R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

選ばれざる者




7



ボンゴレの敵は少なくなったかに見え、
ヴァリアーは確実に任務をこなし、
ますます恐れられる存在となっていった。
ある日、スクアーロが剣帝を名乗るために百番勝負に行くと言い出した。
ザンザスは希望を捨てていない。
もっと強くならなければ。
誰にも負けないくらい強く、
どんな敵が来ても倒せるぐらい強く。
ヴァリアー本部でいると楽で、気心もしれて、身も心も止まってしまいそうになる。
それでは駄目だ。
じっとしているより、戦い続け、動き続けるほうがいい。
スクアーロは、ボンゴレ本部にヴァリアーの事務報告に来て、
山本武がまだ日本で球遊びをしている事を知った。
「刀小僧のやつ、オレを倒しておきながら、まだふざけたことをしてやがるのか!!」
「十代目は素晴らしいお方だからな!!  強く言われないのだ。あんたからも勧誘してくれないか?」
 獄寺隼人が力を込めた。
「おお、いいぞぉ!!!」
スクアーロのでかい声は、ボンゴレ本部に響き渡った。
スクアーロは気弱な十代目や直情的な嵐の守護者が嫌いではなかった。
頼りないので、つい口出ししたり手を出したりしたくなる。
ザンザスが来ない以上、本部に顔を出す頻度は代理であるスクアーロが一番多い。
獄寺隼人と約束をして帰りかけた時、普段は使われてない部屋のドアが不意に開き、
中から沢田家光が顔を覗かせた。
家光は無視して通り過ぎようとするスクアーロの手をとらえ、中に引き入れた。
「お前はうるさいから、本部に来たらすぐ分かるな」
スクアーロはそっぽを向いた。
「十分後に呼び出しだ」
家光は腕時計をスクアーロに見せた。
九代目からの「呼び出し」は久しぶりだ。
半年ぶりぐらいか。
ザンザスが帰ってきて、九代目は「呼び出し」をもう止めるかと思ったが、そうではなかった。
スクアーロが時々、ザンザスの慰みものになっていることは分かっている。
オレはそれを確認するために、個人的にこいつを味わわせてもらったことがある。
こいつは何か勘違いしていたようで、ザンザスが戻れば全てが終わると思っていたようだ。
罪が消えるはずはない。
罰もなくなるはずはない。
我々は秘密を共有しているのだ。
九代目と密通しているなどと知れたら、ザンザスは許さないだろう。
こうなることは分かっていた。
スクアーロには選択肢はない。
いままで塗り重ねてきた罰が何度増えたって同じことだ。
オレや九代目が飽きたらそこで罰は終わりだが、なかなかそうはならない。
腐った物に蠅が集まるように、どんどん虫が群がっていく。
ああ、九代目に失礼なので、花に蝶が集まるように、と言い換えねば。
美しい花に群がる蝶のように、次々と男を誘い込んでいく。
キャバッローネのディーノもそうだ。
まあ、あいつは学生の頃からスクアーロが好きだったらしいから、
本当は一番目をつけたのが早かったのかもしれない。
ずっと我慢して、やっと手に入れて食ってみた時には、もう手垢のついた身体だったというわけだ。
いや、熟成した身体と言わねばならん。
九代目がいまだに欲するほどの身体なのだから。
家光は手はず通りスクアーロを、秘密の通路からコヨーテ・ヌガーに引き渡し、
きっかり一時間後に引き取りに行った。
首尾がどうだったか聞く必要はない。
元気のないうつろな目のスクアーロを押さえつけ、下半身を調べた。
情事はきちんと執り行われていた。
九代目の触れた身体。
そう思うだけで、激しく昂った。
マフィアの仕事は過酷なものだ。
家光は、仕事を完全に外に持ち出し、妻の奈々には何一つ知らせていない。
いまだに海外で肉体労働をしていると信じる純な心を愛しいと思う。
おだやかな気持ちになって、どこまでも癒されるのだ。
奈々に会うとひたすらに安らぎを感じる。
気が抜け、すべてを忘れさせてくれる究極のリラックス場所だ。
スクアーロは、まったくそういう対象にはならない。
うるさく生意気で傲慢な奴を陵辱し組み敷いていると、ふつふつと征服感がわき起こり、いい気分になる。
見た事もないようなしおらしげで悲しそうな顔を見ると、もっと酷くしたくなる。
いまだにザンザスがはまっている気持ちは分かる。
泣き顔を見たりすると哀れに思う反面、めちゃくちゃにしてやりたくなる。
九代目はどこに惹かれているのか?
ザンザスが手をつけているからか?
家光には分からなかった。
答えのない欲望だけが確実に存在した。
スクアーロが解放されたのは、獄寺と話を終えてから三時間ほど後だった。
スクアーロはヴァリアー隊員が非常時に使うアジトに向かった。
ひどい顔をしていた。
ヴァリアーに帰れるはずはない。
ルッスーリアにごまかしのメールを送った。
スクアーロは身体を清め、ベッドにもぐり込み、丸くなった。
こんなことはどうってことはない。
にぎりしめた手が震えた。
ボス、ごめんなあ。
こんな身体、嫌だろうなあ。
もっと抵抗したらいいんだろうけど、だめなんだぁ。
殴られるのはあたり前だぁ。
でも、ボスのそばにいたいんだぁ。
動いているボスのそばにいたいんだぁ。
そのためにオレは強くなる。
誰にも負けないぐらい強く。








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