ボクが自宅へと帰り着いた時、既に月は中天の位置にまで上っていた。
帰りに少々寄り道をしたので、予定を過ぎ深夜近くの帰宅になった。
夜空の月は高みから静かにボクらを見ている。
小さなボクらの胸の内など見透かすかのように、睥睨している。
今日の事を思い返してみるのだが、自分の中では整理がつかない事が幾つもある。
情報が多すぎて、区別が出来ないでいるのだ。
それでも、何かが動いた気がする。変化はあった。謎が一つ減って、新しい謎も増えた。そんな感じだ。
突き詰めても答えの出ないもの、そういうものには長期戦で臨もうと、
これに関してはそうすべきだと、ボクはそういう思いを一層強くした。
就寝間際に進藤からメールが来た。
車の中で随分話しもしたし、明日また棋院で顔を合わせるのにと思うのだが、
妙な絵文字の並ぶたわいのない文面を見ていたら不思議と和んでしまった。
本の事もあったので、簡潔な内容ですぐに返信をしておいた。
海岸で見た日没はとても美しかった。ああいうものをゆっくりと見たのはいつ以来だろう。
そういえば黄昏時の事を逢魔が時とも言うのだった。
光が斜めに差しこんで、物の輪郭がわかりにくい。
見え方が曖昧になり思わず眼を眇めてしまう。そんな時は何かと出会っていたとしても、すぐには気づかない。
あの薄暮の中でボクは何かと出会ったのだろうか。
あったとすれば、それまで知らなかった進藤の内面とすれ違った程度のものなのだろう。
彼はそうそう理解出来るような人ではないと、身にしみているから。
考えても答えの出ないもの、確認できないものは無理に追求しないと決めた。
霧が晴れるようにクリアになる日が何時か来るというのなら、それはその時に受け止めよう。
とりとめもなく考えているうちに、瞼がとても重くなる。もう眠ろう。
夢はモノクロームであったり、鮮やかであったりする。
眠りの中で見る夢も、追い求める夢も。
今夜見る夢は何色だろうか。
Drive 9 Last chapter
2003.05.26.up
Sentence Sayumi-Watayuki
Drive END
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