オバチャリダ―北の大地を行く(1)

1997年8月16日 1日目)

 
いよいよ念願の北海道自転車旅行。 主人は「ヤ―ダ!」と言うので、甥のジョージ(中2)を連れて行くことにしました。 前夜のうちに、前輪,後輪ともタイヤの空気を抜いて袋に入れた自転車とキャンプ道具やなにやら大荷物と共に弟(ジョージのパパ)に車で羽田まで送ってもらい、無事JASで新千歳空港に到着。

タイヤの空気を入れて、組み立てて、後に荷物を乗せるキャリアを取り付けて等など、練習したのに手間取って時間がかかってしまった。 やーっとの思いで10:45、バス係りのオジサンの「気をつけてね―」に見送られて出発。 あまりの重さに始めはヨロヨロと歩道を空港出口まで歩きました。 そこから自転車にまたがる。こいでみると重さはあまり気になりません。かえって安定した感じ。
さあ、400km先の宗谷岬まで頑張ろう! ・・と思ったら道は自然にショッピングセンターの方に入ってしまった。 車がビュンビュン通る所を渡ってなんとか国道36に出る。 千歳で右折して国道337へ入る。もうこの辺から景色は北海道!してる。日差しは強いけれど風はさわやか、 「気持ちいいね―」と2人で言い合いながら走る。旅行中何度この言葉を言い合ったことか・・・
「サーモンパーク」の近くにラーメン屋さんがありました。 ジョージが「北海道に行ったらラーメン、アイスクリーム!」と叫んでいたので、決まり。ここで2人とも「水のみ星人」に変身。
お水のおいしかったこと! ラーメンのおいしかったこと!! 

「今日はどこまで行けるかしら、岩見沢まで行けるといいね」

さあ出発。 走っていると、ライダー、チャリダーからピースサインをもらう。 追い越していく車から 「イエーイ、がんばって!」と声援をもらう。こんなことがすごく嬉しく感動してしまいます。
「ハイジの牧場」まで2.5kmという所で直進してしまった。 なんか変だなと地図を見たらやっぱり道を間違えてしまった。 ジョージは先に行ってもう見えないし、まあ遠回りになるけど予定の国道274に出るからいいか、このまま行こう。
 結局登らなくていい坂を登ってしまった。  (登りは苦手です。嫌いです。)  
とは言っても、初日からアップダウンの洗礼を受けています。 
また登り、また下り、 ああまた登り、また下り、坂、坂、坂
   ぜーゼーハーハー
長沼町まで下って、「ソフトクリーム」の大きな看板が目に入りました。2人とも何も言わず、引き寄せられてしまいました。
午後3時: おやつの時間だもの。 冷たくて牛乳そのものっていう感じのおいしい、おいしいソフトでした。

ここで、岩見沢の宿に予約の電話をして、「これで安心・・」。
よくわからないので、ビジネスホテルにしました。

栗丘の橋を渡り、国道234へ入る。 広くて走りやすい道です。
<岩見沢 14km>の標示に 「楽勝だねー」と広い歩道をおしゃべりしながらのんびり走る。左側には広い広い畑がどこまでも続いています。湿気も少なく、空気が軽いので呼吸も楽です。
ジョージが口をパクパクしてる。 「どうしたの?」
「空気をたべてるの」  (いつから詩人になったの?)

 5:00 無事岩見沢のホテルに到着しました。
よく雑誌などに、きれいなホテルはチャリダーを嫌う。って書いてありますけど、ここはとても感じ良いところです。
「大浴場ないの――?」 とジョージは不満!

生ビールとコーラで「第1日目にカンパ―イ!」
思っていたより暑く、余分な衣類を送り返すことにしました。
初日はゆっくり走ろうということで、疲れはほとんどありません。
明日の予定を地図で確認して、「おやすみなさ―い」

                      本日の走行距離: 約65km
                       (メーターがこわれてしまって
                        正確な数字がわからない)


8月17日 (2日目)

 
ゆっくり朝食をとり、のんびりしている間に、出発は9:30になってしまった。 ―反省!― 「明日はもっとさっさと出ようね」
岩見沢の市街地を抜けるのにゆるく登り、やっと国道12に出ました。
後は一本道なので「先に行っていいよ」と体力ジョージを先に行かせる。日本最長直線道路、ゆるくアップダウンを繰り返しながらま―っすぐ30kmも続いています。 (本州では想像もつかない直線道路です)。日曜日のせいか車も少なく、ず―っと先を行くジョージの姿が点のように見えます。 右遠くに夕張山地が、もっと遠くに見えるのは大雪山系でしょうか。 三笠町、美唄町と石狩川に沿って進んで行きます。とは言っても国道から川は見えませんけどね。 やっぱり ライダー、チャリダーに何人もすれ違い、そのたびに「ピース!」の交換。 これが結構励みになるのです。 特に登りの時なんか最高です。 「ピース!」と一緒に「ガンバッテ―!」の声援もあります。 私達ももちろんお返しをします。 こんな風なコミュニケーションっていいな! 

2時間ほどで休憩です。 待ち合わせの場所は予め決めておきまた。
<奈井江ハウスヤルビ・道の駅>・・・・奈井江町とスウェーデンのハウスヤルビ市が福祉の姉妹都市だというのは帰ってから知りた。・・・

「お腹空いた!」というジョージに付き合って、私も菓子パンを食べる。−−この後10時と3時のおやつが定着してしまいました。 ・・ハンガーノックなんかどこ吹く風。

砂川町に入ったところに比較的大きな自転車やさんがありました。 やっとメーターを新調することが出来ました。やさしいおじさん2人が色々話してくれます。 最後に空気をパンパンに入れてくれて
  「ありがとうございました!」
  「気をつけて行きなよー」

素朴なやさしさに包まれた感じでした。

「車が少なくて走りやすい」と教えてもらった砂川大橋で石狩川を渡る。あまりの広さに感動しました。 −さすが北海道・なんでも大きい― 河原の草原には馬が数頭いました。写真を撮って地図を見てたら、地元のおばさんが
「どこ行くの?」と聞いてきます。
「北竜です」  「んじゃ、その先の国道を右に曲がればいいのさ」
「はい、ありがとうございます」
なんて親切なんでしょう。 感動です。

国道275が見えて来ました。 今、左からの横風ということは、国道に入ったら追い風ということ・・・ワ―イ! 案の定、天使がやさしく後から押してくれている。 車の数が多くなってきたので慎重に走ります。
2:00 新十津川まで来てやっと見つけたドライブインでランチタイム。
ジョージはやっぱりラーメン。 私はスパゲッティー。失敗その1・・口中ケチャップ味になってしまい、・・マイッタ。 ほとんど残してしまった。 レジで
 「スパゲッティー、まずかったですか?」
 「ちょっと味が濃かった、ごめんなさい」
 「じゃ、お代は結構です。」
 「えっ? そんな―」   こんなことって、アリ?と言いながら心のなかで、ワーイ!

雨竜町に入ったところで電話を見つけ (電話はなかなかありません)予定していた北竜町の旅館に予約の電話をしました。

 「満室です!」  ガ―ン!!

じゃあ秩父別の宿は?

 「満室でーす」  ガガガ――ん!!!

どうしよう! まだEPIガス買ってないのでキャンプも出来ないし、・・・・

「とにかくどっか探そう、とにかく先に進もう」 と意味のないことを言って走り出しましたが、不安で不安で心配で・・・
雨竜・道の駅で電話帳を見ても近くにはなにもありません。
もしかしてキャンセルがあったかも― と再度電話してみる。

北竜は?  「満室です!」 
秩父別は? 「ちょうど今キャンセルがあったところです」
ワーイ! ワーイ! なんてラッキー!!
少し戻るけど、滝川に戻るより全然いいよねー。
ゆるい峠を越えて・・昨日より少し登りに慣れた感じがします。 もともと登りは苦手で嫌いだから、空身か重装備かなんてあまり問題ではないのです。 今回選んだルートは比較的平坦なのですけれど、はっきり言います。「北海道は坂だらけ!」と。 でもそれを差し引いても余りあるものがたくさん、たくさんあります。

ひまわりの里の手前で右折して川を渡り、すぐ左折して農道を走ります。昔懐かしい、青臭いトマトの香りがしてきました。 こんな時自転車旅行で良かったとつくづく思います。 この懐かしい香りが鼻孔だけでなく、全身を包んでくれるのです。 子供の頃のことを少しだけ思い出して、胸がキュンとしました。 

  あの頃は、三輪車だった・・。

などと感傷に浸って、向かい風と戦っているうちに、5:00 秩父別の【ちっぷゆう&ゆ】に到着。 広い駐車場、広い建物、公営とは言っても
 「なんか良さそうだね―」

久し振りの温泉に2人とも大満足。一時は<野宿>か?と思っただけに部屋がいい! 温泉がいい! 食事がいい!といちいち感動です。
「明日こそキャンプだ、節約だ」と2人で誓いをたてる。

おいしい夕食です。 運動した後は何でもおいしい。
やっぱり今日も生ビールとコーラで乾杯!
明日はいよいよ峠だ、がんばろうね! おやすみなさい。

                      本日の走行距離: 約82km     

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