旧秋田商会
(山口県下関市南部町)
うんちく
旧秋田商会はこの建物の主である秋田寅之助(寅之介?)自身の設計・関門商事の
施工で、着工1914(大正3年)、完成は1915(大正4)年です。
神戸以西の西日本では最初の鉄筋コンクリート事務所建築であり、現存する同種の
建築では最古級のものとされています。
現在は下関市の観光案内所となっており、また、2階より上も一般公開されて
います。が、それを知らなかったばっかりに、全然入ろうとも思いませんでした。(^_^;
構造はかなり凝っていて、外壁は化粧タイル・角の部分に塔屋をもうけ、その上部は
会社の僚船と連絡を取る信号灯台として利用されていました。内部は1階が事務所・2〜3階が
純和風書院造りで、屋上はなんと和風庭園に銅板葺き屋根の茶室が建っています。
こういった屋上庭園は日本初のものです。
さらに、細部も凝っていて、基礎には松丸太が埋めてあったり、和室の間仕切りは可動式
だったり、防火壁・鉄製防火扉などなど、随所に当時最新のテクノロジーを投入した
ハイテク建築です。こうやって資料を読み漁れば漁るほど、実際に中を見てみたいと
思ってしまいます。
デザイン的にはその幾何学的な構造がゼツェッション形式の影響を受けているらしい
との事なのですが、どうも建築・美術に関する知識の疎い私には、その建物をみて
どの様式であるかを判断することが出来ないのが泣き所・・・ってここまで書いておきながら
言うせりふではないですね。(爆)
それにしても、この建物の設計者・秋田寅之助氏と経歴を見ていると、秋田商会を
創立して木材取引の商社・海運業で名を馳せ、市議会議員・衆議院議員にまでなった・・・
ここまではわからなくもないですが、そのような方が何故にこれほどの建築をデザイン
出来るのか? まさにただ者ではありません。
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