徹底比較 新鋭機の実力(2000年度版)

ひょんな事から、ここのサイトの隠れ常連さんにして、私の会社の後輩であるPingaさんから、 FinePix4700ZとC-3030Zoomを借用する事になり、このデジカメの性能をPingaさんのお姉さんに わかってもらう様にして欲しいとの依頼を受けた私は、この2機種を購入時に推薦した当事者として の責任を果たすべく、全身全霊をかけて性能テストを敢行したのでありました。

今回のレポートは、先にアップしている"徹底比較 C-1400XL VS FinePix1500"と内容が重複しない 様に、300万画素クラスのデジカメの特徴と、雑誌のレビュー記事では現れない300万画素クラス機の 持つ弱点に着目してみました。

なお、今回のテストも可能な限りフルオートでの撮影をしています。




その1(画素数の違いによる画像サイズの違い)

広島市街 C-1400XL C-1400XL
36mm相当 1280×1024
広島市街 FinePix1500 FinePix1500
38mm相当 1280×1024
広島市街 C-3030Zoom C-3030Zoom
32mm相当 2048×1536
広島市街 FinePix4700Z0 FinePix4700Z
36mm相当 2400×1800

上記の写真はいずれもファインダー中央に同一被写体をセットし、三脚で固定して 撮影したものです。それぞれのデジカメの持つ最大解像度で撮影してます。
(HP掲載にあたり、全ての画像を1/5に縮小しています。)

こうして比較してみると、やはり300万画素クラス(FinePix4700Zはハニカム240万画素) の画像はかなり大きくなることがよくわかります。

FinePix4700Zは実際のCCD画素数は240万画素なのに対し、妙に画像が大きくなっている のは、ハニカムCCDの特徴というか、ソフトウェアで仮想の画素を持っているために 理論上、画素数だけは一番多い事になります。(あくまで理論上の話)

おもしろいのが発色で、画像を見ていただければすぐにわかると思いますが、C-1400XL とC-3030Zoom,FinePix1500とFinePix4700Zで色の傾向が似通っていることがわかります。 C-1400XLは原色フィルタのCCD・C-3030Zoomは補色フィルタのCCD・FinePix1500は原色フィルタ CCD,FinePix4700Zは原色フィルタ ハニカムCCDと、かなり相違があるにも関わらず同一メーカー で似たような傾向を示していると言うことは、カメラ内部での画像処理によるチューニングの 為と思われます。




その2(画素数の違いによる分解能の違い)

看板UP C-1400XL 看板UP FinePix1500 看板UP C-3030Zoom 看板UP FinePix4700Z0
C-1400XL
FinePix1500
C-3030Zoom
FinePix4700Z

これは、上記写真の水平解像度をFinePix4700Zと同じ2400dotにした上で、 ほぼ中央に位置している看板を切り出し、さらに2倍に拡大たものです。ただし、 C-3030Zoomだけは画角が32mmと若干広角寄りにシフトしていた関係もあって、 他の写真と同じサイズになるよう、若干拡大しています。

この条件だと一番レタッチ量が少なくなるFinePix4700Zが有利になるため、C-3030Zoom とFinePix4700Zのシビアな性能比較にはなり得ないのですが、少なくとも100万画素クラス と300万画素クラスの性能差は露骨に出ている事がわかると思います。

また、これは画素数とはちょっと異なりますが、看板の白の部分に注目すると、FinePix系は 幾分ざらざらした感じがするのに対し、CAMEDIAは比較的均一な色調になっています。 これもメーカーの違いによる傾向なのでしょうか?




その3(夜景撮影)

広島高速 C-1400XL C-1400XL
36mm相当
F2.8 1/4sec ISO感度 100
(プログラムAE)
1280×1024
広島高速 FinePix1500 FinePix1500
38mm相当
F2.6 1/4sec ISO感度 125
(プログラムAE)
1280×1024
広島高速 C-3030Zoom C-3030Zoom
32mm相当
F2.8 1sec ISO感度 400
(プログラムAE)
2048×1536
広島高速 FinePix4700Z0 FinePix4700Z
40〜50mm相当?
F2.8 2.83sec ISO感度 200
(プログラムAE 夜景モード)
1280×960

こうしてみると、最近のデジカメはスローシャッターが切れることで、 夜景撮影については大幅に機能強化されていることがわかります。

C-3030ZoomはプログラムAEで撮影すると、シャッター速度が1sec以下に ならないため、ゲインアップ(増感)によって明るさを確保している様です。 実際の夜景撮影の場合、シャッター優先モードにする事で、シャッター速度 をもっと遅くすることが可能です。

FinePix4700Zは、夜景モードで撮影しているためシャッター速度が最長で3sec まで使えます。

何とも皮肉な話ですが、夜景撮影をお家芸とする私のC-1400XLが感度・レンズの 明るさ・シャッター速度と、全ての面で最も成績が悪いという結果になって しまいました。(笑)




その4(CCDとノイズ・ダイナミックレンジ)
観音マリーナ C-1400XL 観音マリーナUP C-1400XL C-1400XL
36mm相当
F2.8 1/4sec ISO感度 100
(プログラムAE)
1280×1204
PhotoShop5.0 レベル補正機能による増感
観音マリーナ FinePix1500 観音マリーナUP FinePix1500 FinePix1500
38mm相当
F2.6 1/4sec ISO感度 125
(プログラムAE)
1280×1204
PhotoShop5.0 レベル補正機能による増感
観音マリーナ C-3030Zoom 観音マリーナUP C-3030Zoom C-3030Zoom
32mm相当
F2.8 1sec ISO感度 400
(プログラムAE)
2048×1536
観音マリーナ FinePix4700Z0 観音マリーナUP FinePix4700Z0 FinePix4700Z
36mm相当
F2.8 2.83sec ISO感度 200
(プログラムAE 夜景モード)
1280×960

左の画像は320×256(C-1400XL,FinePix1500),320×240(C-3030Zoom,FinePix4700Z)に 縮小したもので、右の画像は元画像を原寸大で切り出したものです。

また、C-1400XLとFinePix1500はシャッター速度が速すぎ(1/4sec)のため、ソフト上で レタッチを行い、画像が破綻しない範囲で増感を行っています。

正直言って、シャッター速度の速すぎるC-1400XL,FinePix1500は論外といっていいほど 画像の荒れが激しいです。が、特徴的なのはC-1400XLは黒いところは黒く出ている反面 ノイズの輝点が非常に目立つのに対し、FinePix1500は画面全体が荒れた感じになって いて、個々のノイズは目立ちにくい傾向があることがわかります。

C-3030Zoomも傾向はC-1400XLに近く、黒は黒できっちり出ている反面、ノイズの輝点が目立ち やすい様です。ただ、非常に高画素であるため、縮小表示で1280×960程度にすると、ノイズ がわからなくなってしまい、かなりの画質をキープする事が出来ます。

C-3030Zoomはシャッター優先AE/マニュアル撮影時に最長で16secまでシャッター速度を 落とすことが可能なのですが、時間の長さに比例してノイズが増大するため、実際の 撮影では、明るさとノイズがトレードオフの関係にあることをよく考慮した上で、シャッター 速度を決定する必要がありそうです。
(といっても、よほどシャッター速度を落とした場合の事ですが)

FinePix4700Zは明るさに対し、非常にノイズが少なく、S/N比が非常に良いことを 示しています。ただ、今回のテストでは1280×960dotで撮影しているのですが、 これは本来100万画素クラスの解像度に相当します。これを最大解像度の2400×1800dot とした場合、CCDのレンジの限界まで使い切ってしまうためS/N比が悪化するという 話もあるので、最大解像度だとノイズが増える可能性はあります。

また、原寸画像のボート後部に写っている灯火に注目して欲しいのですが、 撮影条件が異なるので一概に比較できないものの、C-3030Zoomの画像では色飛びして 階調が失われているのに対し、FinePix4700Zでは階調が失われていません。このあたり はCCDのダイナミックレンジの差(写真でいうところのラチチュード)が出る部分だと 思われます。

これは私の私見ですが、デビュー当初"432万画素"などと大風呂敷を広げたためにさんざんな 評価を下されたFinePix4700Zですが、究極の200万画素モデルとして考えた場合、極めて優秀な カメラであると思います。

また、C-3030Zoomはマニュアルモードでの操作性が非常に高く、今回の撮影でもそれほど 苦にならず扱うことが出来ました。ボタンによる操作方法として非常に優秀だと思います。 これで、後はフォーカスリングがついてくれれば言うことなしだと思ってます。

それから、今回の評価では真価を試すことは出来ませんでしたが、撮影機能の多彩さは 被写界深度のコントロールが必要なポートレート撮影や、高精細さの必要な遠景の風景写真、 マニュアル撮影でないと撮れない花火撮影においてその威力を発揮する事は間違いないと 思われます。

〜 End of text 〜




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