R20
悪の華
XS

遠い明日の誓い
Xanxus34-Squalo32
X×S ほか S受


干天



7




ザンザスから呼び出しをうけたスクアーロは、
覚悟を決めて寝室に向かった。
ボスが怒っているのはあたり前だ。
憎い本部のやつに身を投げ出してでも、
ヴァリアーの存続を願った。
ザンザスの生存を願った。
いいも悪いもない。
それしかできなかった。
今となっては役に立ったかどうかも分からない。
分からないまま、今に至っている。
もう身も心も汚れ切っていて、感覚も麻痺しているから、惰性で家光に抱かれる。
今更、抵抗するほどの身体でもない。
ボスもきっとそう思っている。
 
ザンザスはスクアーロに背を向けて立っていた。
スクアーロに強要した男とは誰だ?
一人は、オッタビオではないか。
やつが死んだ時、スクアーロは何かほっとした感じだった。
裏切り者に好きにされていたとは、
ドカスすぎる。
もう一人は誰なのか?
あの沢田綱吉の関係のやつではない。
ディーノや山本武は、おそらく違う。
カスザメ自身も憎んでいる言い方だった。
ジジイの関係者なのは間違いない。
ジジイの右腕だったコヨーテ・ヌガーはまだ生きている。
だから、奴ではない。
では、誰だ?
他の守護者か?
死んでいるなら、誰でもいいはずだ。
だが、気になる。
何かがひっかかる。
くだらねえ。
どうでもいいことだ。

ザンザスは入って来たスクアーロの髪を掴むと、
床に叩き付けた。
何度か殴りつけたが、面白くもなんともなく、気も晴れない。
いらいらした気持ちの行き場はどこにもなかった。
服を引き裂くと、
習慣となっている行為に進む。
スクアーロは何も言わず、必死で声をかみ殺している。
普段、あんなにうるせえのに、こんな時だけは静かになりやがる。
誰にでもやらせるくせに。
そいつらの時にも、しおらしく静かになるのか?
カスが!!!
こらえきれないほどの怒りが急にわき出し、
ザンザスは怒りに任せてスクアーロの内部を蹂躙した。
「ゔぁぁっ!!」
苦痛と快楽の入り交じる声を聞くと、いつも高揚する。
「ふん、てめえは、本当に好き者だな!!」
ザンザスはバカにしたように笑った。
「家光は、良かったか?」
スクアーロはかぶりを振った。
いいわけなどない。
ただ過ぎ行く時間を待つだけだ。
「オッタビオは、良かったか?」
ザンザスの言葉に、スクアーロはびくりとした。
「何故・・・それを・・・?」
「超直感だ」
図星だったことを確信しながら、ザンザスは続けた。
「もう一人は、誰だ? ジジイ関係だな」
スクアーロの顔ははっきり分かるくらい青ざめた。
これだけは知られてはならない。
どんなことがあっても、知られてはならない。
「言え!! そいつに犯られてるつもりになってみろ!!」
激しく中を穿ちながら、スクアーロの首に手をかけた。
こんなにオレをいらいらさせるカスザメなど、いなければいいのだ。
こいつさえいなければ、こんなにムカつくはずはねえ。
なぜ、オレがこんなにざらざらした気分にならなければいけないのだ。
こいつのせいだ。
ドカスのせいだ。
「ひっ!!」
スクアーロは苦痛と快楽のあまり、一瞬意識を飛ばした。
体内に熱い奔流を感じ、身体は勝手に高揚し高みに昇り詰めた。
「言わねえなら、術師を連れて来て、再現してやる。
そいつとどう楽しんだのか、見てやろうじゃねえか」
ザンザスの言葉は、スクアーロを絶望に突き落とした。
「そいつは、死なない。
お前をやりにやってくる。
ずうっと生き続けるんだ」
ザンザスがそう言うと、スクアーロは目を見開いて震え出した。
余程嫌な相手だったのか、唇まで真っ青になっている。
「・・・いやだ・・・それだけは・・・」
「いい術師がいる。そいつを甦らせてくれる」
ザンザスは予想以上の反応に驚きながらも続けた。
家光やオッタビオでも十分に嫌そうだったのに、最後の男を異常なほど忌み嫌っているのが分かる。
誰だ?
そいつは誰なんだ?
スクアーロの目から、突然、涙かぽろぽろとこぼれ落ちた。
「ボス、許してくれぇ・・・。
それだけは、いやだぁ・・・。
ごめんなあ・・・。
ごめんなあ・・・ボス・・・。
・・・このまま殺してくれえ・・・」
スクアーロが泣く所を見るのは初めてだった。
こいつにはそんな神経はないのだと思っていた。
いくら殴っても壊れず、
いくら犯しても懲りない。
悲しみや苦しみなどという感情はないのだと思っていた。
こいつは何も感じないのではなかったのか?
何でも平気なのではなかったのか?
「罰は・・・オレだけでいいんだぁ・・・。
ボスは・・・もう解放されていいんだぁ・・・」
どういうことだ?
これは、どういうことなんだ?
オレを解放するだと?
オレの憎む男といえば、あいつだ。
あのジジイしかいない。
だが、あいつは老いぼれで・・・、
誰も相手にしないと・・・。
ジジイの守護者ふぜいだったら、こいつはここまで嫌がりはしない。
まさか・・・。
「ジジイか」
スクアーロは目を閉じた。
とうとう、ザンザスが気づいてしまった。
どんなことをしても、隠しておかなければならなかったのに、オレは隠し通すことができなかった。
「ジジイなのか!!!!!!」
それまで、ジジイが誰かに手を出したなどと聞いた事もなく、聖人君子のように思われていた。
ザンザスも年寄りだから、そんなことには縁がないのだと思っていた。
おのれおのれおのれ!!!!
身体中から怒りの炎が吹き出した。
クーデターに失敗したザンザスは氷の中に閉じ込められ、
生き延びたスクアーロは、ジジイたちの好きにされた。
さぞかし気持ちがよかっただろう。
さぞかしいたぶりがいがあっただろう。
怒りのあまり、神経が焼き切れてしまいそうだった。
温和で誰にでも優しげなふりをして、
ザンザスにだけは何一つよこさない。
そればかりか、スクアーロまでうばったのか。
ジジイ!!
許せねえ!!
呪ってやる!!
地獄で苦しむよう願ってやる!!
これはオレのだった!!
ジジイと戦うまでは、オレだけのものだった!!
ジジイは何食わぬ顔をして好きなことをしやがった!!
焼きつくしてやる!!
全てを焼きつくしてやる!!
なぜ、オレはこの手であのジジイを殺さなかったのだ!!
なぜ、このカスは黙っていたのだ!!
ど畜生が!!
怒りの炎が吹き出し、身体じゅうに零地点突破の時の古傷が浮かび上がった。
スクアーロはザンザスの体温がどんどん上がり、
身体が炎に包まれて行くのを感じた。
ボスの怒りはもっともだぁ。
このまま焼きつくしてくれぇ。
ボスの側で死ねるなら本望だぁ。
氷の中のボスを待つ思いをしたら、
しあわせな終わりだぁ。
オレにはザンザスが全てなんだあ。
だから、あんたになら何をされてもいいんだぁ。
スクアーロは薄れゆく意識の中、
真っ赤に燃えさかるザンザスを見た。
最後の瞬間に見たザンザスは、
初めてスクアーロがパーティーで見た時と同じ怒りを見にまとっていた。
やっぱりかっこいい。
どんなことがあっても、
ついて行きたいのはお前だけ。







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