R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

選ばれざる者




6



スクアーロがマリアの護衛についてから、一週間がたった。
ザンザスが予定より遅れて城にやってきた。
ザンザスについてルッスーリアもやってきた。
「ザンザス、遅かったわね!! 待ってたのよ!!」
身体じゅうに媚びをにじませてマリアがザンザスに飛びついた。
迷惑そうな様子に気づいたルッスーリアが素早くマリアを引き離した。
「ボスはお部屋で一休みしてくださいな。
マリア様、お土産のシフォンケーキですわ。すぐお茶を入れますね。
あら、スクはいないのかしら?」
この場に出て来ないのをいぶかしみ、ルッスーリアは大げさにきょろきょろした。
「よかった!!  ルッスが来たから、あの人、辞めてもらっていいわよね!!
目障りだから、いないでって言ってあるの。
ザンザスに頼んでクビにするわ!!
メールも送ったのに、見てくれてないのかしら・・・」
ルッスーリアはため息をついた。
「ごめんね。スクが何かしたかしら?」
「大きな声で喋るし、私に怒鳴りつけたの!!
そんな無礼な部下はいらないわよね!!
大体、あの髪は何なの? 何であんな人が部下なの? 今まで見た事ないのに!!
パパがキャバッローネの御曹司とできてるって!!
冗談じゃないわ。
あんな人に手を出すわけないわよね!!
ヘンな噂も聞いたけど!!
ザンザスとは何も無いわよね!!」
マリアは興奮して喋り続けた。
ルッスーリアは能面のような顔に変わった。
「ごめんなさい。ボス。お手上げです。時間の無駄でした」
ルッスーリアは本当に手を挙げた。
「カスザメ、出て来い」
ザンザスの声で、スクアーロが姿を現した。
「きゃっ!!」
すぐ近くにザンザスもスクアーロもいたことに驚いたマリアは声を上げた。
「てめえはこんな女でも守るのか?」
ザンザスが冷たい視線を向けた。
「ボスが守れっていったんだぞぉ!!」
スクアーロが憤慨した。
「あら、いいところで、お待ちかねの、お客さんが来たわよーーーー。
スク、しばらくがんばってね!!」
「ゔぉおおおおい、オレ一人かぁ!!  任せろぉ!!」
どこかのファミリーの特攻部隊があらわれ、スクアーロは喜々として戦闘に入った。
この女を見ているとむかつく事ばかりだった。
たとえどうなろうと戦っているほうが余程いい。
スクアーロは水を得た魚のように縦横無尽に走り回っていた。
「スクちゃん、そこよーーーー。イっちゃってーーー!! 」
ルッスーリアがエキサイトしている。
「ふん。変わりばえのしない野郎だ」
ザンザスは腰を下ろして手持ち無沙汰だった。
マリアは、戦うスクアーロと、見ているルッスーリアとザンザスの様子を伺った。
「ねえ、ザンザス。私は、あの人か嫌いなの。
私と結婚するなら、あの人はクビにして!! さもないと」
マリアが言い終わらないうちに、ザンザスの銃が火を噴いた。
戦っていたスクアーロは、ザンザスがマリアを撃ったことに気づいた。
ザンザスはマリアを撃ってから、何事もなかったかのように座り続けていた。
「あら、ボス、やっぱり我慢できなかったわね!! 」
ルッスーリアは、スクアーロの戦いを見ながら言った。
屍となったマリアには目もくれなかった。
もともとマリアは殺すつもりだった。
もう少し穏便に、スクアーロの目を盗んでって計画だったけど、この女は性悪すぎた。
こんなことなら、もっと早く私が殺っとけばよかったわ。
まあ、こいつらのせいってことでカタはつけるけどね。
スクアーロは、襲って来た敵をすべて倒したが、ボスの命令である女を守ることはできなかった。
けれど、その女を殺したのはボスだった。
「ゔぉおおおおい、どうすりゃいいんだぁ!!」
これでは任務を果たしたとは言えない。
スクアーロはしょんぼりしていた。
「この女、殺してよかったのかぁ?」
「スク、あんた一週間も様子見てたんでしょ!!
こんな女、ボスが選ぶはずないって思わなかったの?」
ルッスーリアは呆れはてて、言葉を失った。
「・・・そういうの、オレは分からないんだぁ。
ボスの好きな女がどんなのか知らないし」
スクアーロの声は少し小さくなった。
「ぶはっ。どんだけてめえはカスなんだ!!
これでしばらくジジイも何も言って来ねえ。
女どもも殺されると分かったら、近づかねえはずだ」
「おお、そうだなあ!!   あのジジイにも一泡ふかせたなぁ!!」
スクアーロは笑顔を浮かべた。
あんな嫌な女でも、スクアーロはあれがボスの嫁なら守るつもりでいた。
どれだけ嫌な女でも、ボスが望むなら、そのために身を投げ出す。
ボスの望みなら、それでいい。
ルッスーリアはひさしぷりに機嫌のいいザンザスを見た。
よかった。
今日はボスは機嫌がいい。
これでしばらくは九代目からの圧力はかからなくなる。
ボスはしおらしいスクは好きなのよね。
これが見たくていじめてるのはないかと思う時すらあるもの。
スクは何か思い詰めてる感じ。
この子が真面目に考える事って、たいていずれていてバカバカしいことばかり。
でも、それがスクアーロなのよ。








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