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東京魔人学園外法帖 感想

陰と陽のジュブナイルという売り文句が付いているものの、幕末であること・友情の薄さなどから、『どこがやねん』とのツッコミの声もあり。

前作より下がるとの判定を下されがちで、私も正直そう思うが、一応面白い部類に入ると思う。
SLGの難易度が、笑ってしまうほど下がっているが、システム的には完成されているので、霊場(いわゆるフリー戦闘)では、楽しい。


【欠点】

・やはりバグが多い。
しかも、倒数のリセット、式神羅写の増え過ぎによる消失、アイテム最大時のフリーズ等、……基本過ぎます。
失礼かもしれませんが、最大値チェックをしていないなんて、信じられない。
……式神は、3周くらいしないと発生しないと思うので、百歩譲って仕方ないかとも思いますが、倒数255は、よく使っていたキャラなら1周目でも行くでしょう。
プログラマとして、本当におかしいです。

梅先生のEDでの『龍どん』も笑っちゃいました。プログラム上、1個だけ呼称が泰山のものになってるんですもん。担当者、検索チェックしようぜ。
そもそもテストプレイで気付くべきだろうに。

・ゲーム難度が低い
基本的に簡単であり、ディスク2枚目以降は、何も言えないくらい。
勝手に一直線に並んでくれる敵は、頭が悪すぎる。あと、たとえAPが余っていても、敵キャラは一回しか攻撃してこないのもおかしい。

・主人公ってだれ?
陽編においては、強き意志を持つ御二方がいらっしゃるので、自分の存在意義が無い。
『そうでしょ、龍斗』
『そうだろう、ひーちゃん』
と、聞く気もおきない長々とした演説後に、突然同意を求められても、知らねーよとしか答えようが無い。


剣風では、基本的には、龍麻が先に敵から質問され、答えると、『その通りだ。お前のやったことは〜』という順番が取られてましたが、今回は、藍様か京梧様が、すっげェべらべらべらべらべらべらとしゃべったあと、上記のように同意を求められるから、なんか妙なんですよね。頷き役が欲しいのかよ――と。

陰は、皆も悩みまくり集団なので、事あるごとに質問され、頼られている感があり『ここに居て良いんだ……よね?』程度には思えるけれど。

邪に至っては、感情入力が出る事さえ稀なので、哀しくなってくる。

ちなみに主人公の特殊な力は、意味ありげには言われるが、結局最後まで明言されない。加えると、仲間の力も、龍脈の影響という説明がされない。皆が普通に氣や炎や水や風を操り、特に誰も疑問に思っていないよう。江戸時代ってすげぇ。

・本当のメイン以外、影が薄い。
サブは勿論、メインの中でも、小鈴と雄慶は薄い。
攫われまくっていた小蒔や悩みまくっていた醍醐が嘘のようだ。

陽と陰に分けた為、登場話数が減ったせいだと思う。
邪は、はっきり言ってメインどこしか出ないから、普通のキャラは出番が多くても拾話程度しかない。
……仕方ないのかもしれないけれど。

また、仲間以外のサブキャラも薄い。
ことあるごとに出番のあったアン子と比べて、杏花は相当少ないし、お凛に至っては、一度しかあっていない人もいるのでは?(私とかな)
ついでに言うと、彼女やお美弥や真由とかは、何故EDがあるのかわからない。


・仲間キャラ同士の繋がりが希薄。
前作にあった仲間同士の意外なつながり
忍者好きの雨紋に呆れ顔の如月、ナンパ中のアランと劉、買い物に行く藤咲・舞子・芙蓉、如月家の蔵の掃除に連れて行かれる村雨、紫暮との組み手に付き合う壬生、デートしている霧島とさやか、等々。

そういった街で偶然会う、『あ、こんな所で仲良くなってるんだ』という仲間同士のつながりが、見られないのが、哀しい。

……インターバルなら一応仲良さげな遣り取りも少々ありますが、基本的には一箇所しか行けないのだから、あまり見られませんしね。

・インターバルの会話
何故一個所に?
そして、どうしてあんまり現在の内容と関係がない?

龍山先生の話の前や比良坂が死んだ時は、皆が慰めてくれた。
瀕死の重傷を負ったときは、全員が心配してくれた。

展開と関連の無い、どうでもいい話をされてもな……。

・ジュブナイルの欠如
『お前はひとりじゃない』
『何があろうとお前はお前だ』

どうしようもなくて、自分の手を汚した主人公を認めてくれた。
正確には人間とは言えない主人公に、『それがどうした』と言ってくれた。

今まで助けてきた仲間たちが、最後は支えてくれた。
それがジュブナイルだと思うし、剣風帖は、実際そうだった。

外法帖って、何かありましたっけ?
そもそも、ボクって単なる武道の達人?戦闘兵器?

あ、乱れた龍脈も『菩薩様』が制しちゃうんだ。
菩薩眼の力って、龍脈を視ることじゃなかったんだ……。へぇ〜。
……兵器にだって心は在るんだぞ。


・歴史上の人物を出しまくること。
風々斎として出た勝海舟の様に、『ああ○○か』とにおわせる程度(あくまで正体はばらさないことが前提、陽拾弐話の彼は却下)で、良い役どころなら別に構わないと思う。

他は有名どころを、無意味に出しているように思えた。

ただ利用されているだけの役人を、実在の人物にする意味はあるんだろうか。
壬生を崇拝させ、『どれほど努力しようとあなたに届かない』と、沖田総司に言わせる意味はあるんだろうか。
宮本武蔵を出したのは、単に剣聖に京梧を認めさせたかっただけなのではないか。

キャラクターを賛美する為に、歴史上の人物に『スバラシー』と叫ばせるのは、手法としてはプロのやる事ではないと思います。

個人的感想

・陰陽ストーリーが火曜サスペンス系
または金田一少年の事件簿(←もう古いな)

どういうことかと申しますと、『悪人が最低すぎて、犯人が酷い目に遭った上で、悪人を殺害。それを探偵役が相手の事情を解しながらも捜査し、犯人を捕まえる』。

要は見終わった後、『殺された奴の自業自得なんだから、見逃してやれよ』と、探偵に突っ込みたくなってしまうのです。

親がこの『火サス系』大好きで、居間にてよく見てるので、私は苦手なのに情報が入ってきてしまういことが多いんです。
で、最近の犯人は、恋人が犯されて自殺し、そのレイプ犯は、何とか議員の息子とかで事件をもみ消し、『あいつが誘ってきたんだ』とか、『あいつだって結構悦んでいた』とか言われて、かっとなって殺すとか。
あとは金目当てに親を殺された子が、大人になってからその犯人を見つけ殺害とか。

犯人カワイソー、探偵止めてやれよ――みたいな。
カタルシスが非常に低いんですよ、むしろストレスが溜まる。

そのまま、可哀想な犯人が鬼道衆。外道な悪人が幕府関係。探偵役が龍閃組。
なんか陽プレイ中は、ほんとストレス溜まりました。


・美里と蓬莱寺がつらい

本当に、このふたりは辛い。邪を弐話終えたとき、ネットを検索しまくりました。皆さんは、どう思っているのかと。

京梧かっこいーーの方も多く、やはり個人的なものなのだな―――と、自分が悪いのだと心を静めても、彼が辛い。

好戦的過ぎる。
真っ直ぐすぎる。察しが悪すぎる。

武蔵との遣り取り辺りでは、限度を越えてしまい本当に駄目でした。
判った、お前が主人公だよ。僕は鬼哭村で引きこもってるから、あとは頑張ってくれよと思いました。

美里様の疲れたところは、なんといっても雹への『仕方なく』
あとは、気になったのが『御苦労様』。 これって、江戸時代は目下の者に限らないんでしょうか。確か、御苦労様は目下の人間に対するものなので、会社の挨拶等で使わないように研修を受けたので、美里さまが、僕らや御厨にそう言っているのを見るたびに、なんだかもやもやと。
あと陽参話にて、「お茶を淹れて『あげる』わね」と言われ、カチンときたので遠慮した所、「お茶は嫌い?でも、持って来たお茶、おいしいのよ。ちょっと、待ってて」という返事で疲労度――限界突破。
嫌いな人間に、美味しいもなにもなかろうに。なんかこの人の気遣いってずれている。

で、彼らの共通の苦しい所は説教癖。
やっぱり、割に平穏に暮らしてきた人間が、目の前で信徒を虐殺された者や、村中を滅ぼされ自身は半身不随にされた者や、集落を殲滅され自身は脳に障害を負うようになってしまった人間に、『復讐はダメ』と言えないと思うんですが。

実際、罪なのない人も犠牲にした御神槌ならまだしも、役人しか殺していない泰山や雹は、本人が望んでいるなら、それこそ『仕方がない』のでは?

赦すことができるのが理想なのでしょうが、物事には限度がありますよ。


……特に美里は、その。
天戒に、たとえ殺されても持論を曲げないということを毅然と言ってましたけど……。
なんか彼女――爪の一枚でも剥がされたら、泣きながら謝って、訂正しそうなんですよ。イメージは、ベルセルクの娼婦仲間の子。
絶対に誇りを持って黙秘する――と決心して、拷問部屋に連れてかれたら、爪一枚剥がされかけた段階で、全て話してしまった子を思い出す。

どうも、彼女の芯の強さってのを読み取れませんでした。私の読解力が足りないのかもしれませんが。
ただ他のゲームをやっていて、強い娘だなと思うキャラは居ましたし、やっぱ藍様、……書ききれていないのでは?

【美点?】
・鬼道衆の立場、想いなどが分かった。
・何人かのキャラが良い。

・字が大きい
・技の昇華
・相生、相克等のシステム
・アイテム価値の上昇

……基本的にストーリー以外ですね。


思いのほか面白かった剣風帖のおかげで、期待しすぎたのかもしれませんね。
外法は延期に次ぐ延期に、それでもきっと面白くなってるんだから――などと思っていたから、凡作だっただけで、う〜んとなったと。

私的総括:

陽ディスク:火サス的展開が辛い。メインキャラ二名が苦手。
陰ディスク:一応頼られて、話の中心に居られて嬉しい。

邪ディスク:主人公の存在価値→強力な兵器。展開が無茶。フリスピーとして遊びましょうか。

次作は、あまり期待しないで楽しみにしておきます。
もしかしたら剣風のテイストは、偶然が重なってできあがった奇跡なのかもしれないですし。


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