Drive AKIRA SIDE

Drive 6−2


「…虹の橋…」

「行くだろ?キミも。」

「ああ…もちろん。」


ほんの数分前まで、ボクの心をじりじりと焦げつかせていた思いは、 彼の声を聞いた瞬間どこかへと霧散してしまったようだ。
秘かに胸の奥深くで一つだけ息をつく。 これは安堵なのか何なのか。
ボクらがここへ来るまでの歳月と拘わりは、けっして短くも平坦でもなかった。
むしろ起伏は多すぎたほどだ。
失望や焦燥。収められない苛立ちに苛まれた日々…
落ち着いて安定した関係を保てるようになった今を、ボクは素直に嬉しいと思っている。


だから…


そういう応えを当然の事と思っていたボクは、頷いたあとの進藤の表情に困惑してしまったのだ。



「進藤?」

「…………」

「どうかしたのか?」



さっきまでとは違う顔をしている。……ああ…と、思う。
この表情も、この態度にも覚えがある。いつでも忘れた頃に不意に見せられる。
何かとても言いた気で、それなのに話すつもりはなく、隠す事さえもしない。


時々であっても、彼が見せるそういう掴みようのない態度は、ボクの神経に酷く障る。 それはボクの側に、対応の仕様がないからだ。
彼の方から一方的にされるコレは…


苛立たしい。


ボクだってこんな事に慣れているわけじゃない。
そうされる事に平気でいるわけではないのだ。


やっと納めた物を起こさないで欲しい…… どうしたところで手がだせない物ならば、それを匂わせたりしないで欲しいのに。
進藤はボクの胸の内に対して、いつも呆れるほど興味を持たない。
そんな事は必要ないとでも思っているのだろう。 だからこれもまたそうなのだと…

そんな風に、腹を立てかけていたら……



「…オレを置いて…」



微かすぎて聞き取れないほどの……
掠れるような声で……



「オレより先に……」

「 ? 」

「……オレの前からいなくなったり……しないでくれ」




咄嗟には理解できなかった。




いなくなる…

キミの前から?

誰に言っているんだ…

それはボクに対して……?




キミと進む道。それは終わりもなく、遥かで長く遠い道だ。

共に歩むのはキミしかいないと、ボクは自分の目で見極めそう確信したのだ。
キミがボクに決意を告げに来たあの日から、今日ここへ至るまでの歳月は、ボクの決意をより一層強固なものにしていった。
今は確かなものとして、お互いの存在を認めあってもいる。

ボク達はお互いに必要不可欠なものになっていたし、 自らを常に高めて進んでいけば、この関係が揺らぐこともない。











それなのに────────────








こんな事を直接口に出されたのは初めてだった。









Drive.6-2
2003.05.26.up
Sentence Sayumi-Watayuki