― 終焉の果てに ―


――見つけた。


「?!」


パチパチと、暖炉が音を立てている。
しかし、その音に混じって響いたのは……まぎれもない人の声。

「痛いっ!」

食物繊維を床に放り投げ、食物繊維の悲鳴を無視し、暖炉へ近づく少女。
その少女の目の前で、暖炉から黒い煙が勢い良く噴出した。
……いや、それは煙ではない。煙に似たそれは……闇だ。

「!!」

煙と共に、巨大な黒い塊が暖炉から転がり出す。
 ごろごろと家の中を転がり、壁にぶつかって動きを止める。

「…………」

突然出現した謎の物体に、それぞれの得物を構え警戒する冒険者たち。
すると、冒険者の目の前で黒い塊はもぞもぞと動き始めた。

「……よっと」

「っ!?」

意外なほど軽快な声と動作と共に、少年は身にまとわり付いた混沌をふるい落とした。



「――――」

「……えーと、何て言えばいいのかな、こんなとき。
ただいま? お待たせ? それとも……――?」

少年の言葉は、少女の抱擁に遮られた。

「――おかえり、ダーリン」



 

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