2年連続で出場とはいえ、緊張の第1R。お相手は東大チェス部のI君。勿論、初めての対戦です。
実は東大チェス部(TUCC)のHPには、私のHPにリンクが貼られており、I君は私のHPは知っていたものの、まさか自分の目の前に座っているのが「皇帝」とは知らなかったわけです。
そのことが、実に恐ろしい展開(?)を招いたのです・・・。
[Event "Zenkoku Taikai"]
[Site "PIO"]
[Date "2002.04.29"]
[Round "1"]
[White "Y.I"]
[Black "anon-emperor"]
[Result "1-0"]
参考資料:「The Dutch for the Attacking Player」Steffen Pederson著
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【図−1】 |
私が黒番ということで、図は黒番から見たものになります。
などと呑気なことは言っていられない、2.e4です!なんと、スタウトン・ギャンビット!!
ギャンビット皇帝様と言われるこの私にギャンビットを仕掛けてくる不心得者がいるとは!!!
ともあれ、I君は「皇帝にギャンビットした男」として、名を馳せることになるのでした。
さ、冗談はさておき、棋譜を続けましょう(笑)。
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【図−2】 |
2. ... fxe4と勿論アクセプトします。ギャンビッターはギャンビットされても逃げません(笑)。
4.f3 がスタウトン・ギャンビットのもう一つのポイント。これに対する黒の正しい応手は、4. ... d5で、5.Bg5 Bf5 6.fxe4 dxe4と進みます。
しかし、真のギャンビッターはこれもアクセプトします。しかし、参考資料によると、4. ... exf4 is considered a little riskyだそうで・・・。
局後の検討では、5. ... e6は良くないとか。
この後の展開でも出てきますが、白はBd3としてビショップでh7の地点を狙うプランがあるので、未然にそれを防ぐ 5. ... g6が良いとのこと。
実は、後でO君(6Rの対戦相手)に聞いたのですが、I君はこの 5. ... e6を見た瞬間に「勝った」と思ったそうです(笑)。
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【図−3】 |
うぉぉ!ギャンビットの次はサクリファイスですかぁ!
にしても、フリッツ君によると、白の手はかなり乱暴のようです。
8.Ne5? では、8.Be3 b6としてほぼ互角とのこと。
8.Ne5?を咎めるには、8. ... c5!? 9.Ne2 Nc6 10.Nxc6 bxc6で黒良しというのがフリッツ君の判定です。
しかも、9.Rxf6?がこれまた無茶なサクリファイス。9.Qf3とすべきだったようですが・・・。
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【図−4】 |
フリッツ君に言わせりゃ悪手扱いの 9.Rxf6?ですが、かまされた私は完全に雰囲気に飲まれてしまいました。
その後の悪手連発が私の精神状況を良く表していると言えるでしょう。
9. ... Rxf6??がヒドイ応手。単純に、9. ... Bxf6で黒良しでした。この後、10.Qh5とされても、10. ... g6で大丈夫です。
11. ... g6も完全にびびってしまっている手です。11. ... Nc6!? 12.Bxf6 Bxf6で黒良しでした。
いずれにせよ、e5に居座る白のナイトと、b8で遊んでいる黒のナイトを交換することを考えるべきのようです。
同じナイトでも、働きが全く異なる駒の交換ですが、この交換は黒にとって有利な交換になるはずでした。
15.Rf6はミエミエのルーク侵入。黒の私は防戦一方の気分でしたが、フリッツ君は依然として黒良しの判定です・・・。
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【図−5】 |
うお!白のキングサイドのポーンがとうとう前進してきた!
この時点で私はもう顔面蒼白なのですが、フリッツ君によると「黒良し」
18.g4?も本当は良くない手らしいです。18.h5!?が正着とか。
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【最終図】 |
19. ... Ne7??が大悪手で、逆転の白有利。
20.Ne2で、次の 21.Nf4からのキングサイドアタックが防げないと判断してリザインしました。
19. ... Qe7が正着で、その後は 20.Bxg6 h6 でなおも黒が有利とのことです。
しかし、最大の問題は私の形勢判断。9.Rxf6?のエクスチェンジ・サクリファイス以降、私は精神的に完全に負けていたわけで、その後の形勢判断もずーっと「黒不利」と思い続けていました。
その判断の誤りが、そのまま私の指し手に影響を与えていたわけで、「黒が有利なんだ」とわかっていれば、もっと違う指し回しが出来たと思います。
そう考えると、形勢判断の重要性というものがわかりますね。こうしてフリッツ君の分析を見ると、反省することしきりです(号泣)。
ところで、対局後はI君と一緒に食事をしまして、その場で私が「皇帝」であることを告白しまして、I君も「え〜、そうだんたんですかぁ!?」という落ちがついたのでした(笑)。
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