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木工の楽しさ・おもしろさ
No.3
「孫の手」ではなく、『嫁の手』 |
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わたしは、歳のせいか「ぬか漬け」が大好きだ。 とくに、初夏から秋口までは、旬の、露地栽培の野菜のぬか漬けはたまらない。 暖かいご飯にぬか漬けがあれば、他のおかずはなくてもいいほどだ。 だか、残念ながら家内はそうではない。 仕事はよくやる方だが、炊事、洗濯はまるでダメ。 家内に管理させると、ぬか床はだいたい、一年ずつで更新するようになってしまう。 つまり、冬越しの管理が悪く、いためてしまうわけだ。 初夏になって、わたしにいわれると、「それでは・・・」と、 その都度、近所にいる叔母の家に飛んでいき、 何十年越しの、いわゆる種菌としての「古床」を少々いただいてくるのだ。 そこで、長男の嫁さんを仕込むことにした。 しかし、若くてきれいな嫁さんの手を、 わたしの好みで「ぬか味噌臭く」するのは心外。 そこで、苦肉の策として考えたのが、「孫の手」ならず『嫁の手』。 |
『隔靴掻痒』とは・・・ 靴の外から、かゆいところが掻けないように、 思うようにならない「もどかしさ」のこと。 食べたいときに 食べたいものが食べられないようなものです。 ウクレレ制作 |
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以前、ふたりの娘たちには、わたしの『糠味噌考』を何度となく語ったことがあった。 「ぬか床」のことから、「ぬか漬けの極意」まで、死んだ婆ちゃんの受け売りではありましたがね・・・。 当然、すみや流の科学的根拠も加えることは忘れていません。 味噌をつくるときの「糀」がつくる酵素は、「嫌気性」といって空気が嫌い。だから、よく煮た大豆に、糀と塩を混ぜ、 樽につけ込むときには、空気が入らないように、ボール状にして、たたきつけるようにしてつけ込むのだと。 一方、ぬか味噌の酵素は「好気性」、空気が好きなのだから、毎日、朝晩、欠かさずかき混ぜることで、いやな臭いはしなくなるのだと。 娘たちが相手だから、「そうしてかき混ぜないと、酵素が便秘をしておならをいっぱい出し、それでアンモニア臭が強くなって、 臭くなるんだよ」と、ユーモアも忘れていない。 また、『漬かりすぎて、多少酸っぱくなっても、それは乳酸菌の働き。乳酸菌は腸によく働き、健康にはいいんだから』とも。 |
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それでつくったのがこの作品?。 カエデの端材で、ものの1時間程度。それに、洗いやすく、臭いがしみつかないようにするための耐水性を考えて、二度ほど、薄いニスを塗ってできあがり。 で・・、長男の嫁さんにも、これの使い方はもちろん、娘たち同様、わたしの『ぬか味噌考』を講釈をしたことは、もうお分かりですよね。 ちなみに、筆者がするときには、こんなものは使わず、手でしっかりかき混ぜていますよ。 自分が好んで食べるのですからね。 一句浮かんだ・・『ぬか漬けも、つくる極意はバイヨリン』ってね。 ヴァイオリンづくり同様、何事も「つくるもの」には、作り手の手間を惜しまず、愛情と魂を入れなければ、いい音、美味しいものはできませんからね。 |
写真は、上が市販の竹製しゃもじ 下が、筆者制作の『嫁の手』、長さ約35センチ。 |
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何か新しいものをつくった際には、また、ご報告いたします。
へんな制作日記にお付き合いいただき、どうも有り難うございました。 (_ _) June
2000.