top地下食料庫knockin'  on  heaven's  door

■ knockin  on  heaven's  door
       
■  ZORO*SANJI

 

■6■
■溶解■
 
 

久しぶりの陸地。
結構、大きな町がある。
「うひょーーー。楽しそう」
ルフィはもう跳ねまわっている。
ナミも財布を取り出し、何やら数えている。
ウソップも何か欲しいものがあるようだ。

「買い出し当番は、ゾロね」
順番の荷物持ちというくだらねえ仕事。
ゾロはやる気のない目をサンジに向けた。

「ああ、どんな美しいお姉さまがあの町にいることか!!!」
何度となく目にしてきたサンジの豹変っぷり。
アホだ・・・。これだけ女に弱いやつは初めてだ。一種の病気だな。
手に入らないと分かっているから手を伸ばす。
女慣れしなさすぎだ。体は男慣れしてる癖に。

結局ゾロは買い出しについていくしかない。
サンジは黙って歩いているゾロをちらりと見た。
いつも通りだ。お姉さんを見ている時は気にならないが、つい意識がゾロの方へ行ってしまう。
オレとゾロはただの仲間じゃねえ。ただのセックスフレンドなんてかわいらしいもんでもねえし。
船は逃げ場がねえ。だから二人きりになるたびにオレは動揺してる。
ゾロと二人、イコール、セックスになりつつあるからだ。やべえよな。
オレの体はゾロに反応し、開発されつつある。ゾロは強い・・・。いつまででもヤれる。

サンジは考え事をしながら食材を次々に選ぶ。
あーあ。つまらねえな。
ゾロはうわのそらで荷物を受け取る。サンジは夢中で気づかないが、通行人は二人をじろじろと見ている。
ゾロ一人でも目立つのに、今日は特別目立つサンジが一緒だ。
サンジは見られることに慣れているのだろう。全然気にもせず、いつものままだ。
平凡な人々。平凡な毎日。くだらねえ。ゾロは道行く人々を見る。こいつら何がおもしれえのか。

「なあ、ゾロ。ナミさんのサイフだせよ。あの食材どうしても欲しいからよ」
サンジが瓶詰めを指さしている。
「なんだ、そりゃ」
「てめえに渡しただろ。ほら、大事なもの買う時用って。もうオレ全部使っちまったよ」
ゾロは考えた。
そういやナミが買い過ぎ防止の為にオレに金は別に渡すと言ってた。
「ああ。そういや、棚のところに置いてたな」
ようやく意味をのみこんだゾロにサンジは笑顔で返す。
「ああ、それ。出せよ」
無表情で微動だにしないゾロの様子にサンジは嫌な予感がした。
「・・・持ってきてねえ」
・・・やっぱり。がくりとするサンジ。
「どうすんだよ、てめえ!!アレ買うんだぞ!!!体で払え!!なんとかしろ!!」
たてつづけにわめくサンジを店から引き剥がし、とりあえず人気のなさそうな角を曲がる。

「まあ、お兄さん方!!!男前!!!」
期せずして色町街に入ってしまったらしい。あちこちから呼び込みの女達が顔を出す。
サンジの目がハートに変わる。
「マドモワゼル!!!お姉さま!!」
ゾロはそのままサンジを引きずって通りを抜ける。
サンジは腑抜け状態のまま引きずられていく。

やっと少し静かなところへやってきた。
「ゾロのアホ!!!金出しやがれ!!!お姉さまを返せ!!!」
サンジの言い掛かりはさらに酷くなっている。冗談じゃねえ。
でも、今から取りにかえるには遠いし、金なんてもってねえし・・・。どうしたもんかな。
見回してみるとその通りは雰囲気が悪く、やけに男が多い。
ありゃ、ココ、男の色町じゃねえか。ああ、それなら・・・。

サンジに自分の案を耳打ちする。
「あァ?  何でオレが・・・。逆にしねえ?」
心から言っているらしいサンジ。
「ケリより、刀の方が脅しやすいだろ。てめえ、あの食材買うんだろが」
「やだね。10分交代にしようぜ」
誰が代わるか・・・。そう思いつつ、サンジをまず町に立たせることにした。

サンジはゾロが隠れた場所を見た。
ゾロが忘れたんだから、ゾロが囮になるべきじゃねえの。
ま、10分たったら交代だし。ああ、確かにウリやってるようなのがいっぱいいる。
オレもそう見えてんのかな。ゾロは金持ちで弱そうなのがいいって言ったけど、そんなに上手くいくもんか。

見るからにやる気のないサンジを後に残し、ゾロは物陰にかくれた。
案の定、すぐ客が現れた。
「きみ、初めてみる顔だね。いくらだね」
「あァ、オレは高価えぞ」
金持ちそうな男だ。こいつなら金もってそうだ。ゾロはほくそえんだ。
商談成立。サンジと成り金風の男は近くのホテルにしけこんでいく。

別にこのままにしといても金入るんだよな。
ゾロは外から部屋の中の様子を伺う。
サンジが金忘れてたら、このままでオレはとんづらするんだが・・・。
ま、いっちょやるか。

意を決してドアを激しく蹴やぶる。
ベッドの上には胸をはだけられたサンジと全裸でサンジにのしかかる男。
「てめエ、人のもんに勝手に手え出して生きて帰れると思ってるのか!!!」
刀でおどすと、男はぶるぶると震え出した。
「助けてくれっ!!!命ばかりは・・・・金なら・・・ほらこんなに!!!」
へえ、こいつ30万ベリーも持ってやがる。
「いらねえな」ゾロはそう言うと中味をぶちまけた。
「たたた・・・助けてくれ」
「こんなにおっ勃てて何言ってんだか」
さんざんそいつを嬲ったあと、解放してやると、その男は殆ど裸のまま逃げ出して行った。
サンジを見ると、ベッドに額をすりつけて震えている。
怯える愛人役にぴったりすぎる。
こいつ演技しすぎだっての。

「オイ・・・あいつ行ったぞ」
「・・・ククク・・・ギャハハハハハハ。あー、ゾロが美人局!!!まじに・・・・あっ、腹痛え」
コイツ・・・。ずーーっと笑ってたんか。
「だってよ・・・。お前、すげえ、真面目な顔して・・・。ヒャハハハハ」
泣く程笑うか、普通。・・・クソ・・・。許せん。

思わず手に持っていた刀を再び抜いて、サンジにつきつけた。
それまで笑っていたサンジの表情が険しくなる。
「何の真似だよ・・・」
「脱げよ」
刀の先がアゴから胸へ移っていく。
なかなか刺激的なシチュエーションかも。

ああそういうこと。
サンジは素直に服を脱いだ。さっきのバカ男のお陰でゾロの奴、すげえその気になってる。
「てめえのモノでもねえのに、ヤんの?」
「うるせえな。静かにしろ」
ゾロが服を脱ぐと既に昂っていたモノをサンジの顔の前に突きつけた。
サンジは手で刺激しながら先端にちろちろと舌を這わせた。
ああ、またこんなことしてる。
こうなると、もうゾロが欲しくてしようがなくなるのに。ゾロに貫いて欲しくてしようがなくなる。
心ではなくて、体が勝手に暴走して止められなくなる。

そしてサンジの口からは嬌声のみが溢れ出る。
ゾロのもたらす快楽に溺れる。溶け出していく自我。
お互いの体液が汗が精液が混ざり合い、一つになる。
カタチをとどめない欲望と快楽。
それは確かに存在する。
サンジはそれを知ってしまった。

ゾロは割り切れない感情をサンジの中に吐き出した。
平凡な日常より、コレのほうがずっと刺激的だ。
サンジの方がずっと刺激的だ。
ゾロの欲望を受け止めて返すカラダ。このカラダはキモチいい。
サンジのカラダの奥から溢れてくる快楽のエキス。
ゾロはそれを知ってしまった。

心を溶かすのは熱か痛みか。
 
 
 
 
 
 

7■