R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

選ばれざる者




3



ザンザスはどこかのパーティーに来ていたという社長令嬢をエスコートし、
パーティーに出席していた。
ルッスーリアはあちこちで話をし、
人々の間を歩いているが、
レヴィはザンザスが見える位置に座ったまま、
視線を外すこともなく様子を伺い続けている。
実にくだらないパーティーだった。
素人の集まりで、連れの女と話すことなど何もない。
見事な金髪でうすい青い眼の色の白い女だが、
ザンザスにはそれでも色素が多いと感じた。
ザンザスがここに来ていることが取引先の連中に伝わればいいだけだ。
連れの女は頬を赤く染め、うっとりとザンザスを見ているだけで、
話しかける必要もない。
くだらねえ。
入り口の方でざわめきが起き、
そちらを見ると、見た事のある男がいた。
華やかな金髪に派手なスーツはとても目立ち、
連れているのも深紅のドレスに黒髪の派手な女だった。
跳ね馬ディーノ。
ザンザスは、表情も変えず、確認しただけで視線を外した。
ディーノの回りに人が集まり、その様子を眺める人垣ができるほどだった。
ディーノも青年実業家として成功し、幾つもの会社を持っている。
幅広い交友関係は、マフィアのいい隠れ蓑になるのだ。
ディーノの連れている女は、化粧の濃い、派手でわがままそうな女だった。
「ザンザス!!」
ディーノは人ごみをかき分け、華やかな笑みを浮かべてザンザスの側に歩みよって来た。
「・・・カスが・・・」
目立つのを知りながら、わざとしているのだ。
「美しいセニョリータ、はじめまして。
ザンザスの後輩のディーノです」
ディーノは連れの女に笑顔を向けた。
確かに間違ってはいない。
同じマフィアの学校に行っていたし、
へなちょこでおどおどしたディーノとはジジイのせいで何度も会ったことがある。
「許してほしい」
ディーノは真剣な表情をしていた。
素人のパーティーでしていい顔ではない。
不釣り合いな話題で怪しまれるのを承知でザンザスに会うためにきたのだ。
個人的に話がしたいという連絡をザンザスは無視し続けていた。
話の内容は聞かなくても推測できた。
おそらくスクアーロのことだろう。
「好きにしろ」
ザンザスは表情も変えなかった。
鮫に食われて死にかけたというスクアーロの身体には傷一つ残ってはいなかった。
そればかりか、大怪我をする前についていた小さな傷もすべてなくなり、綺麗になっていた。
左手だけはどうにもならなかったようだが、他はきれいに治され、殺し屋の身体とは思えなかった。
スクアーロは跳ね馬と寝たと言っていた。
他の男とも寝たと言っていた。
あいつは誰でもいいのだ。
やつにとってはどうでもいいことなのだ。
たかだかカスザメが誰と何をしようとザンザスに関係があるはずはない。
スクアーロなんざ、いてもいなくてもどうでもいいはずだ。
ディーノはぱっと顔を輝かせた。
「グラッツェ!!」
だれもがよい気分になる明るい笑顔だった。
ザンザスは不快な気分になって立ち上がった。
くだらねえところで長居しすぎた。
どうでもいいことのはずなのに、いらいらする。
カスザメなど何の役にもたたねえ。
誰にくれてやってもいいのだ。
どいつもこいつもオレにひれ伏していればいいのだ。







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