前回、意味もわからずに入力してもらった3行のソースをもとにPOV-Rayのシーンファイルの解説をしていこうと思います。
POV-Rayでレンダリングするためのシーンファイルに最低限必要なものは3つあります。
それは、「カメラ」「照明」「被写体」の3つです。
被写体がなければレンダリングする意味がないですし、カメラがないとレンダリングすることができません。
レイトレースではカメラに入ってくる光を追跡するのですから、光源、つまり照明がなければ何も見えません。
前回のソースをもう一度みてみましょう。
light_source { <10,10,-10> color rgb 1 }
camera { location <0,1,-5> look_at <0,0,0> }
sphere { <0,0,0>,1 texture { pigment { color rgb <1,0,0> } } }
それでは1行ずつ解説していきましょう。
1行目は照明の設定です。
"light_source {・・・}"の{ }の中に設定を入れていきます。
"<10,10,-10>"は照明の位置で、x軸、y軸、z軸の順に記入します。
POV-Rayでの座標は下図のようになっています。
"color"というのは色の設定をする命令です。
"rgb 1"というのは赤(r)、緑(g)、青(b)の全てが1であるという意味で、これは白色になります。
2行目はカメラの設定です。
"camera {・・・}"の{ }の中に設定を入れていきます。
"location <0,1,-5>"はカメラの位置を、"look_at <0,0,0>"はカメラが見る位置を決めています。
3行目は被写体の設定です。
"sphere {・・・}"というのは球を作るための命令で、{ }の中に球の設定を入れます。
"<0,0,0>,1"というのは<>内が球の中心の位置、その後の数字が半径を表しています。
"texture {・・・}"の{ }の中では、その球の表面の状態を設定しています。
"pigment {・・・}"の{ }の中は色の設定です。
照明と同じように"color"で色を決める命令を出し、"rgb"で色の内容を設定します。
この球の場合は"rgb <1,0,0>"としているので、赤1、緑0、青0となって、赤い球となります。
ここまでの内容を図示すると下のようになります。
今回のソースは非常に簡単ですが、実際にCGを作ろうとすると照明やカメラもいろいろ設定を追加しなければいけません。
どんな設定があるのかを簡単にあげてみようと思います。
照明には、点光源、スポットライト、円柱光、面光源などがあります。
それらの設定は"light_source {・・・}"の中に記述します。
また、照明は1つだけでなく、いくつでも設定できます。
カメラには、普通のカメラ(パースペクティブ)の他にパノラマや魚眼、超広角など種類がありますが、通常はパースペクティブでいいと思います。
カメラの設定には、傾きや視野の角度の設定、焦点、ゆらぎなどもあります。
それらの設定は"camera {・・・}"の中に記述します。
被写体、つまり物体には、箱、球、円柱、円錐、回転体、無限平面、ベジェ曲面などさまざまな種類があります。
しかしそれらを使ってPOV-Ray単体でモデリングをするのは非常に困難なので、通常は他のモデラーで作ってからPOV-Rayにもってくるといった手順を踏むことになると思います。
ただ、それらのモデルを解析したり簡単な物体(無限平面など)を追加するためには、あるていどの知識は必要となります。
今後はメタセコイアで製作したモデルをPOV-Rayでレンダリングする手順について解説していきます。