皇帝の正しくないチェス

6.4 トランスポーズを知っておかないとね


 オープニングを学ぶ上で理解しなければならないものの一つに、「トランスポーズ」があります。

 トランスポーズとは、同じ局面に異なった手順でたどり着くことです。では、一つ例を示しましょう。

 白の初手はf4。いきなりですが、バード・オープニングです(うーん、マイナー・笑)。このオープニングに対する黒の有効な受け手として、1 ...e5があります。これをフロム・ギャンビットと言う(図−6.3.1)のですが、このフロム・ギャンビットは黒の勝率がめっちゃ良いらしいのです。

図-6.3.1
【図-6.3.1】

 このフロム・ギャンビットに対して、白は2手目にe4と指したとします。この形、キングズ・ギャンビットになってますね。つまり、バード・オープニングで始まり、キングズ・ギャンビットにトランスポーズしたわけです。

 このトランスポーズを理解しておけば、手順を変えることによって相手の得意戦法を避けたり、あるいは自分の得意戦法へとあいてを誘導出来たりします。

 上記の例は、わずか2手でトランスポーズしてしまいましたが、もう少し長手数を経てトランスポーズする例がたくさんあります。

 数多くのオープニングの中から、どのような順番でオープニングを勉強すればよいかという指標の一つに、トランスポーズが可能なもの同士を勉強していくというのも手ですね。ん?他にどういうトランスポーズがあるかって?それは教えてあげない(笑)。