R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

選ばれし者






6



   ゴーラ・モスカが完成し、
ザンザスはボンゴレ・リングを奪うことに決めた。
ヴァリアーの幹部たちは、
九代目を拉致し、ゴーラ・モスカの中に入れた。
九代目は悲しそうな顔でザンザスとスクアーロを見た。
九代目の選んだ沢田綱吉という子どもは、
まったくの根性なしで戦うのもばからしく思われた。
他のリング所有者もたいした実力を持ち合わせているふうではなかった。
スクアーロと対戦した雨の守護者、山本武は、スクアーロと戦うためにはじめて剣を手にした。
父親は時雨蒼燕流の名手であり、
特訓はしたものの実戦経験のない素人だった。
その山本武にスクアーロは破れた。
「ぶったまげ。まさか、こんな事がね・・・」
ベルは驚いていた。
スクアーロが負けるなど考えたこともなかった。
少し強いからって、いつも偉そうにベルに命令し、押さえつけて言う事を聞かすのだ。
それが、いなくなってしまうなんて。
ザンザスはスクアーロの誓いの言葉を思い出していた。
「これから先、お前はオレを仲間にしたことに感謝する日が必ず来る」
やつは確かにそう言った。
「・・・スクアーロ・・・」
その時のスクアーロの髪は短く、ぎらぎらした野望に燃えていた。
そのなんと愚かなことか。
「ざまあねえ!!! 負けやがった!!! カスが!!!」
ザンザスは思わずそう言った。
自業自得なのだ。
弱いやつは負ける。
役に立たないやつは用なしだ。
あいつは過去の人間だ。
スクアーロなどいなくても、なんの問題もねえ。
最後がサメのエサとは・・・・。
ドカスが!!!!
過去をまた一つ清算できただけだ!!
やつなどいらねえ。
いなくてもどってことねえ。

残るヴァリアーのメンバーはベルとレヴィとマーモンだけになっていた。
スクアーロは水槽の中から出てくるかと思ったが、
出てくることはなかった。
勝負の後は誰もが無口なままだった。
マーモンはふわふわ浮かびながら、
ザンザスの様子を伺った。
ボス、やっぱり機嫌が悪い。
やつあたりする相手がいなくなってしまったからね。
ベルも機嫌が悪い。
ああ見えて、ベルはスクアーロになついていたからね。
ルッスーリアもいないし、
機嫌がいいのはレヴィだけだ。
でも、ボクたちは仲良し集団なんかではない。
戦いに犠牲はつきものだ。
この戦い、何としても勝たなければ。

ザンザスはいらいらしていた。
敗者には死を。
当然のことだ。
やつはオレの目の前でサメに食われたんだ。
生きているはずがねえ。
死んだやつのことなど、考えても仕方がねえ。
くだらねえ。
ふん、やつらしい。
誇りとやらを貫いて死ぬとは。
勝手に自分の信念を押しつけて、突き進む。
本当に昔から代りばえのしねえ野郎だ。
死にやがった。
役立たずだ!!

ザンザスは部屋の壁にウイスキーのグラスを叩き付けた。
グラスは粉々に飛び散って割れた。
グラスが砕けちっても何の反応しない。
うるさい声もしないし、誰も近寄ってはこない。
マーモンやレヴィやベルにものをぶつけたり、
殴ったり、髪をひっぱったりする気にはならなかった。
ど畜生が!!!!!
ザンザスはやり場のない怒りを持てあました。

もうすぐボンゴレ・リングが手に入る。
リングさえ手に入ったら、
この不快な気持ちは消える。
今だけだ。
あと少しだ。






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