R20
悪の華
XS

遠い明日の誓い
Xanxus34-Squalo32
X×S ほか S受


干天



6



ザンザスは、シャマルがわざとスクアーロを連れ出したのに気づいていた。
シャマルの目ははっきりとザンザスを見ていた。
ドカスのことなどどうでもいいと思ったが、
もう会場を後にするつもりだったので、
会話が聞こえる場所に移動した。
シャマルはスクアーロの相手の男について話をしているようだった。
ザンザスに聞かせているのを承知で、それを止めさせろと言わんばかりの話し方だった。
カスに選択権はない、だと?
オレが知ったら、ただではすまないだと?
性的虐待?
ゆりかご事件以降?
何のことだ?
ドカスは何を言っているんだ?
二人くたばったとは、どういうことだ?

「どういうことだ?」
怒りをあらわにあらわれたザンザスを見て、
スクアーロは青ざめた。
迂闊だった。
警備の自分が簡単に持ち場を離れたのを不審に思ったのかもしれない。
シャマルはまわりの様子を伺ってから、
ザンザスを見た。
御曹司の赤い目は怒りに燃え、今にも暴走しそうだった。
「ゆりかご以降、ヴァリアーは九代目の命令で門外顧問に支配された。
生かされたが、自由は奪われた。
ザンザス、お前にも意味は分かるだろう。
こいつが、どういう目に」
「言うなぁ!!」
スクアーロが遮った。
沢田家光。あの男か。
ザンザスの手から憤怒の炎が立ちこめた。
「落ち着け。ここで騒ぎを起こすな!!」
シャマルが鋭く制した。
ザンザスはシャマルを睨んだが、それ以上のことはしなかった。
スクアーロはうちひしがれて立っていた。
必死で隠し続けていたことがバカのように思えた。
ザンザスはいらいらして舌打ちをした。
愚かなこいつを焼きつくしてもいいのだが、
そういう気にもならなかった。
「カスザメ、てめえはそれでいいのか」
「・・・いいんだぁ」
スクアーロはいつもの元気さを失い、うなだれた。
「勝手にしろ」
ザンザスは不愉快でたまらなかったが、
スクアーロに声もかけずに踵を返し、出口に向かった。
スクアーロはあわててその後ろを追った。
「ザンザス、お前は失ってばかりではない。
早く気づけ!!!」
シャマルは思わず叫んだ。
誰よりも一途な部下がそこにいるのに、
見ようともしない。
怒りに目がくらんだままで、
いつまでたっても、すぐ側の安楽に気づかない。
そのまま破滅してしまうつもりか。

ザンザスの怒りは燃え盛っていた。
馬鹿な行為をし続けているスクアーロへの怒り。
門外顧問としての地位をいいことに好きにしている家光への怒り。
何食わぬ顔をして憐れむシャマル。
何もかも気に食わねえ!!!
ドカスが哀れだなどと、思ったりはしねえ!!
ど畜生!!
カスザメのために、何かしてやろうなんざ、思ったりはしねえ!!
今だに家光にやらせているなどと思いもしなかったが、
だからいつもこそこそしてやがったのか?
やつがどこで何しようと、オレには関係などないのだ。
どんな目に遭っていても、気にかけてやる必要などない。
・・・家光だと?
忌々しい奴だ。
あんな奴にやらせたのか。
あいつは誰とでもやるやつだ。
ゆりかご以降だと?
くたばった二人というのは誰だ?
気に入らねえ。
すべてが憎い!!
憎くてたまらねえ!!









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