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第9章 さよならツェルマット

◎Good bye!

 7月19日。ツェルマット最後の朝。今朝もマッターホルンのモルゲンロートがきれいにみえたようだったが、昨日の疲れが出て起きれなかった。でもぐっすり眠れた。頭の上にのしかかっていたプレッシャーがウソのように、消えていた。

 朝食を取って、荷物をまとめていると、ヘルンリヒュッテから奥田さん達4名が降りてきた。いろいろ相談した結果、これからグリンデルヴァルトヘ行くことにした。

 5日間お世話になったホテル・ビナーともお別れ。日本語を話せる娘さんもわざわざ呼びだして、さよならを言って、ホテルを出発した。

 駅から荷物をグリンデルヴァルトに送る。このシステムは日本よりずっと気楽に使えて、便利。宅急便より速いのだ。

マッターホルン

ツェルマットよりマッターホルン→

 身軽になった体で、最後のツェルマット散策。胸がしめつけられるようにさみしい気がする。今日もマッターホルンがその姿を隠すことなく見せている。いつも頭上にそびえていたこの巨峰も今日でお別れか。

 ツェルマットは本当にいい街で、限りなく去りがたいけど、いつかは立ち去る時が来る。しかたがない。

 土産を買って列車に乗り込む。列車はガタンと音を出して、走りだす。列車の窓から体を出して、いつまでもマッターホルンを振り返った。マッターホルンは、来た時と変わりなくそびえていた。

◎スイスの旅

 列車はもう何度も通って見慣れた景色の中を、ブリークへ。ブリークからは、ベルン行きのIC(InterCity=都市間急行)に乗る。乗心地のいい列車で、回りの素晴らしい景色とあいまって、最高の列車の旅だ。

 7年前の旅でもこの路線に乗った。その時は途中のカンデルシュテークと言う小さな村で降りて、1泊した。そこで地元の人に連れられて、小さな教会で説教を聞いたものだ。

スピーツにて

←スピーツ古城とツーン湖

 そんなことを思いだしながら車窓を眺めていると、ほどなくスピーツ(Spiez)に到着した。スピーツは、ツーン(Thun)湖のほとりにある小さな街だが、ここでインターラーケン(Interlaken)行きに乗り換える。少し時間があったので、駅の外に出て散策。

 駅前からは、眼下にツーン湖、そしてスピーツの古城が見える。
 「いいとこだなぁ」
 みんなもうそんな言葉しかでない。

グリンデルヴァルトにて

 あたりの家には(特にここに限らずスイスはどこでも)どの家にも花が飾られていて、とりわけ美しさを大事にしているのがわかる。
 「あの花はねぇ、日本で言うと、***って言う花だね。
  あれを育てようと思うと・・・・・・・」
 奥村さんの講釈は続く。会社で園芸博士として有名なだけある。

 そこからインターラーケンへ行き、また登山列車に乗り換えて登っていく。アイガー北壁が頭上にそびえてくると、そこがグリンデルヴァルトである。

◎グリンデルヴァルトにて

グリンデルヴァルト

 グリンデルヴァルトでは、ツェルマットより予約しておいた、ホテル・ユングフラウに荷をおろす。グリンデルヴァルト駅では、ツェルマットより送った荷物がなかなか着かないので、大いに不安になったが、よく探すと何と我々より先に到着していた。

 しばしグリンデルヴァルトの街を散策して土産を物色して、ホテルへ戻り、夕食。今晩は、スイス名物のミートフォンデュを食べた。これがなかなかおいしかった。出発以来ずっと調子の悪かった腹もいつしか良くなっていた。

 食事しながら、今後の計画を練る。結局翌日は、グループを2つに分け、メンヒと、ユングフラウの2つのピークを狙うことになった。自分はユングフラウ組である。


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