図−1.1:もしポーンをもっているキング(白)が自軍のポーンの進行に手助けが全くできない位置にいた場合、争点はポーンと敵(黒)のキングとの競争になる。
この競争は2つの方法で計算することができる。
A.四角形(ポーンの進行領域範囲)の原則
ポーンが1つのコーナになる四角形を描きなさい。横の範囲は縦のクイーンになる枡(昇格枡)の長さと同じにする。
図−1.1のような四角形を描く、守る方のキング(黒)が自分の手番であり、そのキングが四角内に入れればドローであり、入らなければ負けである。
図−1.1で黒番なら引分け。
キングが四角形の中に入りドローになる。
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【図−1.2】 |
図−1.1から、白番なら白の勝ちになる。
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【図−1.3】 |
B.数える(手数)
A,Bともいい方法である。
クイーニングスクエア(昇格枡)までの手数をポーンとキング両方に数える。
白(攻撃側)の手番のときは黒より手数が少なければ勝ちで同じか長い場合は引分け(ドロー)。
図−1.1で数えるとポーンはa8まで4手かかる、キングは5手かかる。よて白の手番であれば白勝ち。
このことはAの方法でも分かる。しかし1…Ke4!の後で数えるのと同じになり引分け。
私(スピールマン)にとってはAのほうが使いやすく簡単である。Bも使うぶんには全く問題はない。
C.分析-アナラシス(手を読む)
「ここに行って相手がそこに行き、そちらに行ったら、ここで相手はどこに行くだろうか」
これは初心者のやりかたで薦めたくない。
少し変化手順
ポーンが2段目にいるときは2枡進めるので3段目にいるものと考えた方がいい。
そこで図−1.4ではa3にポーンがあるものと考え四角形(スクエア)を描く。
・白の手番なら1.a4で白勝ち。
・黒の手番なら1. ... Kf3!で引分け。
基本的なキングとポーン対キングの局面である。
これについてエンドゲーム理論を展開していく。ここでは「ツークスツワンク」である。白の手番なら引分け、黒の手番なら白勝ちである。
白の手番
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【図−2.2】 |
これは絶対手(ポーンを守るため)を指すことで、ステイルメイト(引分け)になってしまう。
1.d7+のかわりに他の手を指したとしても黒のキングをポーンの前で行ったり来たりする限り問題はない。
もう一つ、図−2.1から下のような手順もある。
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【図−2.3】 |
2. ... Ke8??(あるいは2. ... Kc8??)はできない。
3.Ke6 Kd8 4.d7で白勝ち。
黒の手番
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【図−2.4】 |
図−2.4となると、白の4.d8=Qは防げない。
ツークツワンク(zugzwang)
どの手を指しても不利になる局面で、指さないほうがましであるが、指さなければならない局面をいう。
図−2.5で黒の手番とすると、正確に手を選べなければならない。
もうおわかりのように1. ... Kd8!である。
図−3.1の局面ではどのように動かそうとして白勝ちである。
白の手番
黒が「オポジション」をとっているが、次の図−4.1と比べてみるとよい。
白のキングが6段目まで進出しているので「オポジション」は関係なくなる。
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【図−3.2】 |
1.Kh6!のところ、1.Kf6?は指さない方が良い。
1. ... Kh7 2.g6+??(2.Kf7! Kh8 3.Kg6! Kg8 4.Kh6!で本譜と同じになる)Kh8 3.Kf7または3.g7+ Kg8 4.Kg6でステイルメイト。
1. ... Kh8のところで、もし1. ... Kf7あるいはKf8とすると、2.Kh7でその後の3手(g6-g7-g8=Q)で勝ち。
黒の手番
図−3.1から・・・。
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【図−3.3】 |
このままポーンを伴って(併走して)白の勝ち。
キング同士が1枡あけて向かい合う形の時、手番でないほうが「オポジション」をとったことになる。
普通オポジションを取った方が有利である。
動かす(手番)方が相手のキングにいい位置を占められることになるからである。
図−4.1では白番であれば引分け、黒番であれば白勝ち。
白の手番
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【図−4.2】 |
1.Kh5のところ、1.Kf5なら1. ... Kf7!(黒は敵のキングを通させてしまうと負ける)としてキングの進路を妨げられるので、白はポーンを突かざるを得なくなる。
3. ... Kg8のところ、3. ... Kh8??あるいはKf8??はいずれも間違い(図−2.1参照)。
図−4.2でステイルメイトとなる(引き分け)。
黒の手番
図−4.1から白がオポジションをとって黒のキングを退散させる。
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【図−4.3】 |
1. ... Kh7のところ、1. ... Kf7なら2.Kh6となる。
3.Kg6のかわりに、3.g5 Kh7 4.Kf7!でも白勝ち。
図−4.3の局面は、図−3.1と同じになり、白が勝ちとなる。
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