3-500Zのフィラメントインダクタンス
直熱管にはフィラメントをスパイラル(螺旋)状に巻いたものがある。3-500Zはその典型で管の下方から見上げるとその様子を伺うことが出来る。螺旋状という事は即ちコイル。Audioは問題ないとしてもRFならそのインダクタンスが悪戯をしそうな気がする。例えば3-500Zならf-max=110MHzとなっており、この周波数帯になると相応の誘導性リアクタンス値を示す筈である。では一体何μHのインダクタンスなのか?・・・と疑問を持ち実際に測定する事にした。
写真はデリカのミニブリッジD1Sの測定端子にEimacの3-500Zを接続しインダクタンスを測定している様子。D1Sの測定周波数はAudioの1KHzなのでRFとは異なるが傾向はつかめると思う。
D1Sの右方向に見えるノブを回すとメーターの振れがスッと落ち、更に左のダイアルで虚数補正するとブリッジのヌルポイントがとれる。その時の表示を読む。表示は0.07で倍率がx1なので0.07μHを示している。補正値はほぼゼロだから殆ど純インダクタンスと言う事か・・・。後日AADE社のUBで測定すると0.078μHを示した。
この値はメーカー(Ampelex/FAL/Eimac)を替えても殆ど変化は無かった。0.07μHは、50MHzなら22Ω程度のリアクタンスになる計算だが、実際の電力増幅においてどのような影響を与えているのか興味がわいてくる。
GGでドライブしたとき、電流の流れ方がフィラメントの中央と端では異なってくるのではないかと考えたり、GKだって同じで均等にはならないと思われるが、どんなものだろうか?。
また並列にコンデンサを抱かせると共振回路が構成でき、何らかの効果が得られないものかと考えたりするが、通電時のフィラメント抵抗は約0.34Ωで電源インピーダンスとの関係もあるから・・・と思いが巡る。
いずれにしても過去余り議論されず、歴史的にスペックには表記されない事から、考え過ぎで取り越し苦労の話なのかも知れないが・・・話の種に如何だろうか。