Remaking_A_Austrian_Violin3
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オーストリア製のリメイク V

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二度ほど、アルコール系の着色ニスで、かるく着色して、
それから貼るのは小生のいつもの手順。
ここで大切なことは、
ネックを正しい角度でつけなくてはいけません。


それは、指板の延長線が、表板に駒の位置に対して
どの程度の高さになっているか。


正面から見て、正しく垂直になっているかどうか、
の二点がネック取り付けの最重要な要素。

そのことは、音の張り、音色にも大きく影響するし、
演奏のする上の操作性にもかかわるもの。
上の写真のように、削り上げた指板を仮止めして、
指板の高さを確認しています。


今回のものは、ブロックが少し貧弱に見えましたので、
ストラドも釘止めしたというテクを、ここで拝借、
ニカワに加え、3×25の木ビス3本でしっかりと固定しました。


その際にも、ご覧のようにネックにはセンター・ラインを引いておき、エンドピンと真っ直ぐになるようにしてつけてます。
以前、読んだ無量塔蔵六著・岩波新書「ヴァイオリン」にも、
ネックを釘止めしたという小さな挿絵(左)がありました。


ネックは往々にして外れたり、使っているうちに
だんだん下がってきたりしやすい場所です。
(ボクのような者でさえ、何回か、そうした修理を経験。)


図の左は、ザクセン方式で、ネックブロックの形に工夫があり、
テコ式に下部をふくらませ、頑丈にしています。

早い話、ダムや砂防ダムの断面構造と同じ形、
どっしりとさせているわけです。


一方、ストラドは釘を使い、ブロックとネックを3本の釘で締めている。(クロッツの釘は1本だっとか・・・?)
スプール・クランプで圧着して貼るのは、いつもの通り。
古さを出して、少しオールド風なニス仕上げにしたくて
ダーク・ブラウンの着色ニスで、一旦は濃く色つけ。


右上だけは塗ったままの状態。
その他、白っぽくなっているところは1200番のペーパーで水研ぎ。
裏板は、とくに、はじめに周辺部だけ削りましたから、
色ムラにならないよう注意して着色。


既存の塗りが、ゴールド系の単色でしたから、
今回はとくに周辺部だけを少し濃くし、中央部とエッジ先端部分だけは明るく、絵画でいう「陰影描写法」のテクでやっている。

濃い色を塗ったので、年輪のコントラストが強くなっています。

ですから、立体感というか、ずっと奥行きがでてきたでしょう。
とりわけ、エッジ先端部は、上から塗ったもニスを、溶剤をしみ込ませた雑巾を指の先に巻き付け、そっと拭き取って、その部分だけは濃くならないようにしている。
前のオーストリア人は、ずいぶんと厚塗りしてあったが、
ボクは溶剤で少し溶かし、薄い塗りで何度も何度も塗り重ね、
層を積み上げるようにして塗って仕上げていくタイプ。


窓からの光に透かせてみて、ようやく凹凸が少なくなり、
年輪の溝もやや埋まったところ。


さらに3、4回は塗ったら研ぎだし、研いだら塗るを繰り返す。
    

 ◇ そして完成 /
今までのニスがゴールド系の単色でしたので、すこしダークた。
弦は、手持ちのオブリガードを張りました。





  
左が元の色、中央と右は完成後、前より少し濃いめの、筆者好みのレッド・ブラウンになりました。

表板、ネックができてしまえばあとは組み立てるだけ。


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