タークスのはちゃめちゃ冒険記 第1巻

 

 

序章 タークス再結成!

 

ミッドガルの螺旋トンネルで3人が別々の道へ歩き出してから、すでに1年が経過していた。そんなある日…

 

 「な、なんだこの光は、と」

 「……」

 「な、何、この光は…」

 

突然白い光が3人を包み、そのまま気を失った。

 

 

気がつくと、そこは豪華なじゅうたんが敷き詰められた、豪華な建物だった。そして、横には1年前に別れた仲間がいた。

 

レノ「お、ルード、イリーナ、ひさしぶりだぞ、と」

イリーナ「あ、先輩、おひさしぶりです!」

ルード「……ひさしぶり」

レノ「お、ルードも少しはしゃべれるようになったのかな、と」

ルード「……」

レノ「…やっぱり変わってないぞ、と」

 

レノ「ところで、いったい何が起こったんだ、と」

イリーナ「さあ…突然白い光が現れたところまでは覚えているんですが…」

ルード「……」

 

すると、突然前から声が響いてきた。

???「おぬしたちは光の戦士として選ばれたのじゃ」

 

3人が前を向くと、そこには白いヒゲを生やした、変な格好をした男が座っていた。

レノ「あんたは何者だ、と」

側近の男「こら!王に向かって失礼であるぞ!」

 

すると、王と呼ばれた男はこう告げた。

 「わしはこのコーネリア王国の王、コーネリア16世じゃ」

 

3人「王?」

側近の男「なんだ、まさか王を知らんのか?」

側近の男「王は、このコーネリア王国の最高責任者として、この地を治めておられるのだぞ!」

イリーナ「この地の最高責任者?」

レノ「じゃあ、ミッドガルの市長と同レベルだぞ、と」

レノ「全然たいしたことないぞ、と」

レノ「さっさと元の世界へ帰せ、と」

 

…そもそも彼らの世界には国や王などという概念はないので、すぐに理解しろというのも無理な話であった。

そのとき、王が重い口を開き、こう言った。

 

王「それは無理じゃ」

イリーナ「なんですって?」

王「最初に言った通り、おぬしたちは光の戦士として選ばれたのじゃ」

王「使命を遂げるまでは、帰ることはできん」

 

イリーナ「光の戦士ですって?バカにするのもいいかげんにしなさい!」

レノ「イリーナ、熱くなるなよ、と」

レノ「ここでもめてもどうにもならないぞ、と」

イリーナ「しかし、先輩…」

 

レノ「じゃあ、オレたちが光の戦士っていう証拠はあるのかな、と」

王「うむ、おぬしたちが持っているクリスタルこそが何よりの証拠じゃ」

イリーナ「…クリスタル?このヒュージマテリアみたいな?」

王「そう、それがクリスタルじゃ」

 

レノ「…イリーナ、どうやら行くしかないようだぞ、と」

イリーナ「…了解」

 

レノ「じゃあ、オレたちは何をすればいいのかな、と」

王「ガーランドにさらわれた王女を救い出してほしい」

イリーナ「…王女?」

王「わしの娘じゃ」

レノ「じゃあとにかくそのガーランドってヤツをぶったおしてくればいいんだな、と」

王「ま、まあ、そういうことじゃ」

 

レノ「で、そいつはどこにいるんだ、と」

王「この城から北の方角にある神殿におる」

 

レノ「了解、と」

レノ「じゃあさっさとそいつを片付けて帰るぞ、と」

 

こうして、3人は再び一緒に「仕事」をすることになったのであった。

そして、王の間から離れ、階段の近くに差し掛かったその時…

???「まったく、1年経ってどうなるかと思ったが、全く変わってないな」

 

「!!」

聞き覚えのある声に、3人が同時に振り返る。すると、そこには額にほくろのある、オールバックの男が立っていた−。

 

 

序章2 4人目のタークス

 

 「ツォンさん!!」

 

そう、そこに立っていたのは紛れもなく、元タークスのリーダー、ツォンであった。

 

イリーナ「ツォンさん…どうしてここに…?」

イリーナ「あの時、黒マテリアの中に飲み込まれてしまったはずでは…?」

 

すると、ツォンは遠くを見つめながら、こう言った。

 

 「…私もそうなるものだと思っていた」

 「しかし、あの時奇跡が起こった」

 「…体が動くようになっていたのだ」

 「何が起きたのか分からずに、私の頭は混乱した」

 

 「…しばらくして、ポケットの中が白く光っていることに気がついた」

 「中には、白いマテリアがあった…」

 

 「私はとりあえず、神殿の外に出た」

 「そして、これからどうすればいいのか分からなくなって、あたりをさまよっていた」

 

 「…次の日、私のところへ見たことのある女がやってきた」

 「…エアリスだった」

 「そして、彼女はこう言った」

 

 『助かってよかったね』

 

 「その瞬間、私はなんとも言えない気持ちになった」

 「そして、彼女はこう続けた」

 

 『白マテリア、返してくれないかな?』

 

 「私はポケットから白く光るマテリアを出し、そっと彼女の手に返した」

 「そして、彼女はこう言った」

 

 『…さようなら…』

 

 「その瞬間、私はなんともいえない痛みに襲われた」

 「…私は彼女を引き止めようとした」

 「…だが、声が出なかった」

 

 

 「しばらくして、彼女が星に帰ったことを知った」

 「私はあの時引き止められなかったことを悔やんだ」

 

 「…私にはもう、何が正しいのかわからなくなっていた」

 「私は、世界の行方をそっと見守ることにした」

 「…そして、メテオは消え去った」

 

 「…だが、私の心は晴れなかった」

 「これからどうすればいいのか分からなかった」

 「ロクに仕事もせず、毎日ボーっと暮らしていた」

 

 「そして今日、突然白い光に包まれて、ここにたどり着いた」

 「…そうしたらお前たちがいた」

 

 「いまさら私の出る幕はないと思い、後ろでお前たちのやりとりを見ていた」

 「…が、反射的に声をかけてしまった」

 

 「……そんなところだ。くだらない話をしてすまなかったな」

 

 

ツォンが踵を返したその時。

 

 「待ってください!」

 

 

ツォンが振り返ると、イリーナの目からは大粒の涙がこぼれていた。

 

 「そうやって、またどこかに行っちゃうんですか?」

 「ツォンさんがいなくなって、私がどんなに苦しんだか分からないんですか!」

 「もう離れたくありません…」

 

 (イリーナ…)

 

とまどうツォンに、レノが続いた。

 

 「おっと、女を泣かせちゃいけないぞ、と」

 「それにここに来たってことは、ツォンさんも光の戦士ということだぞ、と」

 「たまには仕事をしないと腕がなまっちまうぞ、と」

 

そして、最後に無口な男が口を開いた。

 

 「……よろしく」

 

 

あとは、もう言葉は必要なかった。

 

 「…よし、ひさしぶりの仕事だ、行くぞ!」

 

 「了解!」

 「了解、と」

 「……了解」

 

こうして、タークスに再びリーダーが戻ってきた。そして、コーネリア王国を舞台にした4人の冒険が、幕を開けた−。

 

 

序章3 はじめてのコーネリア

 

 

 「あれ?今ふと思ったんですけど、この袋はなんでしょう?」

4人の腰回りには、小さな袋が下げられていた。

 

 「ん?確かに…開けてみるか」

ツォンが袋を開けると、中には紙が入っていた。

 

「なんだ、この紙は?」

 

紙を開くと、そこにはこう書かれていた。

 

 『メンバーのリーダーとして周りを引っ張るあなたは戦士にピッタリ。でも、戦士だけに戦死しないように気をつけてね(はぁと)』

 

ツォン「…なんだこれは」

イリーナ「さあ…じゃあ、次は私の袋を開けてみます」

 

イリーナが袋を開け、中に入っていた紙を開くと、そこにはこう書かれていた。

 

 『一応女の子だし、あの2人よりは知性ありそうだから、あなたは魔法使いで決定ね。大好きな彼のために白魔法でサポート…あぁなんてロマンチック…(はぁと) 強気なあなたには特別に黒魔法もプレゼントしちゃう。でも、ちゃんとみんな均等にサポートしてあげなきゃダメよ(はぁと)』

 

イリーナ「……」

レノ「あ、あの2人っていうのは誰のことかな、と」

ルード「……」

 

続いてルードが袋を開け、紙を開くと…

 

 『見た目からしてパワーあふれまくりなあなたはモンクにピッタリ。これで憧れのティファとお・そ・ろ・い(はぁと)』

 

ルード「……」

イリーナ「ええっ?先輩そうだったんですか?」

ルード「……」

レノ「耳の先まで真っ赤だぞ、と」

イリーナ「…へぇ…見かけによらず…」

ルード「……」

レノ「さ、さて、じゃあ最後はいよいよオレの番だぞ、と」

 

レノが袋を開け、紙を開くと…

 

 『クラウドたちと戦うこと3回、すべてにおいて見事な逃げ足を見せた、マジックポットも真っ青なあなたはシーフにピッタリ。でも、ボスからは逃げられないから気をつけてね(はぁと)』

 

レノ「…な、なんだこれは、と」

レノ「こいつコルネオよりもタチ悪いぞ、と」

 

 

こうして歩いているうちに、4人の目の前には美しい町並みが広がっていた。

 

ツォン「ところで、お前たち武器やマテリアは持ってきたのか?」

 

 「……」

 

ツォン「では、金は持ってきたか?」

 

 「……」

 

ツォン「…仕方ない、私の金を使うか…」

イリーナ「でも、400ギルで買えるんですか?」

 

そう、ツォンが持っていたのはたった400ギルだった。大きな不安を抱きながら武器屋に入ってみると…

 

イリーナ「じゅ、10ギル!?」

ツォン「ずいぶん安いんだな…」

レノ「ん?マテリア穴はどこだ、と」

ツォン「そういえば…ないな」

イリーナ「ちょっと聞いてみましょう」

 

イリーナ「マテリア穴はどこ?」

店長「は?」

イリーナ「マテリア穴はどこかって聞いてるの」

店長「そう言われましても…」

イリーナ「??もしかして…マテリアを知らない?」

店主「はぁ…はじめて聞きますが…」

 

イリーナ「…どうやら、この世界にはマテリアはないみたいね」

ツォン「そうだな…よく考えれば魔晄がなければ、マテリアがないのも無理はないな」

レノ「なるほど…しかし、魔法が使えないのは痛いぞ、と」

ツォン「ふむ…しかしとりあえずは武器を買わないといけないだろう」

イリーナ「それはそうですね」

 

こうして4人は必要な武器を購入し、ガーランドの神殿へ向けて歩き始めた−。

 

(第2巻へつづく)


なんか旅立ちだけで1ページ使ってしまいました(^^; よかったら続きも見てもらえるとうれしいです(^^)/

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