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朝焼けのマッターホルン

第4章 ザースフェー

◎ザースフェーへ

 7月15日。同室のMさんに起こされて目がさめた。外を見ると、見事なマッタ−ホルンのモルゲンロート。さすがに美しい。写真だけ撮った後、また寝た。

 今日は計画では休養日である。明日からの登山に備えて、休養を取ることになっていて、自由行動の日である。

 僕と、Kさん、Hさん、Yさんは、ツェルマットから山一つ隔てた、ザースフェー(SaasFee)と言う街に行くことにした。

 昨日乗った登山鉄道で、ツェルマットから谷を1時間ばかり降りて、シュタルデン(Stalden)と言うところに着く。そこでPTT郵便バスに乗り換えて、ザースフェーに向かう。

 1時間弱バスに乗ると、ザースフェーに到着。

ザースフェーの教会

←ザースフェーの教会
後方は左からアルプフーベル、タッシュホルン、ドム

 ここは街並みそのものは、ツェルマットとよく似ていて、車が入らないことも同じである。しかし、街のすぐ上に氷河が見えて、氷河に囲まれた街という印象を受ける。そのせいでツェルマットとはかなり印象が異なる。

 街の美しさではツェルマットに負けないが、いかんせんマッターホルンがない。そのせいか、日本人観光客も全然いなくて静かである。

◎腹が痛い!

ザースフェーにて

 バスターミナルからブラブラと散策しながら、街の中心の教会前まで来たところ、Kさんが腹痛で調子が悪いと言う。聞けばHさんも腹痛だという。ということで、Kさんは先にツェルマットへ帰ることにし、HさんとYさんと3人で、ロープウェーで上へ上がることにした。

 ところがそのロープウェーの乗り場まで歩いているうちに、今度は自分まで腹具合が悪くなって来た。まだ歩いているうちは良かったが、ロープウェーに乗って、発車を待っている間が辛かった。吐き気と腹の鈍痛を堪えているうちに、冷や汗がどんどん出てくる。顔も青ざめていたらしい。隣にいたドイツ人のおばさんが、心配そうに見ていた。おかげでロープウェーが動いても、回りの景色は全然目に入らなかった。

ザースフェーにて

 ロープウェー終点駅でトイレにかけ込み、休憩しているうちに少しは楽になってきた。しかし腹の調子は良くない。下までハイキングする予定だったが、とてもそんな力はない。Yさんいわく
  「歩かないからしんどいんだよ、歩けばなおるよ」
 冗談じゃない。

 結局、そこからさらに地下ケーブルに乗りついで行った、ミッテルアラリン(Mittelallalin)の見学だけすることにした。

ミッテルアラリンよりアラリンホルン

ミッテルアラリンよりアラリンホルン→

 ミッテルアラリンは、氷河に囲まれた島の上にある所。標高3500m。目の前に、アラリンホルン、タッシュホルン、ドーム等のミシャベル山群を間近に見える絶景の地だ。天気も良くて、彼方にはベルナーオーバーラントの山々まで見えた。

 しばらく雄大なアルプスの景色を楽しんだ後、またザースフェーの街まで降りた。

ザースフェー

←ザースフェー近郊風景

 体調が良くないので、ロープウェー駅前のアルプでしばし日なたぼっこだ。のんびりとしたアルプと、回りの氷河の山々。腹痛さえなければ最高だった。

 時間があったので、自分とYさんは、スケッチをする。スケッチなどしていると、多くの人が、のぞきに来るので恥ずかしい。が、のぞき込んだ後、必ず何かしら感想とかアドバイスとか言ってくれる。日本だと、遠目にチラッと見て、通りすぎるだけだからお国柄の違いを感じる。

 そこからブラブラと、アルプや、街を歩いて元のPTTバス停へ。そしてバス、電車と乗り継いで、ツェルマットへ帰った。帰りは腹痛に頭痛まで加わって、思いきり疲れてしまった。

 後で聞くと、ツェルマット付近でハイキングしてたO夫人も同様の症状だったらしい。どうやら昨夜の食事にあたったようだ。

 と言うことで、翌日からいよいよ登山が始まると言うのに、最悪の体調となった一日であった。本当に大丈夫だろうか、心配になってきた。


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