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画像: オニキオプシス・エロンガータ
採集地:石川県石川郡白峰村
採集日:1976年5月2日
採集化石:植物
時代:白亜紀前期
1976年父の郷里に帰省する際、少し遠回りになるのだが石川県の白峰村へ行って化石を採集して行こうということになった。
白峰村は手取層群が分布しており、明治7年にライン博士が白山登山の際、植物化石を発見し日本に中生代の陸成層が存在することが初めて世界に報告された記念すべき産地だ。そんな有名な産地に一度行ってみたかったのだ。
岐阜から白鳥、勝山を経てやっと白峰村へ到着した。しかし、相変わらず地名だけで来ているので産地がわからない。そこで、村にある売店で買い物をした際、店の人に聞いてみると、今来た道を戻らなければならない事がわかった。早速引き返してみると、産地は林道沿いの崖で、丁度ダム工事(手取ダム)をしていたためか転石が沢山落ちていた。その転石を見ると植物化石が入っているのが確認できる。私たちは夢中になってこれらの化石を採集した。
採集できたのは、シダ、イチョウなど植物が中心で、貝類は全く見当たらなかった。特に気に入っているのは、というシダ化石で、小さな岩片に折り重なるように密集しているものだ。
他にアサクボミオビシダという所属不明の植物の葉や、オニキオプシスという手取層群の代表的なシダも採集できた。しかも、どれも保存状態が非常にいい。さすが白峰村だ。私たちはこの結果に大いに満足して、産地を後にした。
その後、中日新聞に白峰村からカメの化石が発見されたと報じられた。私たちは「やはり出たか!」と思った。あれだけ保存がいい化石が出るのだから、カメが出ても不思議じゃないと思ったからだ。
また、後で聞いたのだが、私たちとほぼ同じころ白峰村に入ったグループが、日本初の恐竜の歯の化石(正式な記録にはなっていないが)を発見している。とにかく素晴らしい産地なのだ。
残念ながら、現在は天然記念物の「化石壁」はもちろん、白山付近の国定自然公園区域におけるの一般の採集は禁止されている。