R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

名声




4





ヴァリアー本部での会議は、月に一回開かれていた。
その時に出席できる九代目とその守護者、十代目とその守護者、アルコバレーノ、ヴァリアーやチェデフ、
たまに同盟ファミリーのボスもいた。
スクアーロは末席に座っていた。
隣にはディーノがいた。
「ディーノさん、スクアーロの隣なのな。ずるいのな」
その隣にいる山本が小声で文句を言った。
久しぶりに会えたのに、剣を交わす時間がなく、山本はツナの補佐ですぐ出かけることになっていた。
ディーノは明るい笑顔を浮かべた。
「まあ、いらつくな。気長にいかねーとな。そうだろ、スクアーロ?」
「知るかぁ!!」
全く会議に関係のないところで騒いでいる3人を見た九代目の顔は曇った。
ザンザスの子どもを宿しているという女が九代目のもとにいる。
調べさせると、確かにそういう事を行ったかもしれないらしい。
普通の女なら、ザンザスでなく、わしのところに保護を求めてきたりはしない。
分かっているが、ザンザスの子かもしれんと思うと無下にはできない。
あの女にたとえ愛情がなくても、
本当にザンザスの子ならば、わしが育ててもいい。
ザンザスは相変わらず女遊びを続けているようだ。
だが、そこにいるスクアーロ君とも切れているようではない。
この子の身体を知ると、なかなか手放せない。
スクアーロ君は知っているのだろうか。
ザンザスの子を宿した女がいることを。
ボンゴレの血は引いていないかもしれんが、ザンザスの子を産む女がいることを。

いつものように定例報告が行われ、会議が終わった時、九代目にジュリエッタの死が告げられた。
警備の目をかいくぐり、屋敷の外れの崖の下に落ちて死んでいた。
腹の子も死亡。
外傷はないので、自ら飛び降りたのではないかとの見解だった。
ばかな。
あの娘は、野望を持っていた。
ボンゴレの子を産むと信じていた。
地位や名声を手に入れると信じていた。
九代目は、しずかに座っているスクアーロの様子を伺った。
何も知らないように見える。
ただの偶然か?
それともザンザスが殺したのか?
会議が終わった後、九代目はスクアーロを呼び止めた。
「スクアーロ君、ザンザスの子どもがいることを知っているかね」
「らしいなあ。でも、ガキが欲しいなら、あんたが自分で」
「スクアーロ、そのことだが」
家光はあわててスクアーロを止めた。
九代目がまわりに守護者たちもいる状態でスクアーロに話しかけられるなど、なかったことだ。
九代目はこいつの反応を試しておられるのか?
用心しなくては。
こいつは、今、何を言いかけた?
「確証はまだないので、なんとも言えんのだが、そう言っている女を九代目が保護されているのだ」
家光は、知っている者がほとんどだと分かっていながら、何食わぬ顔をして続けた。
スクアーロの表情は動かない。
「ザンザスに子どもが?」
何も知らなかった山本や綱吉が騒ぎ始めた。
「まだ確認中なのだよ」
九代目は、言いながらヴァリアーの仕業に違いないと感じ始めていた。
九代目の別宅まで入り込み、証拠も残さず女を殺した。
敵に回すと恐ろしい集団だった。
そしてザンザスの意志なくしては、この殺しはありえない。
なぜだ。
良いではないか。
子どもがいても。
スクアーロは、何食わぬ顔をして座っていたが、はらわたが煮え来る思いだった。
ルッスーリアから任務遂行のメールが来ている。
少し前に、ジジイに耳打ちしていたあれだろう。
それなのに、ジジイはわざとにこの話題を出した。
どうせ、ほとんどのやつが知っているだろうに、あえてこの話をした。
「それより、九代目、最近、血圧の方はいかがです?
また上がったんじゃないですか?」
家光は素早く話題を切り替えた。
深追いは禁物だ。
スクアーロは明らかに不機嫌になっている。
この場で、九代目にごく個人的な不満を述べられることは止めなければならない。
スクアーロは基本的に、ほとんど不満を口にしないが、その内容について配慮もしない。
自分の言っている事が何なのか気づきもしない。
扱いやすくていいが、危険要因なのは変わらない。
目を離すと勝手に動き回る。
だから、ずっと支配し続けるしかないのだ。







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