HOME Back 木工の楽しさ・おもしろさ No.4-3 ウクレレ制作 3  講座の様子と仕上げ工程
まずは6月2日、M市生涯学習センターでの「ウクレレ制作と一曲マスター」講座から

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朝、9時には隣町・M市まで、準備した工具類・道具類を車に乗せて、いざ出発。

定員28人で募集した受講生。でも、集まったのは文字通り「老若男女」、14人。

工作室は余裕あるけど、講師の私にゆとりがないのでちょうどいい人数でしょうか。

1日、朝10時半から、午後3時半まで、
昼休みをはさみ、正味4時間で所定の作業までは進めたいのです。

いちばんの心配事は、接着時間でした。

本来なら、何段階かに分けて接着し、よく乾燥させてから次の工程に進める。

接着面がしっかりついていなければ、つぎの工程に入っても、剥がれてしまいます。

そのために、キット制作にどんな接着剤を準備すべきか。

当初、オープンタイムの比較早い、しかも接着力の強い、
2液タイプのエポキシ(30分〜40分硬化のもの)を使う予定でした。

ホームセンターをハシゴして、いろいろ調べた結果、そのエポ・タイプでも、
固定時間が数時間というものが多く、 高い割りに、初心者では扱いにくいことから、
結局、『パワー・ダイン』という、水溶性の速乾ボンドにしました。


実験の結果、うすくのばして貼ると、数分で動かなくなるほどのスピードで、
実用強度になり、その意味では、接着材の選定は成功したといえます。



中央左、ブルーのシャツで受講生の質問に答えているのがわたし。
顔がみえない?
そうです、後ろ向きで、うしろのおじさんと話しているショットだし、
かなり圧縮してありますからね。
**

指板の長さから、駒の位置を設定するための説明中。
手前の方は、すでに駒が貼れています。
そして、不安定な場所だけにスプール・クランプ4つで固定してあります。
細かな作業のお手伝いのため、老眼鏡はかけっぱなし・・です。
3、4人をひとつのグループにして、それぞれの作業台に分かれ、
作業を進めました。
接着の締め具として、太めの輪ゴムがキットに入っていましたが、持参した
ヴァイオリン用のスプール・クランプ5、60個が大いに役立ちました。

結局、接着剤の乾く時間を考慮して午前の部を30分延長、
そのために昼食は30分遅れになりました。

ネックを貼ったり、ニス塗りは宿題。

当初から、短時間のため当然、全部完成ということは考えていませんでした。 そのために、ニスや調整については、詳しいパンフをつくって持っていき、
全員にコピーして配布、半分は宿題扱いになるようにしました。

全員、ひとりの脱落者もでず、所定の作業まで進めることができました。

さあ、来月の演奏会、皆さん、どんな風に仕上げてきますか、楽しみです。



















というわけで、作業途中だったわたしのウクレレも、いざ進行です。

もう、ある程度まで仕上がっていますから、あとはアッセンブリーとニス程度。

結局、指板に埋め込む貝は、DIYで市販されている直径6mmの電ドル用ポンチを買い、それで楽にアワビの貝をくり抜くことができました。

指板には、同じ6mmのドリルで1mmの深さに穴を空けておき、茶系のエポで接着固定。思いのほか上手くいきました。

ついでに、サンプルとしていただいたキットも、折角ですからつくることに・・・。

このセットの部品の一部は、受講生の悪い部品と交換したり、
ひとりだけ横板を割ってしまった方がいたので、
そちらに回したので、横板の部材・削り出しからのスタートです。

ただ、たたいたタップトーンは、やはりベニヤのキットはすこし鈍そうな重い音、
私のカエデ+ラワンの方が乾いた響き。

うーん、やはり数段、いいかなぁー。  (6/4)

左のぶら下げてニスを乾かしているのが制作途中のもの。
中央がキット、まだニスの目止め処理1回。
指板や駒(緒止め)をつければ完成!
弦は、アメリカ製マーチンのもの、ケースに納めればもう立派な楽器。

音?そうね、楽器は音がいのち・・・。まぁまぁというところでしょうか。

当初、ギター弦を流用と考えていましたが、とりあえず1セット600円の
マーチン製のウクレレ専用弦を張りました。

途中、作業の中断中に、暇をもてあまし結局ケースもつくりました。

主な素材は、『桐モドキ(ファルカータという木)』、ホームセンターで売っている桐とほぼ同じような木材。安いし、

軽いし、加工がしやすいので、 ケースには打ってつけ。

 




いちばんの自慢は、やはり裏板に使った富士山のカエデ。

これは、もうずいぶん昔、富士山・5合目週遊道を建設した際に伐採されたもので、
永らく地元の製材に眠っていたものでした。

変わった杢目と、フィドラー・バック(フレーム)も入っています。
わたしの、何台かのヴァイオリンと「兄弟木」になります。


下に広げてあるのは、外装に貼った粘着シートの切れ端と、内部に貼った壁紙の一種、「チンチラ」の切れ端。
取っ手は、古い「壁紙のサンプル帖」から外したものを流用。
蓋の止め金、蝶番だけはDIYで買いました。
最後に、ケースの説明。
友人が遊びに来て見て、まず「ケースがいいね」と、欲しいようないい方。

これは、まず細長い卵形の箱をつくっておき、できてから上下を丸ノコで二つに割ります。
そうすることで、一方が底になり、もう片方が蓋になるのです。
いちいち、ひとつずつつくらなくても済むし、これなら、上下ふたつに割りますから、底と蓋がずれるようなこともありません。

では、どうして周囲の曲線をつくったかというと、日本古来から建具職の名人たちが使っているテクをパクリました。

建具もデザインによっては、桟に曲線部分が入ります。巾6〜7ミリもある柾目の杉材を、建具職人たちはどのようにして曲げるのか。

薄い経木のようなものなら、ヴァイオリンの側板同様、濡らしたり、蒸したりして曲げますが、少しでも厚みがあるものはそうはいきません。
昔の、木製のフルイや蒸し器は、薄い経木を何層かに重ねてつくられています。重ね合わせた最後の止めなどは、 桜の皮の細い帯で縫いつけて止めたりしていますね。






右の写真は、そうした技法で作られているガラス障子のアップと 白木のお盆ですが、障子の方はわたしの知っている建具屋さんの作です。

でも、残念ながら、この方はもう作っていません。単価(予算)がなくなり、安いものが多くなっている昨今、 「あんな手のかかるものは、作っていられない」と嘆いています。

写真左の、さらにアップしたものでお分かりいただけると思いますが、曲線部分は3mm間隔で、皮一枚残すような切り方で、 ノコ目が入っているのです。
これには、やや切れなくなった胴付きノコで、丁寧に、細かく、薄皮一枚残す程度の4/5ほどを挽きます。

「切れない」ということは、ノコ目の巾が、切れるものより余分にすきとる結果となり、その切り目が空いた分、 曲げやすくなるからです。

あとは、共鳴箱同様、ヴァイオリンづくりのわたしが作るのですから、コンパネでつくった内型に合わせて、貼ったり、削ったり・・・です。

仕上げは、ホームセンターで売っている粘着シート、たまたま明るい木目のものが手持ちであったので、それを貼りました。

曲線になっている部分は、ヘヤードライヤーで、熱して柔らかくして引っ張って圧着、カーブに合わせました。

内貼りは、私の本業が内装屋さんですから、壁紙のチンチラの端材を貼りました。よくカラオケ店やキャバレーの内装なんかに使っているものです。

チンチラというのは、ベルベット風の、毛の長い布地のしわしわしたやつです。

        
建具のデザイン(アップ)


神事に使う白木のお盆

長々とお付き合いしていただき、ありがとうございました。 m(_ _)m

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