※ ここから先は世界がマイソシアではなくなります(笑)


― 終焉の果てに ―


さわやかな朝だ。
空はどこまでも青く、木々はどこまでも生い茂り、風はどこまでも涼やかで。


「カマーン」
「カマーン」

「おはよう、みんな」

少女は庭でかみ合った動きをするカマキリに挨拶を交わし、朝露の輝く畑へと向かう。

「おはよう繊維」

「お、おはよう……」

畑には食物繊維が植えられていた。

「さて、今日も収穫と行きますか!」

巨大な金棒を片手で軽々と振り上げる少女。

「ひぃぃ――――――!!!!」

ぐしゃ! ばき! ずど――――ん……

まるで食人鬼が暴れまわっているかのような音とともに、食物繊維を収穫する少女。

「さーて、みんな起きて! 朝ごはんよ!」


少女の収穫した食物繊維をかじりながら、数人の冒険者が雑談を楽しんでいる。
曰く、何々というモンスターは貴重な武器を落とすらしい。
曰く、どこそこという国の王様の態度が豹変したらしい。
曰く、世界は丸いと主張して島流しに遭った学者がいるらしい。


それは、至って平穏な一日の始まり。
それは、至って幸せな一日の始まり。


……これで、自分の傍にあの少年がいたのなら。
どんなに最高の一日の始まりになっていただろう。

最後の日に感じた彼のぬくもりを思い出し、少女は己の胸を包み抱いた。



 

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