File25

- ようやくアンモナイトが -




やっと見つけたアンモナイト
パルチセラス・オテケンセに比較される種


  いつものようにSさんと化石談義をしていると、最近荘川村に入って、同行した方が大きなアンモナイトを採集したという話が出た。来月にも仲間と出かけるということなので、私もご一緒させてもらうことにした。

 当日AM8:00に一宮IC入り口付近で待ち合わせをして、東海北陸自動車道を北上、長良SAで他の方と合流することとなった。他の方はNさん、Mさん、Hさんという方でSさんのマラソン仲間ということだ。Mさん、Hさんは化石採集は初めてで、Nさんは20年ほど前に化石を採集した経験があるそうだ。Nさんはヒロキ君というお子さんを連れてきていた。バーベキューの用意をしてきたということなので、途中、白鳥で弁当と肉を仕入れて、現地にはAM10:30ごろ到着した。

 採集地はやはり私が前に採集した場所だった。Sさんの話では、ズリが積もったところから30cmくらい下の層がポイントらしい。以前Sさんが来た時にはその層を露出して帰ったそうだが、それ以後誰かが入って採集をしたらしく、その層は埋もれてしまったようだ。仕方なく、足元の邪魔になる転石を片づけることから始めた。転石の中から早速二枚貝が出てきた。はっきりとした特徴がでているものだから、これを露頭から切り出した本人は当然気がついているはずだ。どうやらこの先客は二枚貝の化石などには目もくれていないようだ。転石がある程度かたづいたところで、目的の層を露出する作業にかかった。

 露頭中央は大きくえぐれ、その上にある木が今にも倒れてきそうな状況なので、向かって左側の危険の少なそうなポイントで邪魔になる岩を取り除く作業にかかった。作業にかかってしばらくして、別の露頭で採集していたNさんが、「出ましたよ。」と声をかけてきた。早速降りて見てみると直径3Cmくらいのアンモナイトだった。これを見て私は、先回来た時の光景を思い出した。その時は親子連れが5分ほどでアンモナイトを見つけ、僕はめぼしいものは採集出来なかったのだ。少し焦りを感じながら作業を再開した。

 しばらくするとテトリミヤが出てきた。しかし、あいかわらず保存状態がよくないので、誰かにあげようと思いズリの上に置いて作業を続けた。Sさんが「何か出た?」と登ってきたので「テトリミヤが...」とあまり欲しくないように言うと「磨くときれいになるよ。」といって母岩から取り出して手渡してくれた。まあ、せっかくだからもって帰ろうと露頭のテラス状になった場所(道具や収穫物を置くには丁度よかった)に置いて、露頭の岩をはがす作業を開始した。テトリミヤが出た層は風化の度合いが強くバールの刃も入りやすい。しかし、目指すアンモナイトはこの層からはあまり出ないそうだ。もう少し掘り進むと少し石が変り紫色がかった石になってきた。この層からはあまり化石は出ないようだ。さらに掘り進むと今度は黄色がかった石になってきた。Sさんの言うにはこの層にアンモナイトが出るそうだ。この層にぶち当たった時点で昼食となった。

 Nさんたちは慣れた手つきでバーベキューの準備を始め、みるみる肉が焼け始めた。。ヒロキ君はまだ露頭でハンマーを振るっている。よほど化石採集が気にいったのだろう。白鳥で仕入れた肉は油が乗って、とても美味しかった。Sさんも「まさかここでバーベキューができるなんて!」と御満悦の様子だった。

 楽しい昼食が終わり、採集を再開した。Sさんたちは「みんなあまり収穫がないので別の産地に行く」といって出かけていった。私は露頭掘りが途中なのでここで粘ることにした。

 黄色の層はまだ少ししか出ていないし、上部層と違ってかなり固いのでバールの刃が入らない。そこで、上の層をもう少し剥がして掘りやすい状態にすることにした。はじめ、流木以外あまり化石は見当たらなかったが、下部層に向かうにしたがって、トラキアが出始めるようになった。ゴニオミヤという二枚貝も見つかった。続いてちいさなアンモナイトの破片がでて来た。やはり、黄色の層がアンモナイトを多く含む層だというSさんの話は間違いないらしい。

 やがて、黄色の層を大きく露出させることができた。表面を観察しようと小さく割れた石を払っていると、その中に肋が刻まれた半月状のものが出てきた。私は思わず声が出てしまった。それは、大きなアンモナイトの住房部だったのだ。私は少し慌てた。へその部分がどこかにあるはずだ。必死になって探したが、結局見つからなかった。キャストが露頭の表面に残っていたので、よく見てみるとへそは付いていない。どうやら、最初から住房部のみが保存されていたようだ。

 しばらくして、Sさんたちが帰ってきた。早速取れたものを見てもらい、Sさんが皆に僕の採集品を解説した。皆感心して説明に聞き入っていた。それにしても少し欲張りすぎたようで、リュックには入らず持参したカゴに入れ皆に車に運ぶのを手伝ってもらった。Sさんたちもテトリシジミやカキなどそれなりに採集できたようだ。Sさんが「お土産に」とテトリシジミの化石をくれた。

完全体はでなかったもののアンモナイトも採れたので、まずまずの結果を残すことができた一日だった。


File24へ    第三章インデックスへ戻る       File26へ