repair base 3
Back to repair base 2
Repair Base- 3.何カ所も壊れたアコ・ベースの修理 V HOME
Next



 ◆ 割れの接合 

幸いに、割れただけで穴が空いているということはないので、上手くニカワで貼れそう・・・。
だが、では、実際にはどのようにして貼ったらいいか?

ともかく、2mmもずれているところがあるので、上からも、下からもしっかり押さえて貼り、さらに、割れに対しては水平から
かなりの圧力をかけなければ、実用に耐えるような強度が得られないだろう。

それで、とりあえず表板の半分は、治具・工具をあてがったりすめためにも剥がすことにした。

中を見ると、図太い魂柱に、これまた図太いバスバー、それに、さすがは大型、表板も裏板も、中央の接ぎ合わせ部には
ヴァイオリンから比べるとずいぶんと大きな木片(パッチ=接着をより強固なものにするための補助材)が、点々と貼られていた。

さすがは大型楽器、剥がした間からデジカメを差し入れ、ノーファインダーで内部をパチリ!

 

表板も裏板も中央の接ぎ合わせ部には、接着をよりしっかりするためか、 補強の意味でパッチが点々と貼ってある。

手前がエンドピン側、奥にネック側のブロックが見えている。

魂柱には、3.5cm丸の、薄いベニヤ程の厚さの台座が接着されていたが、反ってちょっと曲がっている。

写真の、四角で囲った部分のAは、中央部の接ぎ目にあたるところの、既存の、およそ2cm角のパッチ(接着補助材)。

Bは、割れを直して私が貼った新しいパッチ。ただし、これはカエデの薄いリブ材なので、髄線の流れる方向を約45度ずらして貼ってあるので、強度は十分。 上の横棒がバスバー、下の丸く見える柱が魂柱です。


パッチ : 継ぎ目の接着補強用
それぞれの個所にきっちり貼るためにも、ライニングのように、4辺は大きくテーパーをつけ、面をとって使うべきだと私は思っている。
こうした補助材は、ときどきヴァイオリンの割れ等にも使われているが、素材や大きさ、厚さや目方向など、適材適所、使い分ける必要があると私は思う。

とくに今回のような接着補助を目的にしたものでは、貼るものに対し、必ず木目をずらすなど、実際に貼る際には目方向も十分、考慮する。
上の例のように、直角でなくても45度程度でも割れに対する強度は何倍かになるはず。

 ◆ 修理用の補助工具の作成 

割れ目を接ぎ合わせるといっても、しかし、ベースから比べると極端に小さなヴァイオリン用のクランプしかありません。

手っ取り早くつくれて、しかも、しっかりと機能を果たすものをつくらなければなりません。

そこで、木の端材などを使い、ボルトとナットで締めつけられるものをつくることにしました。

木工なら自前でできますから、早くて安いですね。

ボディの巾に対しては、6mmベニヤを使い、のようにして曲線(アーチング)に対応するようにしました。

真ん中のものは、ただ、左右から引っ張れればいいのですが、上下のものは、

それぞれのカーブに対応して、より細い方にずれたり、ゆるんだりしないような構造でなければなりません。

そのために、さらにエッジの小口の左右に沿って、パッキンの役割も兼ねさせたベニヤの帯を使い、
3本の締め具をそれぞれの位置に固定できるようにしました。

引っ張りには、右側だけで蝶ナットで締めつけるようにし、
それには、ヴァイオリンのスプールクランプに使っている6mmボルトで間に合わせました。

ものがものだけに、修理用の補助工具もつくらなくてはなりません。
割れの貼り合わせに対しても、左右からもテンション(圧力)をかけます。
カワで「割れ」を貼り合わせた上からも、補助材(パッチ)を点々と貼って補強。

こまかなひび割れにも裏からも補強材を貼って補修。

なお蛇足ながら、この補助材には表板はスプルース、裏板はカエデ材を使い、また、それぞれの目方向はより丈夫なものにするため、直角に貼り付けた。

スプール・クランプだと、長いボルトが数多く必要になるから、写真のように、ある程度の巾で圧力がかけられるよう、 端材で曲線をとり、これで締めつけた。

なお、本体側には薄い二ードルパンチ・カーペットを貼り、それがパッキンの役割と、キズ防止になっている。

使ったボルトは、手持ちの蝶ナットに対応させて、6φ×28Lmmのもの。

C部インナー・バウツの上に載せてあるのが、ヴァイオリン用のスプール・クランプ。
比べてみると、ずいぶん大きいのが分かるでしょ。


Back

HOME

Page Top

Next