Fu-Ken's Room

POV-Ray でイロイロやってみよう!

第三回 POV-Treeで植物を(中編)

POV-Tree で木を作成する場合、パラメータの多さに頭を抱えることになると思います。
そこで、今回は基本となるパラメータのみを解説します。
細かいパラメータについては、各自で確認してください。
また、POV-Tree の各項目の横には緑の (T) マークがあると思いますが、それをクリックすると説明がポップアップするので、利用してみましょう。

1. 基本構造

POV-Tree では下図のような要素で木を構成します。

全体像

それぞれの要素ごとに本数や太さ、角度、曲り具合を設定することになります。
ただし、長さについては要素ごとではなく、その要素の先に付いている要素との関係で決まってくることに注意する必要があります。
なお、長さの単位は「cm」で考えることになります。

では、タブの左から説明していきます。

2. Tree(木全体の設定)

このタブでは出力するパーツの選択と、各パーツの精度を設定します。
Name に名称を入力すると、TOMTREE 用のファイルに出力したときにコメントとして書かれます。
精度はデフォルトのままで特に問題はないと思います。

3. Root(根

root

Number : 本数
Start At : 地表何cmの高さから根が生えるか
Length : 長さ
Thickness Ratio : 太さ(幹を1としたときの太さの比率)
Angle : 地面に入る角度(0:水平、90:垂直)
Bend,Curve,Sang : 曲がり具合(大,中,小 Value:角度、Friquency:回数)

曲がり具合

まず「Bend」によって全体を曲げ、その後、各部分ごとに「Curve」によって曲げます。
「Curve」によって曲げられた部分のさらに内部を「Sang」によって曲げるということになります。
この曲げ方の概念は、他の要素についても同様です。

4. Trunk(幹)

Trunk

Radius : 半径
Spiral : らせん状のねじれ
Taper : 先端の尖り(0:根元と同じ 1:一点に集中)
Bend,Curve,Sang : 曲り具合(大,中,小 Value:角度、Friquency:回数)

5. Branch(枝)

Branch

Number : 本数
Start At : 地表何cmの高さから枝が生え始めるか
Area AT Trunk : 一番下の枝から一番上の枝までの距離
Thickness : 太さ(幹を1としたときの太さの比率)
Reduction : 縮小率(0:縮小なし、0.5:一番上の枝は一番下の半分)
Taper : 先端の尖り(0:根元と同じ 1:一点に集中)
Spiral : らせん状のねじれ
Angle : 幹に対する発生角度(0:水平、90:垂直)
Angle Scope : 発生角度の振れ幅
Bend,Curve,Sang : 曲り具合(大,中,小 Value:角度、Friquency:回数)

6. Twig(小枝)

Twig

Number : 枝一本あたりの本数
Start At : 枝の発生点から何cmの位置から小枝が生え始めるか
Area AT Branch : 一番始め小枝から一番最後の小枝までの距離
Thickness : 太さ(枝を1としたときの太さの比率)
Horizontal : 水平方向の発生角度
Vertical : 垂直方向の発生角度
Curve : 曲り具合(Value:角度(1:BranchのSangと同じ、0:曲りなし)、Friquency:回数)
Taper : 先端の尖り(0:根元と同じ 1:一点に集中)
Ramification : 分枝の設定(内容は本数、太さ、曲がり具合など)

7. Bunch(房(葉と花の集合))

Bunch

Number : 小枝一本あたりの個数
Start At : 小枝の発生点から何cmの位置から発生するか
Area AT Twig : 一番始めの房から一番最後の房までの距離
Major Radius : 房の根元から最も内側の葉までの距離
Minor Radius : 最も内側の葉から最も外側の葉までの距離
Horizontal : 水平方向の発生角度
Vertical : 垂直方向の発生角度

8. Bark(樹皮)

Sunken Color : 樹皮の凹んでいる部分の色
Raised Color : 樹皮の盛り上がっている部分の色
Scar : 皺の設定

9. Foliage(葉)

Type : 葉のタイプ(TOMTREE を導入していない場合はMesh を選択する。ファイルサイズはMesh1<Mesh3<Mesh4 となる)
Number : 房に含まれる葉の枚数
Length : 長さ
Breadth : 幅
Hight : 高さ
Colors : 葉の色の設定

10. Blossom(花)

TOMTREE形式で出力する場合のみ使用できます。
POV-Tree のみでは出力できません。

11. Preview

設定した内容での木の形を確認します。

12. サイズについて

主要なパラメータの簡単な内容について説明しましたが、最後に木のサイズに付いて簡単に説明してみます。

(木の大きさ)=(枝の発生位置(Start At))+(枝の発生範囲(Area At Trunk))+(枝の大きさ)
(枝の大きさ)=(小枝の発生位置(Start At))+(小枝の発生範囲(Area At Branch))+(小枝の大きさ)
(小枝の大きさ)=(房の発生位置(Start At))+(房の発生範囲(Area At Twig))+(房の大きさ)
(房の大きさ)=(Major Radius)+(Minor Radius)+(葉の大きさ)

下の図を見ながら上の式を見ると分かると思います。

全体像

最初のうちはサンプルを改造しながらパラメータに慣れていくのが一番ではないかと思います。
ところで、この POV-Tree で出力したインクルードファイルはかなりのサイズになります。
TOMTREE を使用すればその点はかなり解消されるので、次回「後編」では TOMTREE の使用方法について解説してみます。

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