オバチャリダー北の大地を行く (ミレニアム編)その2
7月25日 (3日目)

夕べは8:30に寝てしまったので、途中12:00頃 若者のグループがうるさくて目が覚めてしまった。 かなり離れた所にテントを張っているのに、静かな夜の湖畔に 「キャーキャーワーワー、ゲラゲラ」と響いてくる。 ライトをつけて、少し本を読んだりしているうちにまた寝てしまうが、眠りは浅くいつも声が聞こえている状態が続いている。 そして、なんとボール遊びを始めてしまったらしく、バシッ、バシッ、キャー、ワッハッハー、バシッ、・・・  今の時間は、夜中も夜中、3:30ですよ。
もうこれには完全に頭にきた。 でも、なんて言おうか・・、逆ギレされたらどうしよう・・
エエイ、言っちゃうよ。 ジャーとテントのファスナーを開け、靴を履いて ツカツカツカ
「お願いだから、静かにしてくださいな」 (心の声:テメーコノヤロー、シズカニセンカイ)
 と、うんと下手に出て、手を擦り合わさんばかりの哀願作戦に出た。
「あっ、どうも、すみませーん」 
成功しました。 ああー良かった。
5時過ぎ、太陽が木々の隙間から差し込んできますが、うつらうつらして6:00にノコノコ起き出しました。 まずコーヒー。
寝過ぎなのか、寝不足なのか、ボーっとしたまま立て続けにコーヒー3杯とクリームパンをかじって朝食にする。
あの若者達はもう起きている。 どうなってるの?

8:20 出発。 かなやま湖沿いをずーっと下って行きます。 途中変な音がするのでキャリアーのネジを締めなおしていると、道の真中にキタキツネがやってきて、横座りしています。 こちらに背中を向けているので、そーっとカメラを取り出した途端さっさと逃げ出してしまいました。 残念! 夏のキタキツネは毛が薄くなんか貧相で可哀想な感じです。

金山で右折してR237に入ります。 さっきまでキラキラ晴れてたのに、なんとなく薄暗くなって来ました。 トイレパーキングがあったので休憩して様子をみることにしました。 しばらくすると、やっぱりポツポツ降ってきました。 まだ早いかなとは思ったけれど、濡れた処でカッパを着るとビショビショでみじめなので、もう着てしまうことにしました。 走り始めるとだんだん降りが強くなって来ます。 やっぱり靴カバーもした方が良いかなと、倉庫のような所があったので屋根の中に逃げ込みました。 その途端、天をひっくり返したような雨になりました。 前も見えないほどです。 間一髪セーフ、ああ良かった。 靴にコンビニの袋を履かせ、しばらく休憩です。 やっぱり、ちゃんとした靴カバーは必要です、今度の買い物リストに加えなきゃ。
10分ほどで小降りになったので、出発。
東山で左折した途端、目の前に芦別岳がそびえていました。 雲は多いのにそこだけくっきりと自己主張して私に見せてくれているようです。 雨も止み、空気は冷たく美味しく、山を愛でるのに絶好のタイミングです。 しばし道路の隅でボーっと眺めていました。

走り出すとまた降り出しました。 美味しい空気を吸うとお腹が空きます。
山部の町に入った所に食堂があったので、入ってしまいました。 まだ10時ですけど、なんか食べよう。 しっかりと「お刺身定食」を頼みました。
「今日も1日降るみたいだね」 と食堂のおじさんが言って、テレビをニュース、天気予報のチャンネルに合わせてくれました。
「雨の日に走るのは大変だねー」 と言われ、
「そうなんですよねー」 と相槌を打ちながらも、ギンギンに晴れてカラカラに乾いているよりずっと楽だと思っているのに気がつきました。
「でも、雨もまた良いですよー」 と付け加える。 なんか強がりに聞こえたかな。
ここで一句   「雨もまた良し、北海道の夏」

富良野市内に入ると、雨が止みました。 止むと同時に日が差して暑くなって来ます。 みんなはもちろん夏真っ盛りの服装ですから、雨具を着ている私はひとり浮いてしまっています。 一応富良野神社にご挨拶のお参りをして、やっと雨具を脱ぎました。 あーさっぱりした。 さて、これからどこ行こうかなと地図を見てみます。 なんだか人も多いし、観光バスも多いです。 どこか静かで景色の良い所を走りたいと、R237と平行している道道851に入ってみました。
すぐに休憩所のような所があり、私を誘います。 ここで缶コーヒータイムと座りこんだら、おおー!目の前にドーンと十勝岳が見えているではありませんか。
以前は海が好きだったのに、最近はなんとなく山派になってしまってます。 どの山も色々な言葉で私に話し掛けてくるようで、山が見えるとしばらくジーっと見つめてしまいます。 山岳宗教があるのも頷けます。 私の前世は山伏だったのかなー?

道道はかえって走りにくいことがわかりました。 道幅は狭いのに観光バスがジャンジャカ走って来るのでこわいです。 途中でR237に戻りました。
「日の出公園 →」の標識に従って右に入り、コンビニで夕食の買い物をしました。 パックのサラダ、真空パックのジャガバター、お漬物、そしてビール。  走り始めてから、ビールのおつまみ風ばっかりで「おかず」がないのに気がつきました。 
まったくしょうがないなー、まっいいっか!(コレバッカ!)

富良野はやっぱり、ラベンダーがいっぱいです。 普通の街路樹の下にもラベンダー、お家の庭にもラベンダー、どこにも普通にラベンダーが植わっています。 心なしか空気が甘いです。
ふと見ると正面に小高い丘があり、一面の紫、ラベンダーです。 エっ! あそこが日の出公園? もしかしてあの上にキャンプ場?
不安を抱きつつ入って行きます。 またここも観光バスが連なっています。 人人人・・・
駐車場のおじさんにキャンプ場を聞いてみると、この山の裏側とのことです。 ホっと胸をなでおろしました。
道道291に戻って少し走ると、小さい標識が見えました。 
この辺は上富良野の町ということでしょうか、スーパーもあるし、レストランも、そしてフラヌイ温泉もあります。
セブンイレブンの角を曲がって600m行くと、ありました。 きょうの宿 「日の出キャンプ場」に到着です。
余裕の2:30です。

ほんの1部です。 左の上方にまだ広がっています。

広々として綺麗な所です。 もしかして雨が降るかも知れないと思って、木々のすぐそばにテントを張りました。
そして、目の前には、やっぱり十勝岳がそびえています。
 
かなやま湖より人が多いのは、やっぱり人気の富良野だからでしょうか。
私のすぐ前のテントは、ひとり旅のシャイなライダーです。 家族連れも、カップルもいますが、圧倒的多数はひとり旅のライダーです。
ここでの人間観察もまた面白そうです。
コーヒーで一服して、お風呂セットを持ってお出かけします。
フラヌイ温泉(\600)、やっぱり日焼けあとが痛いのでシャワーだけで済ませます。せっかくの温泉なのにもったいない。
そして、町立病院の前のコインランドリーでお洗濯開始。 病院の前庭のベンチで時間をつぶすことにします。 ここにもラベンダーがいっぱい咲いています。
洗濯も無事終わり、スーパーに寄って「おかず」を買いましょう。 なんか簡単なのがいいな、ありました。 「まぐろの山かけ」、まぐろの赤身のぶつ切りにやまいものパックが付いています。(\270) 

やっぱりビールを飲みながら夕食の支度です。
私はキャンプ初心者でよくわからないので、ピクニックの延長のようにしています。 テントの入り口前にシートを広げ、そこに座りこんで火を使ったり、食べたり飲んだりしているのです。 オートキャンプの家族連れは大々的にやってますけど、ソロキャンプしているライダー達のなんてシャイなことか。 こんなお天気の良い夕暮れに、まして雲が流れて刻々と姿を変える十勝岳を前にして、テントの中に隠れるようにして、そーっと手だけ出して調理しているのです。 お外に出てくればいいのに・・と思ってしまいます。
上の方でテントを張っている人達は対照的に、調理棟で宴会をしています。 でも森をはさんで離れているので、全然聞こえません。 色んな意味でここは最高のキャンプ場です。 水場もトイレもキチっとしていて綺麗ですし、なんと云っても無料というのが気に入りました。 来年は隣りのオートキャンプ場が出来るので、こちら側も有料になるそうです。

食事も終わりのんびりしていると、森の木々がサワサワと鳴りました。 風が出てきたようです。 アチコチでペグを打つ音がします。じゃあ私もと、ペグを念入りに打ち直します。
やっぱりという感じで突風が吹きました。 家族連れの蚊帳テントが倒れたらしく、子供の悲鳴と泣き声が響いてきます。 中でバーベキューをしていた筈ですから、様子を見にみんな集まりました。 まあ、なんとか大丈夫のようです。

雲行きもあやしくなって来たので、前室のファスナーをしっかり閉めてテントの中に入ります。 日記を書いたり、本を読んだりしている内に雨が降ってきました。
テントを打つ雨の音、 狭いひとりの空間、 ウキウキするような楽しい孤独
寝るのはもったいない。

本日の走行距離 : 65km 

 

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