりあなたは王の風格がある。
だれもをひれ伏させる威厳がある。
間違ってはいけない。
マレ・ディアボロで滅びるのは、スクアーロでなければ。
ザンザス様さえいればいい。
あの銀の子どもはもういらない存在なのだ。
それなのに、あれを捨てないなど。
なぜ私を選ばず、あんな汚れた子どもを選ぶ?
許せない許せない許せない。
それなら、ザンザス様にも消えてもらうしかない。
オッタビオは覚悟を決めた。
目の前のザンザスがゆっくり近づいてきて、オッタビオの頭をつかんだ。
「かっ消えろ」
オッタビオの身体は一瞬で紅蓮の炎に包まれた。
網膜には憤怒の炎をまとったザンザスの姿が焼きついていた。

ザンザスはモスカのデータを手に入れた。
裏切り者であるオッタビアにもう用はなかった。
だがオッタビオは一つだけ役に立った。
やつのモスカを完成させたらいいのだ。
「もうすぐ、ボンゴレがオレのものになるときだ!!」
一つ過去を清算できた。
だが、まったく満足できない。
怒りは内側から溢れ出し続けている。
いくら焼きつくしても足りない。

スクアーロが切り落とした腕の痛みに耐えながら、ザンザスのもとにかけつけた時には全てが終わっていた。
オッタビオはこの世から消えていた。
「やつが裏切り者だ」
ザンザスの言葉に、ルッスーリアが息をのんだ。
「うそ!! 私たちだまされていたってこと!!!」
「ぬおう!!! 八つ裂きにしてやる!!」
あまりの怒りに、レヴィの頭上に雷が光った。
「それって、許せなくね?王子たちは、言う事聞かないとヴァリアーが潰されるって言われて」
「ベル!!!!」
ベルの言葉をスクアーロがさえぎった。
あの嫌な嫌なオッタビオが密告者で裏切り者だったとは。
あの隊員ではなかったのか?
なぜ気づかなかった!!
知っていたら絶対に殺してやったのに!!
「ずっと信用できない気はしていたけど。さすがボスだね」
マーモンは心底感心していた。
オッタビオにはいい印象はもっていなかったが、裏切り者だという確証もなかった。
スクアーロの表情が暗いのはしょうがない。
見て見ぬ振りはしていたけど、個人的にひどい事をされているようだった。
「もう、やつに不愉快にされることはないよ」
そう言うことしかできなかった。
ボスは気づいていない。
だから、知る必要はない。
これは終わったことだから。

オッタビオの死はボンゴレ本部に伝えられた。
ボンゴレに秘密で武器を開発していた裏切り者はヴァリアーのボスであるザンザスの手によって処罰されたと。








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