top地下食料庫knockin'  on  heaven's  door

■ knockin  on  heaven's  door
       
■  ZORO*SANJI
 

 

■12■
■絶望■
 
 
 

サンジはあれから何もなかったように過ごしている。
今まで以上にはしゃぎ、ナミには下僕状態。
同じ。違うな。
ゾロは歪んだ笑みを浮かべた。
ゾロの視線に、ゾロの言葉に、ゾロの態度にピリピリしている。
そうだろう。いつ体ごと喰いつくされるか分からない恐怖。
なぜ、襲わないか。襲うのは簡単だ。せまい船の中だから、簡単に捕まえられる。
「仲間」に対する遠慮。そんなものはオレにはねえ。
だが、より美味に味わうために、オレはその時間を伸ばす。
腑抜けのサンジより、生意気なサンジの方が楽しめる。オレの征服欲をそそるからだ。
サンジが段々と元通りになっていくのを見るとオレは来るべき日を思い、笑った。
隙だらけだ、お前は。家畜でも同じだ。餌を与え、太らせ、油断させて食う。
もっともお前は家畜じゃねえ。食っても減らねえし、いくらでも食える。
 

サンジは最近ゾロが近寄ってこなくなったので、やっと安心しかけていた。
あいつも反省したのかも知れねえ。
大体、アレだって、てめえらの為にもなったんだし。
背筋を駆け抜ける狂気のような快楽と苦痛。
あんなのには耐えられねえ。オレはキモチいいだけで良かったんだ。

サンジはまた日常に戻る。
来る日も来る日も料理をして。
恐ろしいほど平和な日々。

時々陵辱の影におびえることがあってもそれは影でしかない。
全ては元通りに戻ったかに見えた。

しばらく恐怖しか感じなかったゾロの体。
だが、ゾロの手から離れたサンジの体は、相手を求めて彷徨いはじめる。
誰か。この体の熱をなんとかしてくれ。
ゾロによってもたらされた熱と痛み。
サンジの体はそれを求めていた。
・・・バカな。
あんなことをされたのに、ゾロが欲しい?
欲望しか存在しない愛撫でも?

心がそこになくてもゾロが必要?
そんな筈はない。
オレにはゾロなんか必要ねえんだ。
誰かを欲したら、行き着く先は絶望の地。
 
 
 

13■