top地下食料庫knockin'  on  heaven's  door

■ knockin  on  heaven's  door
       
■  ZORO*SANJI
 

 

■4■
■入口■
 
 

サンジは重い目を開いた。
あー、だりい。なんでかな。
キッチンの天井を見る。体を動かして自分が裸だということに気づき慌てた。
明らかな荒淫の後。急に動いたから、中からゾロの精が流れ出ていくのが分かる。
ちょ・・・。何だよ、コレ。ああ、そういやゾロとヤったんだっけ。
辺りを見回すと、酒を飲んでいるゾロと目が合った。
もうさっきの様子など後かたも残っていない。いつものゾロだ。
多分、自分がこういう姿でなければ、嫌味の一つも言いたくなるような、いつものゾロ。
この目だ。人を見下したような。この目にいつもイライラさせられる。

サンジは精一杯ゾロを睨み返した。
ちっくしょ。余裕みせやがって。
無言で衣服を身につけると、キッチンを後にした。
済んだことは済んだことだ。それについてとやかく言うつもりはねえ。
あの場で色々言ったって、負け犬の遠吠えみてえなもんだ。

でも、シャワーを浴びながら、ゾロの指を思い出す。
ゾロの吐息を。ゾロの肌を。サンジを貫いた熱い楔を。
激しく甘いゾロとのセックス。悪くは、ねえ。女や男にもてるのも無理ねえ。
レディはああゆう男がいいんだろうな。逞しくて、力強い。
明日のことなんて明日考えりゃいい。

夜があける。
サンジはいつものように朝飯の支度にかかる。
ちょっと体がだるいが、大したことではない。
ナミさんの料理。ルフィの料理。長ッパナの料理。オレの料理。そしてゾロの。
食卓に準備仕切らないうちにルフィがやってきた。
「おーーーうまそーーー!!!」
いつもの朝だ。
平和で、食べ物の味が話題の全て。
「ゾロの奴、まだ寝てたぞ。だからオレが食ってやる」
「ダメだ!!ルフィ、てめえは食い過ぎだ!!」
「うるさいわね!!!ねー、サンジ君、ゾロ呼んできてくれない?」
「はいっ!! 行ってきます!!」
サンジはつい返事をしたものの、気は重い。
今までにもヤった人間と生活したことはあった。どってことねえ。気にすんな。
自分に言い聞かせる。

案の定、ゾロはよく寝ていた。
一瞬、昨夜の記憶が蘇る。
胸に走ったスゲえ傷にしたたる汗。今まではどうってことなかった筈の体。
クソ。どうかしてるぜ。
サンジはゾロの腹に足を載せた。起きるまで、圧力をかける。

「・・・。あァ?・・・なんだ。てめえか・・・」
ゾロは自分の腹を踏むサンジを呆れ顔で見た。何してるんだ、コイツ。
サンジは時々、ルフィ程ではないが、とんでもないことを平気でする。
本人は全く自覚がないようだ。まともな環境で育ってないことだけは間違いない。
夕べの事にしたって、そうだ。今まで、どんな相手でも終わった後はオレの気を惹こうとした。
へばりついてきたり、甲斐甲斐しくしてきたり、話かけてきたり。何か言うのが常だ。
だが、サンジはどれとも違った。不服そうなツラをして何も言わず、自分が出て行った。
こういうのは初めてだ。

「メシ、食いやがれ!!」
いつもの口調。いつもの仕種。
ゾロはヘンなところで感心した。ふーん。コイツはいつも通りだ。
夕べ、あんだけ痴態さらしといて平然としてやがる。コイツにとっては何でもないってか。
アレが、何でもないって。あんだけオレにしがみついて腰ふっといて・・・。呆れたもんだ。
まあ、いいけどよ。オレも久しぶりに楽しんだし。
コイツならまたヤってもいい。
 
 
 

表面上は何も無かったかのような二人。
だがもう扉は開いてしまった。
咲き始めた花を止めることは出来ない。
 
 
 
 

5■