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バラバラのチェロ修復 PartU-7

Feb. 2007

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    ◇ いよいよ裏板も接着    

裏板用のライニングを貼ります。
ネック角度をみながら、まず上下を固定それから周囲という具合に、ここも分割して貼りました。
サドルも合わせて削り、接着。
なぜか、黒檀の目釘を使っていましたが、これは活かしていません。

だからといって、抜くこともしません。

どうせ、テールピースで隠れてしまうところですから・・・。
オーナーさんからは、ニスは塗らなくてもいいということでしたが、
木地そのものが露出しているところもあったり、周囲のパフリングの浮きもあったり、穴埋めしたり、接ぎ治したり、
当初から、周囲の色に同化させる程度の最低限に塗るつもりでいました。

元のニスはアルコール系、そこで今回は、エアーブラシを使って塗りました。
右手の黒いのがベビー・コンプレッサー、ヨーロッパ系のアルコール・カラーニス(左手の缶入り)を吹き付けました。
ただし、メタノールでやや倍程度に希釈し、薄く、ぼかしながら吹きました。

車などに吹くスプレー・ガンから比べると、かなり微細な塗りができます。

エアーブラシは、本来、マスキング・フィルムと併用して商業美術的なポスターなどを描いたりする専用ツールです。
指板の接着です。

ネックにしっかり合わせて削ってありますから、上下・左右ずれないように左右も3個所、クランプして貼りました。
ネックと指板がつくと、もうすっかりチェロらしくなりました。

娘が成人式を向かえたときのように、やはり一枚、パチリ! と撮影。

今回は、オーナーさんの意向で、ニスは極力塗らなくてもいい・・・、との仰せでしたが中央の、接ぎ合わせの際に生じた、 ほんの僅かな段差をスクレーパーでならしたし、穴も、欠落個所にも新しい木をつけたこともあり、色合わせをしながら、多少、塗らざるを得ないのが実情でした。

また、周囲のパフリングにも浮きが目立ち、そっと針先で持ち上げておいて薄めたニカワを流し込んだりもしました。

ニスも、もともとは樹脂ですからある程度の接着力はあります。

そうして意味でも、周辺部は塗ってやりたいのです。

周囲の色に合わせながら、ぼかしながら・・・やる必要がありますし、
元々のニスがアルコール系のもの。

そこで、苦肉の策としてエアー・ブラシを使い、当初からの、微妙な陰影を活かしながら、できるだけぼかして塗る、いや、吹き付けました。

アルコール系のカラーニスは、レッド・ブラウン、ダーク・ブラウン、アンバーなどなど、メチルアルコールでほぼ倍程度に薄め、薄く、薄く、塗り重ねました。
とりわけ、オールドらしい「スレ」や「ハゲ」も、
木地そのものが出ない程度に吹いてやりました。
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