ばっくなんばー13
56.許し 「あれは、もう随分前のことじゃ。」 カッサパは、自らの過去を語り始めた。 「貧しいバラモンの家で生まれたわしは、成長するにつれ、家を出て大金持ちのバラモンになることを夢見始めていた。父親は、バラモンは清貧であればいい、といっておったが、わしは納得できなかった。どこの国でも、バラモンは裕福じゃ。威張っておる。わしの父親くらいのものじゃった、正直で誠実なバラモンは・・・。わしはそれがいやで、ある日のこと、家を飛び出したのじゃ。弟たちを置き去りにしてな。 ある日のこと、わしはマガダ国の町外れの村で、火を自由自在に扱う仙人に出会った。その仙人は、その村では聖者と呼ばれ、たいそうな扱いを受けていた。わしは、幼い頃から聡明であったため、一目見てその仙人の扱う火にからくりがあることを見抜いた。そこで、その仙人に取り入ったのだ。仕組みをばらされたくなかったら、弟子にしろ、とな。わしは、表向き弟子であったが、本当はその仙人を操るようになっていた。そうこうするうちに、わし自身も火を扱うようになり、二人で火の神を祀るバラモンになっていた。信者は増えていったよ。それにつれ、お金も貯まっていった。また、数人の弟子もできた。そのものは、今ではわしの側近になっておるがな・・・。 そうこうしているうちに、その仙人は年老いたから辞めたいといいだした。村を出て、苦行林あたりでのんびり暮らそうというのだ。お金もたんまりあるし、どうだ、そうしないか・・・・とね。あるいは、一人で続けるか、一人じゃあ今までどおり儲からんぞ、とも言ってきた。 仕方がないので、わしは苦行林に向かうことに賛同した。実際は、このウルベーラの森のこの地を選んだのだがな。他の修行者がいる苦行林とは、対岸の位置関係にあるし、そちらはもう少しネーランジャラー河の上流にあたる。 ここはよい。森が深く、隠し事をするにはちょうどいい場所じゃった。わしはそう思ったのだ。 そこで、老いた仙人に、この地で火の神を祀ることを提案したんじゃ。で、巨大な火のからくりを作ることにした。金の半分は老いた仙人が握っていたので、その仙人を放り出すわけにはいかなかったのだ。 そうして、あちこちから火が出る仕組みを作った。その一番奥に小さなお堂も建てた。それが魔神殿じゃ。そのころは、単なる神殿であったがな。魔神殿は記念すべき、火の神を祀る最初のお堂だったのじゃ。 わしは嬉しかった。ようやくわしの国ができる、そう思った。ここで好きなように生きるんだ、聖者だ、バラモンだ、という称号を得、敬われ、贅沢ができる・・・・。そう思ったのじゃ。だから、弟たちも呼び寄せた。ここで、三人で協力し合って、聖者になろうと誓ったのじゃ。 しばらくは、老いた仙人も一緒に火の神を祀るというバラモンを演じてもらっていた。しかし、その仙人は押しが甘かったし、そのころには悪いことはしたくないというようになっていた。 仕方がないので、弟たちと共謀して、魔神殿の裏からネーランジャラー河へ滑り落ちてもらったのじゃ。このあたりのあの河は、ワニがたくさんいる。あっという間に、仙人はワニに食われてしまったよ。 それを見られてしまったのじゃ。そもそもはそこから間違ったのじゃ。見たのは、若い女の弟子じゃった。しかし、その女はわしを糾弾はせず、仲間にしろといってきた。嫁になってもいい、ともな。その女は、豊満な肉体を持った若くて魅力的な女だった。わしには異存はなかった。わしはその女を嫁にした。あの魔神殿に住まい、二人で過ごしたのじゃ。 その女は、なかなか悪智慧が働く女だった。亡くなった仙人が貯めた金をもとに、新しい堂を立て、弟子を多く入れ、マガダ国へ宣伝に廻らせた。火を自由自在に操る仙人カッサパ様は何でもお見通しだ、とな。多くのものの前で、火を自由に操るという演技もして見せた。からくりがあるのだから、簡単なものじゃ。弟と初期の弟子たちで、裏方をやってもらった。弟は、今ではそれぞれ独立しているが、初期の弟子たちは、今でもからくりを扱っている。 そのほかにも、その女はいろいろ仕組みを考え出した。中をくりぬいた筒を使って、事前に相談者の相談内容を聞き出しそれを当てるとか、事前に調べ上げておいたことを密かに教えてもらい、さも知らぬような顔をして言い当てたり、相談者の集団の中に仲間をこっそり入れ込んで話を聞きだし、それをわしに伝えるという仕組みを使ったりして、わしは聖者になっていった。 いつの間にか、カッサパ様は火を扱うだけでなく、人の心も見抜いてしまう聖者だ、と奉られるようになった。気持ちよかったのう・・・。わしは聖者になった。もはや、ブッダといってもいいくらいだ。 金も名誉も手に入れた。弟子も増えた。修行者も増えた。多くの修行者や弟子は仕組みを知らない。知っているのは、ほんの一部だ。そんな時、嫁になったあの女が不服を言うようになった。自分も目立ちたいというのだ。自分も聖者として崇められたい、そもそもあんたを聖者にしたのは私だ、私がいろいろ仕組みを考えたからあんたは聖者になれたんじゃないか、だから私も聖者にしろ、とな。 聖者は、わし一人で十分だ。そんな女に聖者面されたらたまらない。そんな女よりも、弟たちを独立させる方が先だ。女なんて好きなようにできる身分になってもいたしな。もはや、その女は無用なものだったのじゃ。 だから、それは無理だといった。女は怒った。全部ばらしてやるとな。今いる弟子たちだけでなく、世間にすべてを話して、お前を糾弾してやる、とな。 わしは焦った。困った。そこで、火の仕組みを利用して、火の代わりに毒の煙を流すことを思いついたのじゃ。あの魔神殿には、そのころ火が灯るような仕組みが施してあったから、それを使ったのじゃ。 わしは、あの女を魔神殿に呼び出し、少し待つようにいった。昔は、二人で仲良くすごした思い出の場所じゃ。そこでいろいろな夢を語り合った場所じゃ。いろいろな悪巧みを考案した場所でもある。だからであろう、女は素直に魔神殿で待っていた。わしは、外から鍵をし、出られないようにしてから、油を流す筒に毒ガスを流し込んだ。 女は苦しんで死んでいったのじゃろう。翌朝、神殿の扉を開けると、全身をかきむしった哀れな姿で死んでいた。両手の爪が全部はがれていたくらいじゃった。恐ろしいことをした。死体は、仙人と同じように神殿の裏から河へ落とした。 それからじゃ、あの神殿が魔神殿になったのは・・・・。 ある日、弟子の一人が、神殿を掃除していると、女の声が聞こえてきた。振り返ると、大きな蛇がいたそうじゃ。その蛇は笑いながら、毒の煙を吐き、わしに伝えるようにいったそうじゃ。 『ここを潰されたくなかったら、七日間に一人、人間を連れてこい。ここに閉じ込めるのだ。』 とな。それからじゃ、わしが罪を重ねていったのは・・・・。」 そこまで話を聞いたときに、弟子の一人が聞いてきた。 「では、たまに修行中に死んだとか、修行中にいなくなったとかいっていた者は、魔神殿に入れられていたんですか?。」 「旅のものを泊めたこともありましたよね。朝早くに出発したとかいってましたが・・・・、それも、魔神殿の生贄ですか?。」 「そういえば、問答を挑んできたり、神通力比べを挑んできたものも魔神殿に泊めました。初めからわかっていて泊めたのですね?。」 「そうじゃ。その通りじゃ。問答を挑んできたものや神通力比べを挑んできたものがあったときは、助かったもんじゃ。まずは、魔神殿に一晩泊まることが条件じゃ、といえばすむことだったからな。有名になったおかげで、わしに挑戦してくるものが増えたことは、よかったこととも言える。」 「そうだったのか・・・・。ひどい、ひどすぎる。よくも今まで・・・・。」 「そうじゃ、わしは罪深きものじゃ。聖者でも仙人でもなんでもない。この通り、反省しておる。好きにするがいい。どんな罰でも受け入れよう。魔神殿は、ここにおられる世尊によって神殿に戻していただけた。わしは思い残すことはない。すべての罪は、わし一人によるものだ。なにもかも、わしの欲が生んだことじゃ。欲は恐ろしい・・・・。世尊が言われた通りじゃ。欲の炎を消さなかったために、こんなことになってしまった。 さぁ、わしは皆のものを騙し続けた偽の仙人じゃ。火なんて操れない、神通力などない、人を殺めた罪深き者じゃ。できれば、わしも世尊に導かれたいと思ったが、こうして振り返ってみれば、そんな資格はわしにはない。やはり、わしは世尊の弟子になどなれない者なのじゃ・・・。」 そういうと、カッサパはうなだれて黙りこくったのであった。 何も知らなかった弟子たちは、初めはカッサパの告白を聞いて怒っていたが、カッサパの深く反省している姿を見て何もいえなくなってしまった。ただ、カッサパを見つめるだけであった。 「どうしたのじゃ、何もせぬのか。殴るなり、蹴るなり、好きにしていいのじゃ。なんなら、ネーランジャラー河へ落としてくれてもいい。そのほうがすっきりしていいかもしれぬ。さぁ、どうした。みんなわしに誑かされていたんじゃぞ。」 カッサパは、そう言ったが、誰も答えようとはしなかった。 「みんな、どうしていいのかわからないんですよ。」 そう答えたのは、コーンダンニャであった。 「あなたの姿を見て、心から反省している姿を見て、何もいえなくなってしまったのです。」 「そうじゃったか・・・・。みんな、ありがとう、すまなかった。あなたたちは、どうか、世尊についていって、修行をされるがいい。本当の修行ができるであろうから。」 「カッサパ様は、どうされるのですか?。」 先程まで怒っていた弟子の一人が尋ねた。 「わしはもうカッサパ様ではない。単なるジジイじゃ。わしは・・・・、そうじゃなぁ、生まれ故郷にでも帰るかのう・・・。」 カッサパが、弱々しくそういったときである。仏陀の声が響いた。 「それはいけません。それは逃げです。」 その声は厳しかった。 「な、なんと・・・?。」 「あなたは故郷へ帰るべきではない。故郷へ帰って余生を過ごすなどという身分は許されません。そういっているのです。」 その言葉に、カッサパは驚いた顔をした。が、しかし、すぐに納得した顔になっていった。 「許されないですか・・・・。そうですな。そうでしょう。・・・・では、わしはいったいどうすればいいのでしょうか?。お願いです、世尊、お教えくだされ・・・・。」 「簡単なことです。すぐさまここで出家して、私の弟子となり、あなたが死に追いやった者たちの魂を供養し続けるのです。あなた自身も修行をして、あなたの罪を償っていくのです。それ以外、あなたのとるべき道はありません。」 「そ、それでよろしいのですか?。」 「よいもなにも、それはむしろ苦難の道でしょう。殴られたり、蹴られたりするよりも辛い日々が待っているのですよ。罪を背負い、生き続けるということは、大変辛いことなのですからね。」 仏陀の言葉に、カッサパに騙されて怒っていた弟子たちは、肯いていたのであった。 「確かに世尊のおっしゃるとおりだ。このまま単なるじいさんになって、故郷へ帰られたらたまらない。それは逃げたようなものだからな。」 「あぁ、そうだ。むしろ、生きて反省し続けてもらったほうがいい。」 「そういうことなら、我々とずぅっと一緒の方がいいんじゃないか。我々の顔を見るたびに自分の罪を思い出すからね。」 「そうだ。ならば、我々と一緒に世尊の弟子になるしかないでしょう。」 「どうだね、カッサパよ、みなはあなたが一緒に私の弟子になることを望んでいるが・・・・。」 「みんな、世尊、ありがとうございます。こんな、こんな罪深いものを救ってくださった・・・・。なんということだ。わしなど殺されてもおかしくないものなのに・・・・・。どれほど感謝しても足りないくらいじゃ・・・・。この恩は、必ずや修行して返します。」 「そうだ、それでいいのだよ、カッサパよ。汝ら来たれ、我とともに覚りへの道を歩もうではないか。」 こうして、カッサパとその500人の弟子たちは、仏陀の弟子になったのである。 「世尊、たった今出家を許された身分で、このようなことをお願いするのはおこがましいのですが・・・・。」 「なんなりといいなさい。」 「願わくば、我が弟たちも救っていただきたいのですが・・・・。」 「初めからそのつもりでした。これから向かおうと思っています。」 「ありがとうございます。あのものたちは、わし以上にひねくれております。できますれば、まずは私に弟たちに話をさせてください。それはいけませんか?。」 「いや、よいでしょう。カッサパよ、汝から弟たちに話すがよい。」 「ありがとうございます。出家を許してくださった恩に報いるためにも、弟たちの目を覚まさせましょう。」 「それがよい。では、出発しようか。」 そのとき、また別の声が上がった。 「ちょっとお聞きしたいのですが。」 「なんだね?。」 「なぜ、火が消えたのですか?。からくりを扱っていたものは、故障とか言ってましたが、それらしい故障は見当たらないようです。なぜ火が急に消えたのか、不思議でならないと・・・・。」 「あぁ、そのことですか。それは、火の神アグニが、火を消したのですよ。私に敬意を払って・・・・。」 すると、その言葉を待っていたかのように、上空からしわがれた声が聞こえたのであった。 「世尊よ、この度はご迷惑をおかけいたしました。我は天界へと戻ります。どうか世尊もお体を大切にしてくだされ。また、どうか天界にも法をお説きに来て下さるようお願いいたします。」 その声は、そこにいたすべての耳に聞こえたのであった。 「今のが火の神アグニの声なのか・・・。世尊には火の神ですら従うのか・・・・。」 そこに集った者たちは、しばらく上空を見上げていたのだった。 「さぁ、次の地へ出発しましょう。」 仏陀の声に、皆は立ち上がった・・・・。 57.弟たち 「お待ちくだされ。」 そこにいた皆のものが、「さぁ、出発だ」と立ち上がったのに、カッサパは、待ったをかけた。 「今度はどうしたのだ、カッサパさん。」 バッパがため息混じりにいった。 「いや、すまぬ・・・。折角、皆が立ち上がったところ申し訳ないのですが、我々はまだ火の神に仕える姿をしております。どうか、この場で、わしの弟子だったものを出家させてはもらえないでしょうか?。世尊のお弟子様たちのように、髪を剃り、袈裟を身につけるわけには参りませぬか?。世尊よ、この願いを聞き届けてはいただけないでしょうか。」 「それはいいことです。そうですね、ここは広い。この場を借りて、私の弟子になりたいと願うものは、ここで出家させましょう。では、準備しなさい。」 仏陀がそういうと、コーンダンニャたちは返事をし、剃刀と縫い針を用意した。剃刀は髪を落とすために使い、縫い針は袈裟を縫うために使うものだった。 早速、仏陀の前に列ができた。カッサパの弟子だったものたちは誰もが出家を望み、逃げ出すものは一人もいなかった。 清浄なる水を降り注がれたあと、仏陀がひとりずつに質問をした。 「汝、仏陀に従い、仏陀の教えに従い、僧に従うか。」 「はい、従います。」 「汝、殺生をせぬこと、盗みをせぬこと、邪淫をせぬこと、ウソをつかぬこと、ふざけた言葉を使わぬこと、悪口を言わぬこと、二枚舌を使わぬこと、欲望の心を起こさぬこと、不当な怒り・妬み・羨み・怨みの心を起こさぬこと、愚かな心を起こさぬこと、これら十の善き行いをよく保つことができるか。」 「はい、よく保ちます」 「汝、今よりわが弟子となる。教えに従い、よく励むがよい。」 こうして、仏陀の弟子と認められたものは、髪を剃り、袈裟をいただくのであった。 カッサパの弟子たちの髪の毛と火の神に仕えていたときの衣装は、一箇所に集められた。また、同時に火の神を祀る道具類なども集められた。 「世尊、これをいかがいたしましょうか?。」 アッサジが仏陀に尋ねた。 「そうですね、ネーランジャラー河に流しましょう。それにしても、今日はすっかり遅くなってしまいました。もう一晩、ここで泊まることにしましょう。」 カッサパの弟子全員の出家の儀式を済ませたので、もうすっかり夕暮れになってしまっていたのだった。仏陀の弟子たちは、切り落とされた髪の毛と火の神に仕えるものの衣装や道具類をすべて河に流したのであった。そして、もう一泊、カッサパの修行場で休むこととなった。 彼らが流した髪の毛や衣装類は、ネーランジャラー河の流れに乗って、河の中流で火の神を祀っていたナディーカッサパのもとに流れ着いていたのだった。 翌日の早朝のことだった。 「ナディー様、こんなものが河に流れていました。」 「なんじゃ、こんな朝早くに・・・。」 まだ眠っていたナディーカッサパのもとに届けられたのは、髪の毛や火の神を祀るときの衣装、道具類であった。 「な、なんと、これは火の神を祀るための衣装や道具じゃないか。こんなものがなぜ・・・・。こ、これは、兄上の修行地にあったものではないか・・・。まさか、そんなはずは・・・。あ、兄が火の神の道具や衣装を捨てたのか?。いやいや、そんなはずはない。おい、本当にこれが流れてきたのか?。」 「は、はい、これはほんの一部でして、河には大量に流れています。」 「いったいなにがあったんじゃ・・・。兄のところで何があったのじゃ・・・・。おい、誰でもいい、今すぐ兄のところに行き、様子を見て来るんじゃ。」 ナディーカッサパは、数人の弟子に兄であるカッサパのもとへと向かわせた。 一方、仏陀たちは、翌朝、カッサパたちが貯えていた食糧を皆で分け、朝食としていた。そして、いよいよ、仏陀と550人あまりの弟子たちは、カッサパの森を旅立つことになったのである。 「ぼやぼやしていると昼になってしまいます。そろそろ旅立つことにしましょう。」 コーンダンニャの言葉に、550人程の弟子たちが立ち上がり、仏陀を先頭に歩き始めたのである。目指すは、その地より下流、カッサパの弟たちのところであった。 「世尊よ、私が案内をいたします。」 カッサパはそういうと、世尊のすぐ後ろにつき従った。その後にコーンダンニャたち初めの五人の弟子、うしろにヤシャら50人ほどの弟子、そしてカッサパの弟子500人が従った。 その姿を遠くで見たものがいた。様子を見に来ていたナディーカッサパの弟子たちだった。 「こ、これは大変だ。えらいことになった。早速、報告に戻ろう。」 「あぁ、そうするほうがいいようだ。きっと、あのものたちはナディー様の所へ行こうとしているに違いない。急ごう。」 その者たちは、走り出した。走りながら、彼らは話し合っていた。 「それにしても、あの先頭のものは誰だ?。光り輝いているように見えるが・・・。」 「そんなことはどうでもいい、問題はカッサパ様だ。髪を剃ってはいたが、あの光っているものの後ろにいたのはカッサパ様に間違いない。いったいどうしたのいうのだ、カッサパ様ともあろうお方が、髪を剃るなんて・・・。」 「くっそ、急いで戻らねば。神通力が使えないのがもどかしい・・・・。」 彼らは懸命にナディーカッサパの元へ戻っていたのだった。 「ナ、ナディー様、ハァハァ・・・、た、大変です。大変です。」 大慌てで戻ってきた弟子たちは、大声でナディーカッサパに報告した。 「どうしたのじゃ、そんなに慌てて・・・。ちょうどよい、今朝方、弟のガヤーも火の神に仕える衣装や道具の一部を見つけたらしく、ここへ飛んできたところじゃ。」 一番弟のガヤーも、ネーランジャラー河を流れる大量の髪の毛や火の神に仕えるための衣装や道具を見つけ、兄であるカッサパの様子が心配になり、ナディーカッサパのもとへ駆けつけていたのだった。 「さぁ、どうしたというのだ。いったい兄上のところに何があったのだ?。」 「な、何があったかは定かではありませんが、カッサパ様のお弟子さんたちはすべての者が髪を剃っていました。そして、今、こちらに向かいつつあります。」 「全員がか?。」 「兄と弟子たちがか?。」 二人のカッサパが同時に質問した。 「はい、カッサパ様とお弟子さんたちです。しかし、カッサパ様を導いているのは、私たちが全く知らない者です。たぶん、その者の弟子も混じっていると思います。」 「修行者か?。その先頭のものは、修行者なのか?。」 「おそらくは・・・。ただ・・・。」 「ただ、なんじゃ?。」 「はい、普通の修行者とは異なっているように見えました。」 「どういう意味だ?。」 「はぁ、その先頭にいた修行者は、なぜか光って見えたのです。光り輝いていたように見えたのです。」 「朝日が反射していたのではないのか?。」 「違います。反射ではなく、その者が自ら光り輝いているようでした。」 「まさか、そんなことが・・・・。」 「いや、そんなことはどうでもいい。それよりも、兄がそんな修行者に付き従っていること自体が問題じゃ。」 「そうだ兄さん。その通りだ。これは確かめねば・・・・。いったい何があったのか・・・。」 「そうじゃ、確かめねばならん。・・・こっちに向かっているといったな。さて、どうしたものじゃのう・・・。ここで待つか、それとも・・・。」 「迎え撃つか・・・。兄さん、ここは迎え出て、出鼻をくじきましょう。」 「ふむ、それもいい案じゃが、ここで待って兄上だけを中に入れるという手もある。」 「それは面倒だ、兄さん。いっそのこと、こちらから出向いて・・・・そうだ、ガヤーシーサ山に追い込むのはどうかな?。」 「そこは、我ら三兄弟の最終聖地とも言うべきところじゃぞ。・・・・ふむ、あそこなら、兄上も火の神を思い出してくれるかもしれん。髪を剃ったことを後悔してくれるかもしれんのう・・・。」 「そうだ、それがいい。兄上がいた忌まわしいウルベーラーの森よりも、穢れなき火の神の聖地ガヤーシーサ山ならば、兄上もそんなどこの者ともわからぬような修行者に付き従うことなどないだろう。」 「眼を覚まさねば、兄上の目を覚まさねば・・・。よし、ガヤーよ、お前の弟子たちもガヤーシーサに向かわせよ。我らが弟子たちは、先にガヤーシーサに向かっておる。」 「わかったよ。じゃあ、足の速い弟子を貸してくれ。その者に、すぐに全員ガヤーシーサに来るように伝えてもらおう。」 こうして、ナディーカッサパとガヤーカッサパ、そしてその弟子たちは、彼らカッサパ三兄弟の最大聖地であるガヤーシサ山で兄であるカッサパたちを従えた修行者・・・仏陀・・・を迎えることにしたのであった。その山は、ウルベーラーの森とナディーのいた修行場所とのほぼ中間をややそれた場所にあった。山といっても、それほど高くなく、こんもりとした山で、象が座ったような形をした山だった。その山の前は大きな広場があった。 「いいか、急ぎガヤーシーサに行くのじゃ。」 ナディーカッサパの号令に、彼の300人の弟子は一斉に駆け出したのだった。駆け出していく弟子たちに向かってナディーカッサパが叫んだ。 「よいか、まずお前たちでガヤーシーサ山を押さえるのじゃ。そして、兄たちの集団に出会ったら、ガヤーシーサ山の広場に引き入れ、お前たちで取り囲め。なに、兄がいるから抵抗はしないじゃろう。で、わしと弟のガヤーが行くまで待たせるんじゃ。よいな!。」 その声に 「承知いたしました!。」 と答えながら、弟子たちは走っていったのだった。 仏陀とその弟子たちは、あわてず急がず、かといってゆっくり過ぎることもなく、静々と歩いていた。 「もうそろそろナディーのところまでの中間ほどになります。左手前方の方に山があります。小さな山でガヤーシーサ山といいます。象が座ったような形をしております。そこが、私たち火の神を祀る者の最も重要な聖地です。」 カッサパは、仏陀に説明をした。 「そうですか、あなたたち三兄弟の聖地、他のものが決して入ってはならぬ地であるのですね?。」 「はい、そうです。しかし、今となってはそんなことはどうでもいいことです。聖地といっても何もない山です。聖地聖地と謳っておけば、弟子たちがありがたがる・・・・ただそれだけのことです。」 「しかし、居心地は善い地であるのでしょう?。」 「はい、世尊にはわかりますか?。確かに、あの山は空気が違っておりました。ですから、我らの聖地として、他者の立ち入りを禁じたのです。」 「どうやら、その聖地に我々を招くようですね。」 仏陀の言葉の意味が通じなかったのか、カッサパは、 「は?、それはどういうことですか?。」 と不思議そうな顔をした。 「今にわかります。」 そういうと仏陀は振り返って弟子たちに言った。 「これから、私たちに何があっても抵抗はしないようにしなさい。これより会う者に静かに従うことにする。あなたたちは、決してあわてず、騒がず、心静かにしていなさい。」 その言葉に、弟子たちは穏やかに 「はい、わかりました。」 と答えたのだった。弟子たちの反応を見て、仏陀は微笑み、 「さて、お出迎えがあるようです。それに従いましょうか。」 とカッサパに告げたのだった。 58.神通力 「待たれよ、そこの者たち、ここで止まっていただこう。」 仏陀たち一行の前に大勢の者が立ちふさがった。その者たちは髪を法螺貝のように結い上げ、火の神に仕える衣を着ていた。 「お、お前たちは・・・・ナディーの弟子たちじゃな。なぜ・・・・そうか、我々を待ち伏せていたのか。」 「ウルベーラカッサパ様、そのお姿は、いったいどうされたのですか、カッサパ様ともあろうお方が・・・・嘆かわしい。大方、この得体の知れぬ修行者に騙されているのでしょう。どうか目を覚ましてください。」 「ふん、なにをいうか。目を覚ますのはお前たちのほうじゃ。まあよい、お前たちには用はない、どけ。弟はどこじゃ。ここには来ておらんのか。いるのなら弟を出せ、いないのならここを通せ。」 「まあ、そうおっしゃらずに、どうぞガヤーシーサ山にお越しください。あなたもよくご存知の、我らが聖地ガヤーシーサ山へ、さぁどうぞ。」 そういわれてカッサパは、仏陀の言葉を思い出した。 (そうだ、世尊は争わずに相手の言葉に従えとおっしゃった。そうか、このことだったのか。) 「わかった。では、お前たちの言葉に従おう。世尊、それでよろしいのですね?。」 「カッサパよ、そうしなさい。この者たちの言葉に従うがよい。」 その言葉に、ナディーカッサパの弟子たちは、ニヤニヤ笑いながら 「ほう、覚悟はできているようですな。なに、獲って食おうなんてことはしませんからご安心ください。さぁ、こちらです、どうぞお進みください。あ、カッサパ様はよくご存知でしたね、ふっふっふ。」 と、仏陀たち一行を彼ら火の神を祀る者たちの聖地であるガヤーシーサ山に導いたのであった。 ガヤーシーサ山はこんもりとした小さな山だった。緩やかな登り道をしばらく進んでいくと、やがて頂上に至った。頂上は平に広がっており、北側に大きな岩・・・・それはまるで象の頭のような形をしてた・・・・があった。その前面に広く平らな地あったのだ。その広場を囲むように周囲にはゴツゴツとした岩肌が見えていた。 「この地は、あの北側の象の頭のような岩を要として、ぐるりと岩で囲まれています。ちょうどこの広場を取り囲んでいるような形ですな。窪地のようになっているのです。周囲の岩壁には、自然にあいた穴がいくつもあって、修行をするときは、その穴で寝起きします。我ら火を祀る者たちは、年に一度はこの地で泊り込みで修行します。あの象の頭のような岩には水が流れている場所もあります。生活に困ることはありません。空気もいいし、修行にはもってこいの場所です。」 カッサパが仏陀に説明をした。 「なるほど、この地は勝れています。修行にはよい地でしょう。あなたたちが聖地に選んだのも当然です。」 仏陀は、その地に流れている清々しい空気を感じ取っていたのだった。しかし、清々しい空気に浸る間もなく、 「さぁ、もっと前に進んでもらおう、止まるんじゃない。奥へ進むんだ。」 という声に押され、仏陀たち一向は、広場の真ん中あたりまで押しやられたのだった。 「さて、そこに座ってもらおう。」 仏陀たちは、広場の真ん中で座らされた。仏陀から、抵抗しないようにと言われていたので、誰も何の抵抗もすることなく、不平も言うことなく、皆静かにその場に結跏趺坐したのであった。その周りをナディーの弟子たちが取り囲んだ。その数、300名ほどであった。だれしも皆、手には武器を持っていたのだった。 「ふん、気持ちの悪いヤツラだ。妙に素直に従いすぎる。一言も文句を言わない。何を考えているんだか・・・。」 「我らに取り囲まれているんで、あきらめたんじゃないのか。ここを突破して逃げることなんてできないだろう。この人数だし、こうして武器を持って取り囲んでいるのだからな。ここを逃げ出すには神通力を使う以外にないが、どうせ神通力も使えないだろうしな。あはははは。」 ナディーカッサパの弟子たちは、大声で笑っていた。そこへナディーカッサパとガヤーカッサパが現れた。 「鎮まれ、静かにせよ。・・・・・兄さん、いったいこれはどういうことなのだ。その惨めな姿はいったいどうしたことなのだ。ちゃんと説明してもらおうじゃないか。」 ナディーとガヤーは、兄であるカッサパに駆け寄って尋ねたのだった。 「さぁ、兄さん、こっちに来てもらおう。で、ちゃんと話をしてくれ。兄さんは、騙されているんだろ。何か悪い術にかかっているんだ、そうだね。」 「何を言うか、わしは術などにはかかっていない。正常じゃ。弟よ、よく聞け。このお方は仏陀じゃ。あの伝説の聖者、仏陀様じゃ。究極の覚りを得られた方なんじゃ。お前たちこそ、このお方に帰依するがいい。」 「何をくだらないことを・・・。仏陀なんて存在するはずがない。それに我らの神通力に敵う者などいないのだ。我らこそが、聖者なんですよ。お忘れですか、兄さん。聖者は我ら以外には必要ないのですよ。日頃、兄さんもそういっていたではないですか。」 「わしはその間違いに気付いたんじゃ。その驕り高ぶった心が今まで多くの間違いを起こしてきたもとじゃ。自らの欲がわしの目を曇らせていたのじゃ。仏陀・・・世尊は、そのことをお見通しじゃった。わしらが行なってきた悪行をすべてお見通しじゃった。それに、あの魔神殿の魔物をも救済された方じゃ。お前らに、そんなことができるか?。世尊は本物じゃ。わしらのように偽の聖者ではないのじゃ。目を覚ませ、弟たちよ。」 「何を言うのか・・・・。目を覚ますのは兄さん、あなたですよ。」 「まあいいじゃないですか、ナディー兄さん。間もなく私の弟子だちも到着するでしょう。そうすれば・・・この者たちも納得するでしょう、どちらが本物の聖者かね。」 「ガヤー、何をたくらんでおるのじゃ。世尊の前には何のからくりも通じんぞ。すべて見抜かれておる。」 「いいんですよ、兄さん。黙って待っていてください。兄さんにかけられた術が、そんなに簡単に解けるとは思っていませんでしたからね。」 ナディーとガヤーは、ニヤリとして 「あなたたち、この場でしばらく待っていなさい。そのまま動かずに。逃げようなんて思うなよ。」 というと、象の頭の岩の裏側へと消えたのだった。 「あの辺りには、大きな岩穴があるのです。そこにはいろいろな仕掛けのもとがあって・・・。」 「カッサパよ、あなたの修行地のようになっているのですね。」 「そうです。弟たちは何もわかっていない。くだらん仕掛けで何とかなると思っている。哀れなことじゃ・・・・。」 「まあ、好きなようにやらせてみればいいでしょう。話はそれからでもできましょう。」 仏陀は、そういうと静かに瞑想に入ったのであった。その姿をみて、弟子たちも同じように瞑想を始めたのであった。 しばらくして 「パン、パパーン!。」 と、突然大きな音が鳴った。その音とともに、広場を取り囲んだ岩のそこかしこから炎が上がった。 「ボウワ〜!。」 一際大きな炎の音がしたかと思うと、象の頭の岩から大きな炎があがり始めた。 「おぉぉ、我ら火の神よ。アグニ神よ・・・・。」 一斉に祈りの声が響いた。炎と火の神に仕える弟子たちの興奮のせいで、広場の温度は急激に上昇した。 「どうですかな、驚かれましたか?。」 大きな声と共に、ナディーカッサパとガヤーカッサパが現れた。がしかし、仏陀や仏陀の弟子たちは、誰一人驚いてはいなかった。ただひたすら静かに瞑想をしている仏陀たちを見て、逆に彼らが驚いてしまった。 「な、なんだコイツラ。鈍いのか?。耳が遠いのか?。この熱気が感じられないのか?。・・・・まさか、寝てるのか?。」 「この暑さの中で、平気な顔をして瞑想をしてやがる。・・・・おい、目を覚ませ、起きろ!。」 ガヤーが叫んだ。 「私たちは起きています。目も覚めています。いつでも真実の目を開けていますよ。目覚めていないのは、あなたたちのほう・・・・ではないですかな?。」 仏陀が瞑想をしたまま静かに言った。よく見れば、なんと仏陀たちは目を閉じてはいなかったのだ。かといって大きく目を見開いているわけではない。あいているような、あいていないような、そんな目をしていたのだ。 「うぅぅむ、クソ生意気な・・・・。兄さん、目を覚ましてくれ!。」 「ナディーよ、ガヤーよ、わしも目覚めている。目を覚ますのはお前らのほうじゃ。お前たちのせっかくの仕掛けも、仏陀様や仏陀のお弟子さんたちには通用しない。そんな仕掛けはとうにお見通しじゃよ。」 「クソ!どうなっているんだ。どいつもこいつも、静かに結跏趺坐したままだ。コイツラ・・・・、何もできないくせに。ただ、瞑想しかできないくせに、いったいなんなんだ!。何ものなのだ、お前らは!。」 ナディーが叫んだ。彼は、平気な顔をして瞑想をしている仏陀たちに恐怖を感じ始めていたのだった。 「お、お前らに、我らのような神通力があるのか?。火を自由に操ることができるのか?。あははは、そんなことはできまい。お前たちにできるはずがないんだ!。」 「ナディー、先程からいっているではないか、この方たちは炎のからくりなど、とうにお見通しなんじゃ。仏陀様は・・・。」 そのときであった。仏陀が静かに、しかし重々しくも厳しい口調で言った。 「もうよい、カッサパ。この者たちは、私の神通力が見たいのであろう。そんなに見たいのなら、神通力をお見せしようではないか。」 そういうと、突然、仏陀は結跏趺坐のまま、象の頭の岩を背にし、空中に浮き上がった。そして、さっと右手を上げ、手のひらを皆の方に見せると、象の頭の岩や周りで燃え盛っていた炎は、瞬時に消えたのだった。 「あっ、どうなっているんだ。浮いているぞ!。」 「き、消えた!。炎が消えた。なぜだ!。」 ナディーやガヤーを始め、その場にいた彼らの弟子たちは大いに驚き、仏陀を凝視したのだった。 仏陀は、そのまま象の頭の岩に座った。そして、見つめられないくらい光り輝いた。 「ま、まぶしい・・・。」 「まぶしいぞ、目があけられん・・・。」 次の瞬間、光がやむと同時に仏陀の姿は消えていた。 「き、消えた。今度はあの修行者が消えた!。」 多くの者たちがざわざわと騒いでいた。すると、突然象の頭の岩の上で噴水が溢れた。その噴水の中から蓮の花が一本するすると伸び、大きなきれいな花を咲かせたのだ。その蓮の花の上には仏陀が結跏趺坐をしていたのだった。 誰も一言も発することはできなった。誰もが口をぽかんとあけたまま、蓮華の上の仏陀を見上げていた。 「こんな神通力など、どうでもよいことです。大事なのは、神通力を使えるかどうかではありません。覚りへの道の方が大事なのです。私は、その道を説き明かす者です。覚りへの道を説くものです。しかし、あなたたちにその大事な話を聞く準備ができていません。なので、つまらない神通力をお見せしたのです。さて、私の話を聞く準備はできましたか?。」 そういうと、いつの間にか仏陀は蓮華の上には座っていないで、象の頭の岩の上に座っていたのだった・・・・。 仏陀の言葉に、仏陀一行を取り囲んでいたナディーの弟子たちは、一斉に武器を捨てその場にひれ伏し、両手両膝額を地に付けたのだった。また、周りの岩などで炎の仕掛けを行なっていたガヤーの弟子たちも、あわてて岩を乗り越えナディーの弟子たちと同様、両手両膝額を地に付け、ひれ伏したのであった。 ナディーとガヤーは、脱力したように座り込んでいた。まるで、気絶しているかのようであった。 「わかったか、ナディー・ガヤーよ。このお方は伝説の聖者、仏陀様なのじゃ。この世に本物の仏陀様が現れたのじゃ。お前らも、よく話を聞くがよい。」 カッサパにいわれ、ようやくナディーとガヤーは、その場で座りなおした。 「か、数々の無礼をお許しください。私たちが間違っていたようです。」 そういって、彼らは両手両膝額を地に付けたのであった。 「もうよいでしょう。私の話を聞く心の準備はできたようですから。」 そういうと、仏陀は静かに瞑想に入ったのだった。 つづく・・・。 |