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今回の古民家再生は主に耐震補強をメインに計画し、外観についてはほぼ既存の形を保存する形で改修を行っています。 今回耐震補強の方法は、従来のような耐震壁を設ける形ではなく、「限界耐力計算」という新しい構造設計法を用い、「仕口ダンパー」「荒壁パネル」といった新しい耐震材料を導入することで、日本 の民家の特徴である開放的なプランをほとんどそのまま保存する形での改修を目標としました。今回の改修工事にあたっては、兵庫県の「わが家の耐震促進事業(H17年度)」の補助金を受けて、耐震改修工事をおこなっています。

S邸は木造瓦葺き厨子2階建、平面は平入り4間取りの伝統的な農家住宅で、正確な建築年は不明ですが、「建築年(明治22年) の入った家相図が残っている近隣の親戚の家よりも古い時代に建てられた」と伝えられている事から、明治初期と考えられます。

建物の改修暦としては、西側に和室が増築されていたが、改修前の次点は取り壊され、屋根だけが残り、北側には釉薬瓦葺の平屋の台所が増築されていました。 しかし増築された部分の屋根の形状が不自然であり、既存部の屋根との間に谷樋が生じているため、漏水の原因になっていました。既存部の大屋根も瓦のズレ等により漏水している箇所があり、構造体である梁や柱にも腐朽や傷みが見られました。 また白蟻によるものと思われますが、床の間横の柱、オクノマ・クチノマ の間の縁側の柱が鴨居の下で接木をされていました。この継ぎ手に部分は強度的な問題があり、補強を要しました。今回の改修計画では、雨漏りの対策と耐震補強をメインに計画を行いました。大掛かりなリフォームは玄関部と台所・食堂、トモマチのみ行い、外観については施主の想いもあり、特徴的な虫籠窓を残し建物のイメージを保存する形で改修を行いました。

第7回くすのき建築文化賞コンクール受賞

耐震改修後の様子
 
耐震改修前の様子
   
耐震改修時の様子
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|| 耐震改修方法の概要 ||

今回耐震改修の方法として、従来の壁量規定による許容応力度計算法ではなく、地震時の建物の損傷度合いを定量的に評価する限界耐力計算法を用いている。 この計算方法に基づき、必要な箇所に壁を新設し、既存の壁の補修も行った。壁の材料には粘り強い耐震性能を持つ「荒壁パネル」を使用している。 また必要に応じ「仕口ダンパー」を柱頭・柱脚に設置をおこなった。

度重なる増築で、付け足された西側便所、北側の台所、西側の和室跡の屋根を撤去し、シンプルな形状のプランとすることで、漏水しにくい屋根形状にした。 またバランスの良い形状は耐震改修にも有効であった。

屋根は竹スノコの上に土を乗せた瓦葺きで重量のある形状であった。これをいぶしの桟瓦葺きに変更することで、屋根の軽量化を計っている。

基礎は礎石の上に柱が乗る形であったが、基本的に変更は行わなかったが、地震時に柱が横に動き、基礎から踏み外さないように鉄筋コンクリートで大きくしている。 床下は柱、根がらみ、大引き、根太とも傷みが激しく、白蟻も入っていたため、床組みのほとんどは取り替えを行った。 傷んだ柱の下部は取替え根継し、傷みが酷い柱については添え柱を行った。

 

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建築地 兵庫県
地域・地区 ---
構造・規模 木造・伝統工法 2階建

敷地面積 ---.--u(---.-坪)
延床面積 193.39u(改修前)
延床面積 171.95u(改修後)

意匠設計: 古田建築設計事務所 古田充 大久保武志
構造設計:ルート構造設計 太田彰

施   工: いない建築


□外部仕上表
  屋根/いぶし和瓦 三州(桟瓦に葺き替え)
  軒裏/(2階)しっくい塗り、(1階)杉板化粧
  外壁/土塗壁、焼杉板
  建具/アルミサッシ 複層ガラス(一部)
  
□内部仕上表
  壁/しっくい塗り、珪藻土塗り仕上
  床/フローリング貼、窯変敷瓦
  天井/杉板ベンガラ塗り

□主な設備
  冷暖房/既存の物を使用
  給  湯/既存の物を使用

□ホームページ/TOP
□住宅作品集/Archive
□設計監理の流れ/Flow Chart
□事務所プロフィール/Profile

(株)古田建築設計事務所
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