開放隅角緑内障
高眼圧症
原発開放隅角緑内障
正常眼圧緑内障
高眼圧症
隅角が広く、特に眼の先天異常もなく、眼圧が21mmHg以上(外来で測定した平均眼圧が18mmHg以上)ありながら視神経の解剖学的異常(たかせ眼科ではハイデルベルグ・レチナトモグラフU検査で計測)も、視野の異常も認めない状態をいいます。高眼圧症は緑内障になるものと、一生にわたり緑内障を発病しないものとがあります。自覚症状は有りません。
治療すべき高眼圧症の条件は 1.視神経乳頭陥凹が0.8以上、または網膜視神経形状解析でボーダーラインまで進行した障害を有する、2.視神経乳頭陥凹の左右差がある、3.網膜神経線維層欠損、4外来測定平均眼圧眼圧が21mmHg以上、5. 乳頭出血、6.近視の強い眼、6.緑内障家族歴、 7.高齢、8.低血圧 などの危険因子の1個以上の項目を認めた時です。
高眼圧症の治療は最低限の点眼投与とすべきで、目標眼圧が無治療で保たれる時期には一時的に休薬するし、目標眼圧に達しない時にはレーザー治療、緑内障手術も選択肢になります。
高眼圧症から緑内障への移行を阻止することが治療の目的です。
原発開放隅角緑内障
視神経乳頭陥凹の拡大、陥凹の左右差、乳頭出血、網膜神経線維層の欠損などの所見が高眼圧症より強い。視野に緑内障性異常を認めます。隅角は開放しております。治療をおこなっていない時に、外来平均眼圧が15mmHg以上あること。ハイデルベルグ・レチナトモグラフU検査でボーダーラインまたは正常を超えるマークが出た時、各指数の増悪。以上の条件が揃えば診断が確定されます。
初診時の眼底検査では網膜視神経形状解析を行ないます。
発症率は年を重ねるに従って高くなります。40才以上で1989年検査では、0.58%平均で、70〜75才では1.1%となっておりました。しかし、子供や若い人にも認められます。
近視、遺伝、糖尿病などが危険因子と報告されています。
自覚症状はほとんど有りません。眼精疲労や頭痛などで発見されることが多い。
視機能障害は初期にはゆっくり進行しますが、末期になるにつれて進行のスピードが速くなり、放置すると失明にいたります。
進行した方で、視野検査を極端に嫌う方がおりますが、視野は治療の手がかりで、一番大切な検査です。
Evidence-based Medicine 根拠ある治療が大切で、眼圧を安全圏内に下げることが治療の、失明防止の方法です。
現在の段階では、眼圧を下げることのみが治療のEvidence です。治療に時期を失しないようにいたしましょう。
正常眼圧緑内障
原発開放隅角緑内障で眼圧がより低い緑内障のグループに入るのか、循環障害が影響しているグループに入るか議論中です。しかし24時間の眼圧測定を行うと夜間に眼圧が高くなり、実は原発開放隅角緑内障とわかることもあります。
40才以上人口の2.5%に認められます。日本人に発生頻度が多く、高齢者に多い疾患です。
眼圧の日内変動は10〜18mmHgにあるのが特徴です。最高眼圧が15mmHg以上の時には視神経障害および視野障害の進行が強いのです。15mmHg以上の眼圧ゾーンではPOAGと重なります。従って、時間を変えて眼圧測定が必要です。
自覚症状では偏頭痛や自律神経異常症状がある場合が多いのです。
発見は眼底検査からのことが多く、眼科専門医が必ず眼底検査をする理由の一つは正常眼圧緑内障の早期発見のためです。初診時にはハイデルベルグ・レチナトモグラフUで眼底検査を実施いたします。経過観察中も一年に一度は散瞳検査を行っております。
治療は原発開放隅角緑内障とおなじく眼圧下降治療ですが、βー遮断薬は十分に眼圧下降が得られれば使用可。耐性が出来たかどうかのモニターが大切です。
眼圧は圧平眼圧計の測定値がもっとも信頼できます。目標眼圧をはるかに低く設定する必要が有ります。
可能ならば12mmHg以下がベスト。
視神経保護薬や循環改善薬も補助的に使用されます。
レーザー治療STPも有効と報告されています。
医師は常に「あなたは正常眼圧緑内障ですか、健常眼圧は今の治療で保たれているか」を問いかけています。その基本になるデータは視野計測、視神経の計量的解析の継続です。