性能比較 C-1400XL VS FinePix1500

今を去ること半年前、"デジカメが欲しいが何がいい?"と尋ねる妹に対し、 雑誌の宣伝文句に踊らされた訳ではないですが、"スナップを撮るのであれば FinePix1500がいいんじゃないの"とすすめところ、それからしばらくして 妹の部屋にはエメラルドグリーンのFinePix1500が置いてありました。

その後しばらくの間は特に気にすることも無く、従って借りて使うことも 無かったのですが、HPを作るにあたり、自分のカメラをカメラで撮ることが 出来ないため、このFinePix1500を借りて撮影したところ、これがなかなかいい 発色をするではありませんか!

本来であれば、一方は旧式でもフラッグシップモデル・一方は新型モデルとは いえスナップ撮影用カメラ、共通項があるとすれば100〜150万画素クラスである という点だけなので、単純に比較することは出来ませんが、おもしろそうなので 出来るだけ同じフィールドで性能比較してみようというのが今回の企画です。

なお、今回のテストでは両者の設計思想も知りたいので、可能な限りフルオート での撮影をしています。




その1(カタログスペック比較)
機種 C-1400XL FinePix1500
発売時期 '98年10月 '99年06月
光学系 焦点距離 9.2〜28mm
(35mm換算 36〜110mm)
F値 2.8〜3.9
焦点距離 6.6mm
(35mm換算 38mm)
F値 2.6
CCD 2/3inch 原色フィルタ
プログレッシブスキャン方式141万画素
1/2.2inch 原色フィルタ
インターレーススキャン方式 約150万画素
測光/露出制御関連 測光方式 TTL中央重点測光/スポット測光
露出制御 プログラムAE
絞り F2.8/F5.6(W) F3.9/F7.7(T)
シャッター速度 1/4〜1/10,000sec
メカニカルシャッター併用
測光方式 TTL64点分割測光
露出制御 プログラムAE
絞り F2.6/F7.2
シャッター速度 1/4〜1/2,000sec
メカニカルシャッター併用
画像記録関連 記録メディア 3.3V スマートメディア
(32MBまで動作確認)
記録方式 JPEG
(オリジナルの拡張情報有)
記録画素数 1280*1024(SHQ/HQ) 640*512(SQ)
記録メディア 3.3V スマートメディア
(32MBまで動作確認)
記録方式 DCF準拠 DPOP対応
(EXIF Ver2.1 JPEG準拠)
記録画素数 1280*1024 640*512
その他(比較優位) 5コマまでバッファ可能なバッファメモリ搭載
シャッターチャンスに強い
ストロボのスローシンクロ機能搭載
夜景をバックにスナップを撮る際に便利
(注)今回の性能比較に利用していない機能(露出補正など)に関する記述は省略しています。

と、こうしてみると以外や以外、C-1400XLのズームをワイド端にすれば、条件的にはほぼ対等で 性能比較することが出来そうです。(ただし、あくまで基本的な撮影機能に関する部分についてのみですが・・・)




その2(テスト撮影による比較)
まずは光学系の比較ということで、私が使用しているマウスパットを接写してみました。
方眼 C-1400XL 方眼 FinePix1500
左側はC-1400XL 右側はFinePix1500にて撮影したものです。
(これ以降の写真すべて左側:C-1400XL,右側:FinePix1500となります。)

当然といえば当然なのですが、ズームレンズを使用しているC-1400XLは樽型の歪みがかなりひどいです。 これまで風景を撮っていて、なかなか建物が垂直に写らないと苦労していましたが、なるほどこれでは、 画面中央で水平を出しても建物が垂直にならないはずです。(笑)

一方のFinePix1500は単焦点レンズなので、それほど歪みはありません。

ちなみに、この写真は昼光色・昼白色の蛍光灯という2種類の光がミックス状態になっているところで 撮影しています(ホワイトバランスは両方ともオート)が、FinePix1500は補正が強すぎるのか、マウスパット 本来の色よりやや茶色っぽくなっています。C-1400XLはやや緑がかっていますが、ほぼもとの色に忠実です。

続いてCCDのサイズの違いが被写界深度にどの程度影響を与えているかの比較です。

テスト方法 テスト方法ですが、2本ずつマーカーを立てておき、前側のマーカーにピントを合わせた 状態で撮影したとき、後側のマーカーがどれだけボケるか比較しています。なお、前後の マーカーの間隔は25cmとしました。
被写界深度 C-1400XL 被写界深度 FinePix1500
それで、その実験結果です。(後側のマーカ部分のみ切り出しています。)
見ての通り、C-1400XLの方がかなりボケた画像になっています。FinePix1500ではほとんど ボケていません。

C-1400XLの場合、これに加えてさらにズームやテレコンを利用する事が出来ますから、 背景をボカした作画をしたいときにはかなり融通が利くことを示しています。もっとも、裏を 返せばそれだけピントにシビアということですから、スナップ写真とかでとっさに一瞬の表情を 撮ろうとすると、FinePix1500の方がより確実にピントが合うということにもなります。

先の表でC-1400XLはシャッターチャンスに強いという話をしましたが、これはあくまで カメラを構えて待ちかまえているときの話であって、カバンからとっさにカメラを取り出して 最初の1カット目を撮影するまでの時間という意味では、FinePix1500の方が有利でしょう。





その3(実際の撮影/風景編)
厳島神社 C-1400XL 厳島神社 FinePix1500
撮影データ
機種 C-1400XL FinePix1500
撮影日時 2000.05.28 18:50 2000.05.28 18:50
撮影データ プログラムAE
F2.8 1/123sec
WB 5500固定
プログラムAE
F2.6 1/194sec
WB AUTO
左側はC-1400XL 右側はFinePix1500にて撮影したものです。今回のテストでは不覚にも C-1400XL側のホワイトバランス設定を5500KBにしたまま撮影してしまい、テストデータ としては問題が無いわけではないですが、これまでの経験則から判断すると、この時の 明るさであれば、オートホワイトバランスでも恐らく5500KBで撮影しているものと 思われます。(後日改めて比較用データを撮影予定)

まず最初に注目して欲しいのは発色の違いです。ホワイトバランスの設定がかたや 5500KB固定となっているので完璧な比較にならないところがありますが、両者の 違いは素人目にも一発でわかると思います。

今回の撮影では日没直前に順光で撮影しているので、厳島神社は夕日に照らされた 状態となっています。FinePix1500の画像はそれを反映して白壁の部分が幾分赤みがかって いるのに対し、C-1400XLではストレートに白色が出ています。また柱の朱塗りについては C-1400XLの方が暗い色調なのに対し、FinePix1500はまさに朱色です。あと、空の色は FinePix1500の色は多少誇張が強く、水色っぽいのにC-1400XLは多少色が薄いきらいは あるものの、色調は正確です。

ちなみに、私の目で見たイメージ(記憶色)と対比すると、白壁はFinePix1500の色調で おおむね間違いなく、空の色合いはC-1400XLとFinePix1500の中間ぐらいといった感じ でしょうか・・・

次に、部分を拡大して見てみます。
厳島神社 C-1400XL 厳島神社 FinePix1500
C-1400XLの画像はFinePix1500と同じ画素数ではあるものの、色のコントラストが強いため、 全体的にシャープに写っています。FinePix1500で撮影した画像はソフトフォーカスっぽく なるようです。どちらが良いかというのは撮影対象や見る人の感覚にもよるのでどちらが良い とは一概に言えません。また、FinePix1500は画像のシャープネスを調整する機能があるので、 その設定を変更するとまた違ったものになると思われます。

ちなみに、撮影時のAEの動作は撮影条件が同じなので、ほとんど大差ありません。 C-1400XLの方が幾分暗いレンズなのでそのぶんシャッター速度が遅い程度です。




その4(その他)
ここからは実験と言うより、私の主観が入った意見になります。

デザイン・操作性
FinePix1500 FinePix1500はきれいなデザイン/金属ボディによる質感の良さ、全て片手で操作可能な操作性、右手でグリップした 際に中指がボディ前面の曲線部にうまくフィットするなど、実に優秀だと思います。しかもコンパクトなので 日頃から持ち歩いておいて、さっと取り出してスナップ撮影するのにはまさにベストの一言です。

実際、今回撮影した厳島神社などの場合、ポケットから取り出してそんなに構えることもなく撮影している のですが、ちゃんと水平も出ています。操作面で気になるのは左手はどうカメラを持ったらいいのか ちょっとわからない点ぐらいでしょうか・・・

C-1400XL 一方、C-1400XLは右手の部分のグリップは十分な大きさがあり、左手はレンズ下部を持てば良いので、 問題ない様に思えるのですが、私が使うと左右のバランスが悪いのか、気をつけていないとすぐ傾いて しまいます。これが通常の銀塩カメラの様にレンズがカメラの中央にあれば、決してこんな事には ならないと思うのはわたしだけでしょうか? ただし、デザインそのものは結構お気に入りです。これで もう少し質感が良かったら言うことは無いのでしょうが・・・

あと、このカメラも右手のみでほとんどの操作を行うことは可能ですが、ワンタッチフォーカスを使おうとすると、 親指でワンタッチフォーカスのボタンを押しつつ人差し指でシャッターを半押ししなくてはならず、 非常に扱いにくいです。ものをつかむ動作では親指は非常に重要な役割を持つので、出来れば親指が自然に当たる場所に ワンタッチフォーカスボタンを持っていって欲しいところです。
(マクロや撮影モード切替とかのボタンはシャッターと同時押ししなくて良いのでそれほど問題にはならないです。)

ファインダー視野率
今回撮影した対象はレンジファインダー/一眼レフの差が出にくい風景撮影だったので、FinePix1500は 光学ファインダーを使用しています。この手のカメラだとパララックスが発生しますが、撮影直後に液晶で プレビューされることもあり、特に問題には思いませんでした。マクロ撮影ではこのパララックスが大きな 問題になりますが、液晶ファインダーを使えば問題にならないので、それほど不満はないです。
(マクロ撮影の場合、じっくり構えてから撮影することが多いので、あまり光学式ファインダーにこだわる 必要は無いですし、むしろ液晶の方が扱いやすいでしょう。)

ただ、被写体との距離が2〜5m程度であることが多いスナップ撮影の場合、液晶ファインダーでは しっかりカメラをホールド出来なくなるため、どうしても光学式ファインダーを使いたいところなのですが、 その場合、パララックスがどの程度影響してくるかは今回検証出来ませんでした。

バッテリー
今回の撮影では、C-1400XL/FinePix1500とも単三ニッケル水素電池を使用しています。FinePix1500は Fujiのデジカメではバッテリーの持ちが良い部類とされているようですが、C-1400XLと比較するとかなり 短いように思われます。単純に続けて撮影をするのであればFinePix1500でも1時間程度は使えますし、 そこそこのカットを撮ることが出来るのですが、待機中の消費電力が大きいのか、風景写真とかで 歩き回っては撮影するといった場合には思ったより早く電池切れが生じてしまいます。C-1400XLは 特に電源をONしたまま歩き回ってもそれほど撮影カット数に影響が出ていないような気がします。 これについては、液晶ファインダーを使用するFinePix1500が不利なのは仕方のないところでしょう。

夜景撮影
基本的にC-1400XL/FinePix1500ともシャッター速度は1/4secまでしか使えない事もあって、夜景撮影 の機能は限定的なものとなります。両者ともライトアップされた建物などの撮影が何とかこなせる程度で、 遠景の撮影には無理があります。ただ、FinePix1500に出来てC-1400XLに出来ないのがスローシンクロ撮影 で、この機能を使えばスナップ写真の背景に夜景を持ってきても、背後が真っ黒になることが無いのは 非常に助かります。

まとめ
こうしてみると、FinePix1500は最強のスナップカメラの異名を持つだけあって、その基本性能は非常に 優秀であることがわかります。ただ、やはりスナップカメラである宿命か、C-1400XLと比較すると コンバージョンレンズやフィルターが使えない制約や多灯ライティングなどといったシステムの拡張性 や表現力という部分では比較になりません。もっとも、反対にC-1400XLではスナップ撮影という シチュエーションではそのボディサイズなどのため、どうしても大げさになってしまうのでハード的には シャッターチャンスに強いといいつつも、その場の雰囲気を撮るというのは難しい面があります。

そう考えると、やはり両者は元々用途の異なるカメラであり、生かすも殺すも使い方次第ということに なるのではないでしょうか・・・


〜 End of text 〜




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