ヤンバル&久米島旅行記3                  那覇のディープな夜

3月8日(4日目)

朝からゴジラとジェスパを連れてビーチに行き、ボンヤリと島時間を楽しんだ後、夕方フェリーで那覇に戻りユウコと友人と合流した。 

夕飯を食べにpyonkichiさんが教えてくれた国際通り近くの洒落たカフェを訪ねたが、人が多かったので断念し、その近くの違う(これまた洒落た)カフェに入る事にした。 そのカフェには他にお客さんがいなかったので、入るなり「大人3人と犬1匹」と言ってみた。 すると真面目なウェートレスさんは「えっ?! 犬ですか!」と慌てて奥へ引っ込んでしまった。 「ちょっと、ちょっとぉ〜!冗談ですよ。」と言いたかったが、取り付く島もないまま、すでに店長が出てきており「犬・・ですか?小さい・・ですか?」と聞き返された。 引っ込みもつかなくなり外にいるジェスパを指さすと、店長は言葉に詰まりながらも「・・あぁ・・まぁ・・どうぞぉ」と言ってくれ、なぜか店内にジェスパも入れてもらえる事になった。 店長は犬好きだったらしい。 私達が食事中に他のお客さんが入ってきたのに、みんな不思議な程普通にしてくれていてとても楽しかった。 いやぁ〜、言ってみるもんだのぉ。

大満足で店から出た途端、地元のおじいがジェスパ目掛けて「いやぁ、この犬じょうとうさぁ なんていう犬?」と言い寄ってきた。 あまりに唐突だったので全員ポカンとしていたが、おじいは更に「いやぁ、じょうとう、じょうとう」と言い続けていた。 良く見るとおじいの両手はピストルのポーズで、その指先はジェスパ一点に集中していた。 おじいとイギリスの犬について暫く語ったけど、どうしてもおじいのピストル指と「じょうとうさぁ〜」(沖縄の方言で誉めているらしい)のインパクトが強過ぎて、話の内容はイマイチ覚えていない。しかしこのおじいには2002年上期の「へなちょこ隊・流行語大賞」を差し上げたいほどに、この後の旅行中「じょうとうさぁ〜」が我々の間で大流行するのであった。


ジェスは沖縄に住みたくなりました。U^ェ^U

おじいと別れた我々は広いお風呂に入りたいという満場一致の意見で銭湯へ行く事にした。 ところが沖縄では銭湯や温泉に入る習慣があまり無いらしく、誰に訪ねても「え?銭湯??」と聞き返された。 そしてやっと見つけた銭湯は「共同浴場」の看板がさがる古ボケたビルの2階にあり、かなり怪しい所だった。 中に入ると「怪しい度数」がさらにアップし、脱衣所に辿り着いた時には思わず仰天してしまった。
脱衣所には大きな鏡と棚があるだけで、ふと横を見ると仕切りも何も無いまま浴室になっている。 脱衣所と浴室の間にはわずかな段があるだけで、どちらからも丸見え。 なるほど、当然カギのついたボックスなど無用なんだよなぁ・・。 

浴室の方へ行ってみると、昔は色がついていたのかなぁ?って思わせる程、ほとんど打ちっぱなしのコンクリートで、充分の広さに洗い場が3つ、シャワーは1つしかなく、中央に3畳程のステンレスの浴槽がボンと置いてあった。 ユウコと顔を見合わせて大笑いしながら浴槽に浸かり、何気なく脱衣所の方に目をやると紙にマジックで大きく字が書いてあるのが見えた。 そして更に大爆笑!!
紙には『服を取って 体をこすらずに に入ってはいけません』と書かれていた。 恐るべし・・共同浴場。

我々は腹の皮のねじれが戻らぬまま、さらに沖縄のディープな夜の世界へ突き進む事にした。 そこはかねてから一度は行ってみたいと思っていた「民謡酒場」だった。 早い時間帯は観光客で賑わい、夜中12時を回る頃になると地元のおじい、おばぁで盛り上がるのだと言う。

店に着いたのは11時を回っていたので、ステージでは民謡ショーの真最中だった。 店に続く階段を地下へと降りていくと三線(さんしん)と三羽(さんば)の小粋な音色が聞こえてくる。 恐る恐る中を覗くと、観光客の人達がギッシリいて大盛り上がりを見せていた。
他にお客さんがいる事に、何となくホッとしながら席に付いてステージを見ると、民族衣装を着て髪を結ったおばちゃん歌手(ママさん)と無表情で三線を引きながら熱唱するおじちゃん3人がおり、その側で踊る観光客の姿があった。 まだまだ酔っ払いでない我々は暫く、(相当酔っ払いの)他の観光客の動向を横目に見ながら、この場の波に乗るに乗れないギコチなさを、手拍子と笑顔でごまかすのだった。

ステージが半分終了した頃、ママが「みなさんでエイサーを踊りましょう」と提案し、小さな太鼓とバチを配り始めた。 すると、いつ波に乗ったのか・・(?) 「踊り」に反応したユウコがすかさずバチに食いついていた。 そしてそれを見た友人もまた太鼓に食いついて、2人でステージへと吸い寄せられていた。 エイサーは沖縄の盆踊り的なもので、実際は大きな太鼓を叩きながら踊る、とても迫力ある踊りなのだが、へなちょこ隊・隊員によるエイサーはへそが背中方面へ曲がって行っちゃう程に愉快な踊りとなった。

              
観客も歌って踊る。これが民謡酒場なのだ。

ステージは最後にチャカーシーで締めくくられ、その時には店のお客さんが全員立ち上がって昔の「ジュリアナ」を彷彿させる勢いで両手をヒラヒラさせながら(腰は振らない)踊り狂うのだった。 

「はぁ〜、凄まじい物を見せて頂きました。さぁ、帰りましょう?」とユウコの顔を覗くと、なぜか目をギラつかせて首を横に振るではないか。 はまってしまったらしい・・。  そしてその後、我々へなちょこ隊は観光客の帰った空き空きの酒場で、地元の熱狂的な民謡好きおばぁに手をつながれ、帰るに帰れぬまま夜中の2時まで手拍子を続けるのであった・・・。

つづく

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