人類史に疑惑?(3)
前回は人類史について、私なりに現在最有力と思われる見解を纏めてみたが、それと比較すると、α(第68回参照)が如何に常識外れの内容なのか、よく分かるのではなかろうか。ここで少し「人種」について述べておくと、モンゴロイドやコーカソイドといった「人種」間相互の遺伝的相違は、各「人種」間内部の遺伝的相違よりも小さい。よって、生物学的(或いは遺伝学的)には「人種」なる区分は無意味なのだが、ネグロイド・コーカソイド・オーストラロイド・モンゴロイドといった名称は広く普及しているので、以下、これらは大まかな地域集団(厳密なものではない)という意味合いで用いていきたい。つまり、ネグロイドはアフリカ、コーカソイドはユーラシア西部、オーストラロイドはオセアニア、モンゴロイドはユーラシア東部の地域集団というわけである。
さてαについてだが、色々と調べてみると、如何に常識外れの内容とはいえ、おかしな点もある。仮に、250万年前の遺跡と遺体だとしたら、DNAの塩基配列が読み取れるのか疑問で、また、この年代にはマンモスは存在しない(マンモスの登場は約40万年前とされている)。ただ、年代についてはまだ確定したわけではなく、マンモスの出土が伴っていたというわけではないかもしれないから(多数のレスの要約なので、明らかなガセネタを入れてしまったかもしれない)、その点は一先ず措いて、新たにスレッドを読み返してこの一連の「疑惑」を纏めてみると、以下のようになるだろうか。尚、今後は、以下の纏めをγと略す。
(1)アラスカまたはシベリアの広範な地域で人類の複数の遺体と居住跡とが発見された。
(2)そこには土器らしきものがあり、大規模な定住生活が営まれていた。
(3)年代測定の結果、驚くほど古い年代が出たが、まだ確定はしていない。仮に当初の年代が正しいとしたら、人類史に巨大な空白ができる。
(4)遺体のゲノムを解析したところ、彼らは現在のコーカソイドと継承性を持つことが分かった。
(5)同時に、ネグロイドとモンゴロイドについても遺伝的なある事実が分かり、それは少なからぬコーカソイドにとって衝撃的なものである。
(6)従来の遺伝学の理論との整合性についても議論がなされており、生命や種の起源についても再考を迫る可能性がある。
(7)現代人の起源について、現在優勢なのは単一起源説だが、この一連の発見で、多地域進化説が優勢になるものと思われる。
(8)人類史に留まらず、複数の学問の通説を大幅に書き換えざるをえなくなるかもしれない。
(9)遺跡の推定年代などでまだ確証がなく、他にも配慮せざるをえない点が多々あるので、発表が延期されていおり、来年1月に発表の予定。
要するに、現代人が分化する前に既に高度な社会性を有した各地域集団が成立していた可能性があり、ゲノム解析の結果、複数の学問分野に関わるような重要なことが判明した、ということになろうか。確かに、もし事実だとしたら、大変驚くべきことではあるが、コーカソイドというか欧米の「白人」が、この一連の発見で何故衝撃を受けるのか、どうもよく分からない。
「白人」にとっては単一起源説の方が都合がよいという指摘があったが、それはどうも違うのではなかろうか。一口に「白人」とはいっても、教養に大きな差があるのは当然で、こうした学問的な話について、温度差はあると思うが、単一起源説は「白人」受けする学説ではないと思う。単一起源説を歓迎しているのは寧ろ「黒人」で、一部の「黒人」は、博物館に多地域進化説の展示を撤去するよう要求しているそうである。
どうも、「白人」にとって衝撃的という解釈は信用ならないように思われるが、中には、「白人」の遺伝的欠陥を示唆する書き込みもあって、確かにそうなら、「白人」にとって衝撃的な内容ではある。ただ、それを否定する書き込みもあり、「白人」にとって衝撃的だとか、都合が悪いので発表を延期しているといった解釈は、どうも邪推なのではないかと思う。故に、次回以降は、「白人」にとって衝撃的・都合が悪いといった指摘は採用せずに私見を述べていきたい。