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第5章 ブライトホルン(承前)

◎ブライトホルン頂上に立つ。

マッターホルン

ブライトホルン山頂よりマッターホルン

 自分とKさんで、先行して頂上に向かった。大斜面をずっと登り、頂上直下で左に巻いて、尾根に出る。少しやせた尾根を登れば、そこがブライトホルン頂上だった。

ブライトホルン山頂

←ブライトホルン山頂にてKさんと
 後方はモンテローザ

 たった1時間半の登りだが、生まれて初めてのアルプス4000m峰だった。感激の一瞬。上空に雲は出てるが、回りの山々は全て見える。モンテローザ、リスカム、そして目の前に、我々の目標マッターホルンがその東壁を向けてそびえている。

 「もうこのブライトホルンを登れただけでも満足や」
 「いや、まだ本命のマッターホルンがありますよ」
 「そやなぁ」

 そう、まだマッターホルンがあとに控えている。しかし、生まれて初めて、4000m峰を一つ登れたことで、もう既に大満足だった。

 頂上は風は強かったので、少し降りたところで他のメンバーを待った。ほどなく全員登ってきた。心配していたYさんも息もたえだえながら、登ってくる。全員そろったところで、もう一度ピークへ上がり、握手をして感激をもう一度味わった。

◎クラインマッターホルンで

 ブライトホルンからの下りは、平らな雪原までは快調だったが、そこから先、クラインマッターホルンまでは平らだが、長く感じられた。

 クラインマッターホルン駅まで戻って来て休憩していると、地元の人が「日本人が苦しそうに倒れてる」とか言う。すわ、一大事と回りを見るが、我々のメンバーは全員そろってる。誰だ?

 「うちのおとうさんですわぁ」
 と、近くにいた日本人のおばさんが、言った。
 「いつもあーなんですよぉ、気にしなくていいですよぉ」
 そのおばさんはいたってのん気なもんだ。

 それでも気になるので、行ってみたら、おじさんが一人、大雪原のまん中で、気持ち良さそうにキジを打っていた。

◎散策

 まだしばらくクラインマッターホルンで、ゆっくりして行きたかったが、Yさんが苦しそうなので、すぐに山を降りる事にした。クラインマッターホルンからフーリ(Furi)と言うところまでロープウェーで降りる。高度を下げたとたん、Yさんは元気になった。やはり疲れから来る高度障害だったらしい。

ツムット

フーリよりブライトホルン→

 フーリからはツェルマットまで歩いて行くことにした。まずフーリのカフェテラスで、皆でビールを飲んで乾杯。今日の登山の成果とあいまって最高においしいビールだった。

ツムット

←ツムット集落

 そこからは自分だけ、皆と別れ、ツムット(Zmutt)と言う集落へ向かった。そこは7年前行き残して、今度は是非行きたいと思っていたところである。

 ツムットは10軒ほどの小さな集落だが、いかにもアルプスの集落と言う感じの集落だ。静かでいい所だった。

 そこからU字谷のふちを通り、ツェルマットを下に見おろす小道を歩いていく。このように一人でのんびりワンデルングするのも楽しいものだ。

 最後はU字谷の壁から直接ツェルマットへ降りて、ホテルへ戻った。

ツェルマット

上から見たツェルマットの街→

【コースタイム】

  ツェルマット(ヴィンケルマッテン)(845)−−− トロックナーシュテーク(905,1015)−−−
 −− クラインマッターホルン(1030,1100) −−− 小休止(1147,1210) −−−
 −− ブライトホルン(1242,1335) −−− クラインマッターホルン(1440,1510) −−
 −− フーリ(1530,1640) −−− ツムット(1705,1725) −−− ツェルマット(1845)


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