またもや、「Attacking the King」という本からパクってきました。実は8.1章「Attacking the castled king」の続きなんです。
しかし、サクリファイスの方法にも名前がついているのはオドロキですね。
この名前にもなっているグレコさんですが、17世紀初頭のイタリアの超有名なチェスプレイヤーです。
で、最初に見てもらいたいのは、8.1章にも出てきたコレです。ということで、図−8.2.1を見てください。
今回、注目するのは、f6に居座るナイトです。ということで、このナイトの働きをおさらいしておきましょう。
(1) h7のポーンを守る。
(2) g4あるいはh5への相手クイーンの進出を防ぐ。
でしたね。
このGureco's Sacrificeにおいて重要なのは、このf6のナイトをまずどけてしまうことです。その隙に、h7へビショップをサクリファイスし、そのままクイーンとナイトで攻め込んでしまおう、ということですな。
ということで、実際にこのグレコさんのゲームを見てみましょう。
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【図-8.2.2】 |
なんじゃ、こりゃ!?というオープニングですが、1619年のゲームなので、そこらへんは未発達なのですな。
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【図-8.2.3】 |
グレコさんは、6.e5でf6のナイトをどかします。さすがはグレコさん、f6にいるナイトが如何に守りに利いているかをちゃんと理解しているわけです。
ナイトをどかしたら、間髪入れずに 7.Bxh7!とサクリファイスをかまします。
黒のキングは、3つのポーンで守られていましたが、h7のポーンは失われ、なにやら危なっかしくなってきました。
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【図-8.2.4】 |
8.Ng5でチェックです。キングの逃げ場も余り無いようですね・・・。
(a)8. ... Kh6 は、9.Nxf7 でダブルチェック兼キングとクイーンのフォークです。
(b)8. ... Kg6 は、9.h5 Kf5 10.g4
(c)8. ... Kh8 は、9.Qh5 Kg8 10.Qh7
(d)8. ... Bxg5 は、9.g5 Kg6 10.Qh5 Kf5 11.Qh3 Kg6 12.Qh7 とここらへんは全部メイトです。
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【図-8.2.5】 |
10. ... f5 で、黒はキングの逃げ道を作ろうとしましたが、11.g6でその逃げ道を塞がれてしまいました。12.Qh8のメイトを防ぐ手だてが無く、黒はリザインです。
一般的には、白番もキングサイドにキャスリングしている場合が多いですから、なかなかhポーンを突くことは難しいのが実際のところでしょう。
ということで、このグレコさんのサクリファイスをかます為の4つの条件を書いておきましょう。
(1) 相手のナイトをf6の地点からどかす。
(2) 自分のナイトは、g5の地点に危険無く行ける状態である。
(3) 自分のクイーンが、直ちにキングサイドの白マスへと進出できる状態にある。
(4) 相手のキングが Kxg7 とした後に、このキングを攻めるに足る駒が用意できている。
と、まぁこんな感じでしょうか。
サクリファイスというのは、駒損と背中合わせですが、決まれば気持ちのいいものです。こういう手筋を覚えておけば、サクリファイスから一気にメイトという快感を味わえるかもしれませんよ。
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