海上自衛隊 第一術科学校 教育参考館
(広島県安芸郡江田島町)
うんちく
海上自衛隊 第一術科学校 教育参考館はここの敷地内にある建物としては比較的新しく、
1931(昭和11)年に竣工しました。設計は山下寿郎です。
この建物は、この兵学校の出身者である海軍士官が後身の育成のためにということで
寄付を募り建てたもので、中には日本海海戦の英雄・東郷平八郎や山本五十六の遺髪を
はじめ、明治以降の海軍大将の肖像・日清〜太平洋戦争に関する各種の資料・絵画の
他、神風・回天特攻などで散っていった特攻隊員の遺書などが展示されています。
正面入口には、まるでギリシャ神殿か何かをイメージさせる、ドーリス式大オーダーが
立ち並び、その姿は非常に壮観で、威厳を醸し出しています。
扉は大講堂と同様・大きな木製扉で、非常に重厚なものです。
実はここは見学コース中、唯一建物内に入ることが出来るのですが、展示物の内容が
遺書などであり、神聖な場所であるという事もあって、残念ながら撮影をすることは
出来ません。
入ると吹き抜けの天井となっており、大きな階段が二階へと続きます。石造りのそれは
まさに神殿のような立派な作りで、圧倒されてしまいます。私はここに来るのは3回目の
筈なのですが、これまでは展示物にばかり目がいっていたのであまり気がついていませんでしたが、
この建物は外観は少々痛みが出ていますが、内部は本当に美しく、とても70年以上の歳月が
流れているとは思えません。
冒頭でも述べているように、ここには国の為に殉じた方々の遺書などがあるのですが、
特に神風特攻の戦死者は沖縄戦だけで軽く2000人を越えます。(兵学校出身者以外も含む数字ですが)
他にも特殊潜航艇・人間魚雷などなど、数えるときりがない戦死者を出しているわけですが、
その大半は20代の方々で、時代が時代だったとは言え、自ら死地へ赴かねばならない彼らの
心境は、今の私達にはとうてい理解しきれるものではありませんが、改めて平和の尊さを
感じずにはいられません。
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