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『戦争の世紀を生きた男たち』
「普通の人」の個人史
《個人史を文学に高め、個人史の教科書ともなる》
著
者 林
健 生 体 裁 四六判(19.5×13.5cm)202ページ 発 行 所 芙蓉書房出版 発 行 日 2000年6月 定 価 2000円+税 |
自分の人生を家族やまわりの人に伝えたいと思いませんか。
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★庶民も著名人も、サラリーマン、パン屋、時計屋、歌手、教師、科学者、技術者など多様な職業の日本人9人の生きざまを感動的に描く。 実感がもて、親しみのある人物画(ポートレートイラスト)つき
★東京都教育委員会講座企画コンペ優秀入選「個人史講座」から生まれた著作
★登場人物
1. 元通産省工業技術院化学技術研究所長
- 死を賛美する陸軍幼年学校から戦後へワープ: 戦中・戦後の狭間で、大日本帝国陸軍幼年学校から普通科中学へ復学し、激しく揺れる人生のスタートを切った。山に対する愛着が、曲折を経て化学者への道をとらせる。鯨油から天ぷら油をつくる研究で博士論文をものにし、ドイツに留学する。工業技術院化学技術研究所所長に昇りつめ、外資系化学会社研究所長へ。
2. 元日本鋼管勤務 −
永久に消えない太平洋戦争の苦しみ: 生きいきとした若者の生活から引き裂かれて中国戦線へ。音楽にまつわる戦地のエピソード。一転して、魚雷攻撃でフィリピンの海に投げ出されるが、救助される。そして太平洋戦争でもっとも悲惨といわれたニューギニアの戦場。飢餓と敵襲のなか死線をさまよい、かろうじて生きのびて故国の土を踏む。平和と戦争の強烈な対比の人生を語る。
3. ダーク・ダックス -
父のレコードが歌手を育てた: 毎日のようにレコード音楽を聞き、歌を歌った子ども時代。蓄音機に布団をかぶせてこっそり音楽を聞いた戦時中。中学の送別会で認められた歌の実力。芸大時代、ステージ活動をひとに知られないようにとかけた伊達眼鏡。レコードが育てた歌の人生。ダーク・ダックスの歌が不治の病の少女のホスピスとなった、ダークの歌が離婚を思い止まらせた。歌は命だ。
4. 時計屋 -
クォーツの波にもまれる町の時計屋: 東京の下町の時計屋の息子は近所のご隠居に可愛がられた子ども時代を過ごす。戦時中は勤労奉仕に明け暮れた。戦後、米軍キャンプの臨時雇用から始まって英語力で正式雇用になる。やがて父の時計屋を継ぎ、津田沼に支店を出すが撤退。子どもの高校進学に直面し学校教育の問題点に関心をもつようになり、高校PTA会長として活躍。
5. 水道設計業 -
満州に刻んだ青春と悲劇: 東京市を振り出しに、満鉄、自営と、60年間上水道設計と敷設の仕事。日給90銭の東京市臨時工手から、日給2円40銭の満鉄職員に。旧満州では、ピストルを携えて仕事。つかの間の青春と新婚時代を味わうが、敗戦で他民族支配社会が崩壊し、二人の幼子を栄養失調で亡くす悲劇を体験。「寄らば大樹、学歴、できたら独立」の人生哲学に到達。
6. 元ソニー勤務
- テレビのシェアテストで札幌満喫: 小学校5年生のときに北朝鮮で日本の敗戦を迎え、混乱のなかで1年かかって帰国。以後学齢は1年遅れとなる。ソニーに就職しトリニトロンテレビのシェアテスト、銀座のソニーショールームでコンパニオンの女性に囲まれた仕事など、さまざまな経験を積むなかで、サラリーマンとしての達成感と充足感に浸たる。でも、通勤だけはつらかった。
7. 元大同生命保険勤務
− 新婚生活は一部屋の社宅から: 生命保険会社に外勤セールスマンとして入社。37年間勤めて、経済大国日本の軌跡をそのままたどるような職業人生を歩む。全国各地へ転勤の連続と引き換えに、一間でトイレ・台所共用の社員寮からはじまって、2DK一戸建て、敷地100坪の豪華社宅へと出世していく。サラリーマンは軽い責任でやり甲斐のある仕事が一番という哲学に到達。
8. パン屋
- 人生の出発点、疎開生活: 人生に大きな影響を及ぼした戦時中の疎開生活、高校受験のつまずき、運動部の体験が、地域社会での活動の原動力となる。単刀直入の性格が人を惹きつけ、地域のさまざまな会の役員、会長を務める。父から継いだパン屋を改革、パンメーカーのチェーン店に位置づけ、新しい業態に脱皮。後継体制も準備し、年中無休で頑張る一方で、商店会を元気づけるために奔走。
9. 元教師
- 極道に堕ちた教え子がすがった教師: 人間差別社会の中に育ちながら反発し、戦時中台湾で台湾人国民学校の教師となる。戦後、日本の中学で型破りのやりようで人間平等を貫き、エマースンの著作から「子どもの味方となれ、子どもの美点の愛者たれ」を取り上げて実践。悪ガキを手なずけたが、卒業後ヤクザの親分になった教え子の短い人生を、今もいとおしむ。
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